2014年05月23日(金曜日)
5.23.「アルミモールのアルカリ錆」と言っても、意味が分からない
ベンツ、BMW、アウディ、フォルクスワーゲンなどのドイツ車をはじめ、
プジョー、ルノーなどのフランス車も含め、
ヨーロッパ車のドアの窓枠の金属モールの部分に「白いシミ」が出来ます。
これが、どうしても取ることが出来ずに、
ヨーロッパ車ユーザーの悩みの種でした。
これを取ってキレイにする方法を、
(財)日本コーティング技術開発センター(通称JCT)のメンバーの一人が、
見つけました。
その後、弊社開発センターのスタッフとの共同開発で、
シミを取るだけでなく、キレイに磨き上げて、
再びシミが付着することを防止する方法。
つまり、新品の車でも事前にシミの付着を防止できる方法を作り出しました。
これは、ヨーロッパ車にお乗りの皆様には朗報になるはずです。
せっかく気に入ったヨーロッパ車を買って、
キレイに手入れして乗っていたのに、
ドライバーから一番目に付くドアの枠のモールが、
白くシミが着いて汚くなるのは、本当にガッカリするものです。
しかも、これが本当に取れないのです。
触るとツルツルしていて、引っ掛かりがなく、
洗剤はもちろん、研磨剤でかなり根気よくこすっても頑として取れません。
原因は、アルマイト加工されたアルミ素材のアルカリ錆でした。
日本車やアメリカ車のドア枠のモールは、
樹脂素材や金属のモールにクロームメッキされたものが使われています。
しかし、ヨーロッパ車では、
なぜなのかの理由は分かりませんが、
防錆の為のアルマイト加工がされたアルミ合金のモールで出来ていることが、
色々と調べて見て、判りました。
その上、すでにシミが出来ているモールを顕微鏡で調べてみると、
金属が錆びている様子に似ています。
そこでヨーロッパ車(今回はフォルクスワーゲン・ゴルフ)の
新品のアルミ合金のモールを買ってきて、
色々な薬品を着けて実験してみました。
その結果、アルカリ性の洗剤でこのシミが見事に発生する事が分かりました。
ここで言うアルカリ洗剤とは、
「バケツ入りのピンク石鹸」がもっとも顕著でした。
整備工場などで一般的に使われている「バケツ入りのピンク石鹸」が、
犯人であったと考えていいでしょう。
ヨーロッパ車にバケツ入りのピンク石鹸の使用は厳禁です。
洗車機のアルカリ性水垢取り洗剤でも同様でしたので、
門型の洗車機にたまに付属している水垢落し機能も使用は危険です。
ところが、
同じアルカリ性である「爆白ONE」では、まったくシミは着きません。
爆白ONEは塗装に対する攻撃力を、特殊な技術で完全に消してあるので、
このアルミ合金モールにも安全であるようでした。
「爆白ONE」をヨーロッパ車に使用してもまったく問題ありません。
このアルマイト加工されたアルミ合金に着いた「白いシミ」は、
アルカリ錆(還元錆)と断定して良さそうです。
このシミを、特殊な樹脂で出来た研磨シートで根気よく磨き、
シミが完全に削り取れたら、二種類のコンパウンドで磨いてツヤを出します。
これで、白いシミは完全に取れて、
モールに新品の時のツヤが戻ります。
キレイになったモールに、
「ヘッドライトレンズプロテクト」と「レジン2」で、
ガラスコーティングします。
「ヘッドライトレンズプロテクト」は、
「ダイヤモンドキーパーケミカル」で代用しても構いません。
こうしておくと、
たとえアルカリ洗剤や、アルカリ性の何かがかかっても、
それをはじいてしまって、
アルカリ錆を発生させる事はありません。
この処置を新車からしておけば、
強力に「白いシミを防止」する事が出来ます。
このことを、
一枚のパンフレットにして、
多くのお客様にお知らせしようとパンフレットを作成していました。
ここで、問題になったのは、
この「白いシミ」を何と呼べば解かり易いかということです。
最初は「アルミ錆」とか、「アルカリ錆」、
「アルミモールのアルカリ錆」とか、
私達も調べる前には知らなかった「アルミ」とか「アルカリ錆」と、
知ったから初めて理解できるような言葉を、
どうしても使いたくなっていたのです。
一般のユーザーには、
「アルミモールのアルカリ錆」なんて、さっぱり意味が分かりません。
でも、
知ってしまったので、
そう言わないと、嘘を言っているような気がして、
つい、「アルミモールのアルカリ錆」なんて言って見たくなってしまうのです。
さらには
「表面をアルマイト加工されたアルミ合金で出来たモールに付着する、
アルカリ洗剤に要因するアルカリ(還元)錆である白く見えるシミ」なんて、
ユーザーに、絶対に分からないような言い方までしたくなってしまうのです。
でも、パンフレットは、
お客様に分かっていただくためのもの。
目的が分かっていただくことなのに、
知っているから理解できるような言葉を使ったのでは、
目的を果たすことは出来ません。
そこで、
こんな風に造ってみました。