谷 好通コラム

2017年02月27日(月曜日)

2.27.辛くない味仙と、辛いだけの台湾ラーメン?

先日「辛いけど痛さが舌に残らない不思議な旨さ」と絶賛した「味仙」は、
愛知県下に何軒かのチェーン店を展開していますが、
最初に日進店に行き、
その圧倒的な速さと手際良さ、そしてその旨さに感動しました。

 

数日たって、
今度は特訓ツアーの参加者約30名を連れて、
今池の「味仙 本店」に行ったのですが、
改めて、その料理の旨さに感動しました。
たしかにどの料理も食べると汗が噴き出てくるほど辛いのですが、
その辛さが舌に痛さとなって残るはずなのに、それがまったくない。
さわやかな辛さで、しかも舌が痛くならない辛さは初めてで、
その旨さには、改めて感動しました。
もちろん素晴らしく速い。
一緒に行った30数名の皆さんもご満足いただけたようで、
私はすっかり「味仙」のファンになってしまいました。

 

それで、また行ったのです。
今度は東京の社員たちと一緒に。
自慢したい気持ちがあったのです。

 

味仙でもいろいろな店に行ってみたい。と
今度行ったのは、また初めての店で、
古くからの出店で、住宅地の中にある一軒です。
マンションの一階部分のテナントでずいぶん小さく、
規模で言えば本店の十分の一程度、
しかし、ものすごく繁盛していて混んでいました。
私たちは前もって電話を入れておいたので、すぐに座れましたが、
店内に入れなくて店の外に立って並んでいる人が数名います。
しかしそれにしても、店の人の手際の良さは相変わらずで、ほれぼれします。

 

まず、一番辛さが際立つ「アサリ炒め」を注文し、
ニンニクの効いた青菜炒めと、餃子、鳥から揚げ、ビーフン炒めなど
いろんなものを注文して、
次から次へと出てくる料理を、かたっぱしから平らげていきます。
しかし、
辛くありません。まったく辛くありません。
辛みが特徴のアサリ炒めまで、まったく辛くありません。
それでも味付けはおいしかったのですが、
辛いつもりで食べたのに、辛くないのは拍子抜けです。

 

ふと、周りを見渡すと、
他のテーブルに座っているのは、小学生くらいの子供を家族連れがほとんど・
それで分りました。
住宅地の中にあるこの味仙は、
お客様は子供連れが多いので、
唐辛子抜きをリクエストする客が多いので、
自然に辛くない料理を作るようになったのでしょう。
この店は40年前には出来ていたはずです。
長い時間をかけて、
その地域のお客様の特性である
「比較的小さな子供を連れた家族連れ」に、順応し、
辛くなくても味仙らしいおいしさを造り出したのです。

 

チェーン店はどの店に行っても、
同じ品質と味、サービスを得られるのがメリットです。
そういう観点からすれば、
辛くない中華を造り出したこの古い出店は、
味を変えてしまったルール違反の店舗です。
しかし、その繁盛ぶりを見ていると、
このルール違反が、お客様の要望を取り入れた一つの結果であって、
辛くはないけど味仙らしい味であるし、料理の出る速さ、
手際の良さは引き継いで、味仙そのものであることを考えると、
この店の辛くない料理をルール違反と切って捨てていいものかどうか。
考えてしまいます。

 

それでも、名物の台湾ラーメンが辛いかどうか分らなかったので、
「台湾ラーメンの”辛口”」と言って注文したのは、
みんなに先立って、実験台になった阿比留君。
これがちょうどよい辛さだったら、
残りのみんなが「台湾ラーメン”辛口”」を頼めばいいわけだ。

 

すぐに出てきた「台湾ラーメン”辛口”」は、明らかに赤唐辛子が多い。
阿比留君はそれを食べて
「うわっすげぇ辛い。でも、味仙の辛さじゃない。舌が痛い、味も違う」
それを聞いて、興味が湧いたみんなが、
次々と阿比留君の「台湾ラーメン”辛口”」のスープを取って飲んでみる。
私もその一人だ。たしかに、単なる唐辛子の辛さであった。
これはどういうことだろう。

 

考えるに、
このふるい出店の味仙は、住宅地の真ん中で、
小さな子供を伴った家族連れが多いので、味仙の辛さも通用しなくて、
自然に辛さを抜いた料理になって、
長い時間が経つ間に、味仙の辛さ、痛くない辛さを忘れてしまったのだろうか。

 

想像でしかないので、何とも言えないが、
この味仙の店には、たぶん、私は来ないと思った。
そして、味仙本店の台湾ラーメンを食べたくなった。

 

振り返ってみて、私たちの洗車やKeePerはどうだろうか。
同じような思いをお客様にさせていることはないだろうか。
ふと背筋がぞっとする思いがよぎった。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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