自転車操業とは、
ペダルを懸命にこぎ続けないと、“停まったらこける、
会社で言えば、その日の売り上げがないと、
明日の支払いが出来ない、まったく余裕のない経営状態のことを言います。

あるいは、
ずっと泳ぎ続けるマグロのような回遊魚は、
泳ぐのをやめて止まってしまうと、
エラに水が送れず、呼吸が出来なくて死んでしまうそうです。
ある意味、自転車操業みたいなものです。

創業して29年余
私達のこの会社は資金的には自転車操業でなくなってはいますが、
同じような部分は今でも残っていると言えます。
常に前に進み、新しく進化していくような仕事のやり方をしてきたので、
その売上げは何とか上がり続けてきましたし、
社員も、店舗もびっくりするくらい増えてきましたが、
ずっと前に進み続けているということは、
停まったことがないわけであって、
今、ここで立ち止まったら、一体どうなるのか判りません。

立ち停まったら、
泳ぎ続けているマグロと同じように、窒息するのかもしれません。
自転車操業のように、こけてしまうのかもしれません。
私達はマグロと同じように泳ぎ続け、自転車のようにこぎ続けているのです。

ある人間が、
「みんなが、夜、家族と一緒に食事が出来るように、
仕事を工夫して努力してきたが、まったく夜が遅いのは解消しない。
私は、家族と一緒に晩御飯を食べたい。」と言いました。

そういうことを全くして来なかった私としては、
価値観が違うという意味で、理解出来ませんでした。
ということは、
良いとか悪いとかの意味ではなく、違う価値観であるということです。

しかし、ひょっとすると私は、
家族と一緒に食事をしたり、
ゆっくりとした生活をすることがキライという訳ではなく、
マグロとか、自転車と同じで、
停まることが、私は、怖いだけなのかもしれません。

かといって、
停まるのが怖いから進み続けているという訳でもありません。
それは間違いありません。
私の体も、心も、「進みたいっ」と、勝手に言っているので、
自ら進みたくて、嬉々として進んでいるだけなのです。
この会社の人たちの多くはそうだと思っていたのですが、どうなんでしょうか。

色々な人が、いますが、
価値観が違うので、仕方がありません。

私はひょっとしたら、
泳ぎ続けなければ生きていけないマグロかもしれませんし、
そうでないかもしれません。
でも、それを試す為に、わざと止まってみる気にはなりません。