谷 好通コラム

2013年10月13日(日曜日)

10.13.分かってしまい、出来ると思ってしまった人達との戦い

会社の成長とは、
「分かってしまい、出来ると思ってしまった人達との戦い」とも言える。

 

私は創業者なので、
会社がまだ小さな個人企業の時代からやっているので、
営業、店舗運営、製品開発から経理のことまで、
そのすべてを自分でやらなければならなかった時代を経ている。
だから、今の形のすべてを立ち上げて来たので原型を知っている。
それぞれの仕事、役割について、
もう自分ひとりでは何も出来ないが、
トータルとして隅々まで知っている唯一の存在であることは違いない。
しかしそういう人間をもう一人作って会社を継承する事は出来ないので、
仕事を役割に分けて、つまり分業して、それぞれに継承していくことになる。

 

分業する事によって、
複数の人たちの能力を束にする事になるので、
能力の総量としては大きなものになり、
当初立ち上げた者が知っている範疇では収まり切れない大きさになっている。
その事自体は会社が組織として拡大成長する正常なプロセスなのでしょう。

 

しかし、分業して
組織を作るにあたって、
一人一人のスタッフに、それぞれのポジションをあてがうのだが、
それぞれのポジションでの仕事が始まると
みんな、そのポジションの中から出てこようとせず、
“中”で与えられた仕事をしていればいいと思ってしまうのか、
自分が見える範囲の仕事の中だけでの価値判断が生まれるようだ。

 

それは、自分が、自分に与えられた仕事に脇目もふらず
全力を尽くしているからと思っているようだが、
与えられているポジション”以外”の仕事がたまたま目の前にあって、
それが他ポジションにとって有益であることが分かっても、
自分の担当外だからという理由だけで、
しなくてもいいと思いうのか、気がつかないふり、あるいは無視するのは、
会社という大きな単位の中での価値観が希薄になっているからだろう。

 

自分が見える範囲の中での価値観が優先するようになると、
外にある知らない事でも、
知っているような気になったり、
判る筈がないことでも、判っているような錯覚をしたり、
知っている範疇の世界の中だから出来たような事でも、
何処ででも、何にでも通用して、自分は”出来る”ような錯覚が生まれる。

 

自分の範疇の中で物を考え、中で仕事をしていると
外の世界が見えなくなってしまうだけでなく、
中の狭い世界がすべてであるよう錯覚を持つようで、
江戸時代、鎖国をして、
外国のことに目を閉じていた日本のようなものだ。

 

島国根性で、中での価値観でしか外を見ない。
だから、中が善、外が悪の単純な構造になりがちで、
外から見ると独善的であり、その言動は独りよがり、かつ陳腐になる。

 

会社が成長し続けているので、
何とか全体のレベルを高くしながら、
一人ひとりに渡すべき仕事に関わる見識と
能力と判断基準を教えようとするが、
それぞれが、自分の世界の中で、
それぞれに、もう知ってしまっていたり、出来るようになっている。
教えようとしても、
「もう、知っている。」
「もう、出来る。」と、自分の中に何も入れまいとする。
学習しなくなってしまうのだ。

 

それでも表面的には
「なるほど、ごもっともです。」と聞くが、
本人的には、
「もう、知っている。」であり、
「もう、出来る。」のだから、
口先だけでは理解し学習するが、その実、まったく受け入れようとはしない。

 

だから「判ってしまった」「出来るようになった」人は、
もう外からは受け入れるべきものがなくなって、自分は完成したことになる。
完成したのだから学習すべきこともなく、
学習せず、進化できない。
それどころか、全体の成長にも着いていけなくなっていることが多い。

 

自分の範疇の中だけで仕事をしたがる人は、
「もう分かってしまった人」「もう出来る人」になりやすく、
学習せず、成長せず、自らの陳腐に気づくことなく、
全体の発展の大きな障がいになる事すらある。

 

だから、会社の発展とは意外と
「分かってしまい、出来ると思ってしまった人達との戦い」とも言えるのです。

 

 

※きれいだったので、意味もなくアンドロメダ星雲

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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