2013年09月01日(日曜日)
9.1.ギセイ被膜という考え方。その② ポリマーからガラスへ
[あり得ない5年持続のポリマーコーティング被膜]
ポリマーコーティングは分子同士が結合しているので、
WAXよりもはるかに長持ちします。
しかし、しょせんポリマーコーティングとして使われているポリマーは、
塗装と同じように有機物(有機ポリマー)なので、
紫外線などで確実に傷んでいきます。
しかも、分子同士が結合していない流動性のあるWAXのように、
セルフレベリング効果がないので、
塗っただけでツヤが出るという種類のものではありません。
そこで出てきたのが、ポリッシャーとコンパウンドによる「研磨」です。
微細なコンパウンドで塗装表面を磨いて艶を出し、
その上に比較的長持ちするポリマーを塗るという手法です。
しかしこの方法だと、研磨に非常に労力を要するので、
値段を高くしないととても合いません。
そこで「5年保証」というような無茶な約束をして、
その条件に、毎年メンテナンスを自分でやること、
手洗い洗車をする事、・・・をすること、・・・を絶対にしないこと、
・・・がついたら、すぐさま洗い流すこと。
などなど、山ほどの条件をつけて、「保証」と言っても、
「コーティング被膜の持続保証」でも「効果の保証」でもなく、
「塗装のツヤ保証」という、
意味のよくわからないコーティングが出来上がってしまいました。
[本当に5年持つガラスコーティング出現。]
やがて、このままではいけないと皆が思っていたのでしょう。
本当にコーティング被膜自体が5年間持続するコーティングをと考えました。
それがボディ用のガラスコーティングです。
ガラスコーティングはほぼ、
ポリシラザンという物質を使ったものでした。
ポリシラザンは過去には高圧電流配線に「絶縁体」として使われていたもので、
通称「水ガラス」と呼ばれていました。
これを色々と工夫してカーコーティングにしたものです。
ポリシラザン-の基本構造はSi-nで無機物であり、被膜は無機ポリマーです。
いわばそれはガラスであり、紫外線などの攻撃に本来的な抵抗力があります。
基本的に(SiH2NH)有機溶剤に溶解して保存し、
塗布後、空気中の水分や蒸気に反応して、
脱アンモニア反応で硬化します。
これをカーコーティンクにすれば本当に5年間、被膜が持つはずです。
[硬い被膜でも、はがれないが、塗装の表面を変質。]
大昔のエポキシ樹脂が塗装からはがれたように
塗装より硬さのあるポリシラザンのガラス被膜ははがれそうですが、
はがれません。
ガラスの膜の一部が塗装の表面と同化しているのです。
しかしそれは、このガラス被膜を塗ると、
塗装の表面を変質させていることにもなります。
ポリシラザンを溶解しておくために必須の有機溶剤の影響でしょうか。
実験でこの類のガラスコーティングを塗装に塗って、
しばらく放置し、膜がカチカチに硬化したあと、
ポリッシャーとコンパウンドで
丁寧にガラスコーティングの膜を削り取ってやると、
下から出てきた塗装が、不気味にゆがんで波打っているのが解ります。
塗装の表面が変質した痕跡です。
これは、膨潤に似ている現象で、
現在普及しているこの類のコーティングには、
いまだに共通して解消されていず、問題にならないのが本当に不思議です。
[塗装がコーティングのギセイになったのでは本末転倒]
キーパーのコーティングに対する考え方は、
コーティングは、塗装の身代わりとなって汚れ、傷つき、
定期的に手入れによって入れ替わるべき「ギセイ被膜」であるべき。です。
私達は、いかに硬いガラスコーティングを固定するためとはいえ、
本来守るべき車の塗装の一部を変質させるのは、本末転倒と考えました。
たとえですが、
お肌を傷めることが最初から分っている化粧品を、
大切なお客様に塗るでしょうか。
お化粧を取らなければ、その傷みが分らなければいいのでしょうか。
[7.8年前まで、ピュアキーパーだけでがんばってきた]
ポリシラザン系のガラスコーティングは、
塗装の変質だけでなく、
水シミ・ツヤの問題などがあって、
他社がどんどんこの手のガラスコーティングを出しても、
私達は、どうしても自らのポリシーに反する事はできないと、
無機のガラスコーティングを出さずに、
有機ポリマーのピュアキーパーだけでがんばっていた時期が続きました。
7.8年前の話です。
それでも、ピュアキーパーは
あのころでも年間約150万台のお客様に支持され、施工していただきました。
ピュアキーパーはポリマー。有機のポリマーです。
だから5年耐久なんて言いません。
非常に柔軟なポリマーで、自然なツヤを出すことが出来ます。
3ヶ月に一度の施工を推奨し、
その被膜の入れ替えが塗装面改善的に楽にできます。
これは出来そうでできないピュアポリマー独自の手法です。
しかし、徐々に広がりつつあるガラスコーティングに危機感を持っていたことも事実です。
これを根本的に解決してきたのがドイツSONAX、Drピッチです。
この続きは、また今度の話しに。