谷 好通コラム

2014年04月20日(日曜日)

4.20.つい大きな声で「アホか、お前はッ、何でそんな所で・・」

インタープロトスポーツとは、
私の最後のレースカーとして
今までになく速い車に乗ってみたいと思って
私自身が乗るつもりで手に入れたものです。

 

日本のトッププロの一人、中山雄一君が乗って、
富士スピードウェーを1分44秒台で走ります。
スーパーGTのGT300クラスの遅い方の車と同じレベルとスピードの車で、
経験を積んだアマチュアならば1分50秒を切るか切らないかが標準。

 

私も実際に三度乗って練習しました。
三回目で1分57秒程度のまだ遅いタイムですが、
それでも何とか乗れるかもしれない手ごたえを感じてきた頃、
昨年の12月、痛い椎間板ヘルニアをやってしまいました。
コーナーリングスピードが速い本格的なレース用の車なので、
コーナーを旋回中の横Gが首や腰に、加減速の縦Gも強烈にかかります。
だから、私は、私の最後のレースカーのはずなのですが、
これ以上乗る事を諦めてしまいました。
何しろ体を起こすことも出来ほどヘルニアのダメージがあったのですから、
レースカーを乗りこなすなんて、今後もずっと、
私には不可能なことと思えたのです。

 

しかし、せっかくのインタープロトスポーツを放って置いては勿体ないので、
当社の常務取締役の畠中君に乗ってもらうことにしました。
彼は二十歳代の頃から、出身の山口県にあった美祢サーキット(今はない)で、
ずっと青春を燃やし続け、縁があってこの会社に入ってからも、
ゴルフGTIのレースに私と一緒に出ていたので、
レース経験は多い方です。

 

スーパー耐久レースには彼を、一応、Cドライバーとして登録しました。
しかし、A,Bドライバーの中山雄一、平川亮の両選手があまりにも速いので、
今後、スーパー耐久レースの本番に出番があることはあまりないでしょうが、

 

しかし、今日開かれたインタープロトスポーツだけの1メイクレースは、
ジェントルマンクラスというアマチュア部門と、
プロドライバークラスと別れているので、
ばっちり出て走る事が出来ます。
15周の決勝レースがあったのです。
昨日のレースは、二回のスピンで結局、ドベだったようです。

 

そして今日の決勝は、昨日の結果でスターティンググリッドが決まるので、
ドベからのスタートです。

 

ドベからのスタートでしたが、
最初の一周目で、一台を抜き、
毎周何らかのドラマがあって、
本当に前の車を力ずくで抜いて、
10周目くらいに7台中の3位にまで上がり、
12周目くらいにはとうとう2位にまで上がってきました。

 

一緒に走っている人たちは、
アマチュアとはいえ、歴戦の勇士で、
プロに決して引けを取らないような人もいるのです。
その猛者たちを抜いて上がってきたのですから、本当に大したものです。

 

ドベから4,5台抜いて、2位まで上がってきた時には、
私は、目が熱くなって来て、
大声で1コーナーの観客席で怒鳴っていました。
「行け、行け、行けーつ」

 

そして、
私は、本当に、真剣に、
もう一度この化け物みたいなレースカーに乗って、
死んでもいいからレースに出たいと心底思いました。
感動したのです。
こんなに大きく感動したのは、久しぶりです。
本気で感動しました。

 

そんな熱い気持ちで、
ストレートから1コーナーを抜けて、
Aコーナーに向かう#37インタープロトを目で追っていたら、
・・・
そのAコーナーを出て加速するポイントで、
クルンとスピンする#37の姿が、遠目にはっきり見えました。
「あーっ?  何やってんだあのバカ」
つい、大きな声で、
「アホかっ、お前はッ、何でそんなところでスピンしてんだ。」

 

スタートが雨で、セーフティーカーが二周入ってのスタートだったので、
レースは15周から13周に短縮されて、
このスピンした周が最後の周となり、
結局、彼はまたほとんどドベ近くでゴールしたのです。
#37は、せっかくドベから2位にまで上がってきたのに、
後ろから追い上げられているわけでもないのに、
単独で、最後の最後にスピンしてしまったのです。

 

ピットに帰ってきて、
しょげかえっている畠中君を見つけて、
思わず言ってしまいました。
「何で、あんなところでスピンするの。あー、感動して損した。」

 

年に四回だけの小さなレースですが、
また、どんなドラマがあるか。楽しみです。

 

それにしても、中山雄一君と平川亮君は特別です
別々のインタープロトでプロフェッショナルクラスに出場した彼らは、
ベテランの、その世界では名の知れたプロの中でも、
抜きん出たスピードを持っていました。
彼らは日本で一番F1に近い若者と言われていますが、
その訳が良く解かりました。

 

 

走る前。・・・・

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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