谷 好通コラム

2014年11月04日(火曜日)

11.04、筋金入りの”上には上がいる”

私は中学校の時、
450人いた学年で一桁の成績であったことがあります。
それで、名古屋大学に何人かが合格する程度の
まあまあのレベルの進学校の高校へ入りました。
でも、最初の全校テストで、
まったく予想外に真ん中よりもかなり下の成績だったので、
ものすごくショックを受けました。
私が持っていた自信なんて見事に木端微塵になったものです。
冗談抜きに一瞬「死んだ方がましだ。」とまで思ったくらいです。

 

たぶん、あれからでしょう。
どんなに褒められても、
高い評価をいただくことがあっても、
決して有頂天にならなくなったのは。

 

たかが下町の中学校でいい成績であったとしても、
隣り町のそこそこの進学校の高校に行っただけで、
真ん中を境に”上”が優等生ならば、
私はかなり”下”の劣等生に叩き落されたわけです。
情けないくらいまでに、
上には上がある。”を、叩き込まれたわけで、
しばらくは、ひどい劣等感のかたまりになっていました。

 

だから、私の”上には上がある”の根性は筋金入りです。
この会社が、従業員さんが300人を超す会社に成長しても、
私自身は優越感どころか、むしろ劣等感の方がまだ残っていて、
いまだに「頑張らなくっちゃ」と、ほんとうに心の底で思っています。

 

それに、私は足に障害が少しあって矯正の靴をいつも履いているので、
たとえばレストランなどに行っても
「本物の金持ちがどうか、靴を見れば判る。」という
昔からの客商売や水商売の常識で、
私は幸いにも、”本物?”のお金持ちには見られないので、
へんにチヤホヤされずに済んで、
変な勘違いも、せずに済んでいるのではないでしょうか。
まだ、いっぱい学ぶことができます。

 

私は自分が人より勝っていると思ったことがありません。
しかし、仕事だけはたいていの人よりも出来ると思っています。
その仕事の結果の出来と、そのスピードにおいて、
たいていの人には負ける気はしません。
半端ではなく訓練されているので、そこの部分では負けません。

 

でも、たとえば顔かたちとか、
スタイルとか、特に運動能力とか、
しゃれた物言いとか、センスとか、
審美眼とか、
特にカラオケで歌を歌うのは、たぶん一生歌いたくないし、
楽器は下手だし、
女性にもてるかどうかなんていうことに関しては、
地球上で一番もてない自信があるし、(妻はそういう意味では少し変なのです)
どんなに健康に悪いと言われても、簡単に食欲に負けるし、
どんなに「休肝日を」と言われても、「明日から…」で、
スマフォは字が小さいので全く憶える気がないし、
買ってくるカメラの”取説”は読んだことがないので、
機能を使い切らず大変もったいないことをしているし、
車には無駄に使ってしまうし、
・・・・・
言い出したらきりがありませんが、
少なくとも、私は自信満々の人間ではありません。
今、一番好きなのは、
店舗にいる若い連中と、
私のベッドで寝たがる猫のチーちゃんかもしれません。
このあいだ、妻に、仕事で凄いことがあった事を話したら、
そんなつもりでもないのに、
「自慢している。」と言われて、すごく腹が立ったことがあります。

 

しかし、思い出してみると、
あの進学校で、また上の方の成績だったら、
私は勘違いをしていたかもしれません。
高校でも成績が良くて、
良い大学に行って、また良い成績だったら、
良い就職が出来たら、
自分は人より優れていると思い込んで、
あらゆる意味で優れていて、価値があって、
そのままでも、いつも人よりも上にあり、
勘違いして、人を見下すようになっていたかもしれません。
そして、
社会に出て、誰かに、こっぴどく叱られて、
ひどい目にあっても、まだ心の底では、懲りずに、
そこそこの経験しかしていないのに、
もうすべてが解かってしまったと、勘違いして、
学習することもなく、
低いレベルで成長を止めてしまっていたかもしれません。

 

私は、高校の時、最初から成績の順位がひどく落ちて、
“上には上がいる”を、こっぴどく突きつけられて、
あれ以来、変に勘違いをせずに済んで、
とりあえず、ここまで成長し続けられてきたのかもしれません。

 

どんなに若い子と話をしても、
自分が上にいると思いません。
誰とでも同じ目線で話すことができます。
そんなことは別にどおってことはないのですが。
若い子からも学べるし、感動させられます。

 

しかし、ずるい人と話をするのは、いやだと思います。
勘違いしている人は、だいいち、やさしくないので、好きではありません。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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