2016年08月10日(水曜日)
8.10.広島にて。地域ニーズを満たし、最小不幸を実現する。
広島の平川晃氏は精神科医で、認知症が専門です。
この認知症を専門にする医者は珍しいそうです。
なぜ珍しいのか。
平川さんの話と私の想像によると
認知症は進行を遅らせるのが精いっぱいで「治らない病気」であり、
多くの病気のように治して感謝され共に喜ぶという種類の達成感が
得られない病気だから、これを専門にする医者が少ないようなのです。
認知症は、昔は、痴ほう症と呼ばれ、
これが進行した老人は、家族にとって恥ずかしい存在であり、
多くの場合、隠されてきた存在だったそうです。
隠されるとは、閉じ込められ、あるいは拘束されて、
人間としての尊厳を損なわれ、理解されず、
生きているだけの生活を、
死ぬまでの長い時間過ごすことが多かったのだそうです。
ご老人本人にとっても、家族にとっても、決して幸せとは呼べない長い時間。
その認知症を、科学的に解析して理解し、
積極的に受け入れ、進行する認知障害をそこにあるものとした上で、
いかに人間としての尊厳を認められた生活を保つか。
それが決して治らないものであったにしても、
その人を人間として扱い続けていくのは、
どなたかがおっしゃっていましたが、
本当に辛抱と、我慢と、忍耐の連続なのでしょう。
そのスピードはともかく、進行する一方の認知症は、
その人と周りに決して幸福をもたらすものではないでしょう。
しかし、そこに発生する不幸を出来るだけ合理的に最小、最少にとどめるのは、
相対的に考えれば、幸せを生み出すのと同じ価値があります。
管直人が首相だった時、当時与党であった民主党が掲げた「最小不幸社会の実現」は、
その言葉が「理想の実現」とは逆の響きで、評判が良くなかったのですが、
理念としては評価すべきものでした。
その考え方に似ていると思ったので、そう表現しました。
認知症は時代が進むにつれて増え、
何年後かには、4人に一人が認知症によって介護が必要になる時代になるそうです。
認知症がもたらす完治無き不幸の進行を、
合理的かつ正しい介護で最小とする事業が、
今後の地域社会が、最も必要とする事業の一つであることを私なりに理解しました。
平川晃氏が率いる「ほほえみグループ」は、広島の地域に
1,000人を超すスタッフで構成されている大きな医療、介護事業グループです。
事業というものは、
社会にある色々な形、色々な種類のニーズを満たすことによって、
社会と人から、必要とされ、
役に立つ存在であることによって、
その価値が大きければ大きいほど、成長し、
その結果として、利益も発生するものです。
資本主義社会における事業の目的が利益であるとしても、
その事業が社会に必要とされ、支持されて、役に立ってこそ利益が出るものです。
最初から金儲けを目的とした事業とは、社会から必要とされませんので、
存在しえません。
この広島のほほえみグループは間違いなく地域社会のニーズを満たし
社会から必要とされて、発展していく会社であると確信しました。
広島の平川晃氏とは、#37のドライバー平川亮選手のお父さんです。