昨日は、役員会であり、
昼食に近所の「うなぎ屋」に行きました。
ここは有名な老舗のうなぎ屋に何年も修行してきた人が始めた店で、
誰と食べに行っても「美味しいね」と言う、けっこう有名な店です。
月に一回の役員会、ちょっとした贅沢な昼食でした。
6人が注文したのは、
「うな丼・竹」2,140円。肝吸なし。
これが量的に一番良くて、美味しいうなぎを楽しめます。

うな丼を食べる時は、みんな
「うまいなぁ、うなぎは何でこんなにうまいんだろう。」と、
感嘆の声を上げながら食べるのが、当たり前の風景です。
しかし、この日はみんな黙々とひたすら食べていました。
はっきり言って、美味くなかった。
やたらとカライし、うなぎが硬いのです。

何でこんな風なのだろうかと考えて、
みんなの一致した意見が「うなぎが“痩せて”いる」からでした。

うなぎが痩せていて、
脂の乗りも少なく、身の厚みもないのに、
いつものような焼き具合に焼いているので、
脂が少ない身が硬く焼けてしまったのだろう。
しかも脂が少ないので身に甘みがなく、
同じようにタレをつければ、とてもカライ蒲焼きになってしまう。

今、うなぎが高騰しているらしい。
養殖うなぎの素、うなぎの子供「しらす」が激減して、
「しらす」は250万円/1kgもの高値がつく暴騰状態と書いてありました。
その結果、養殖されたうなぎの成魚の値段もたいへん高くなっているそうです。

脂の乗った上物のうなぎは数も少なく、
同業者で取り合いの状態だろうし、
とんでもない高い値段がついているに違いありません
というよりも、手に入ること自体が難しくなっているのかもしれません。

だから、このうなぎ屋は、
明らかに品質の落ちたうなぎを使ったのでしょう。
使わざるを得なかったのかもしれません。

しかし、消費者はそんなことまでは考えないので、
「うなぎの味が落ちたな。」の一言で、
この店に来るのをやめようと思います。
うな丼は、竹とはいえ2,140円は贅沢な食事です。
美味しくないうなぎを食べた人は、みんなひどくがっかりします。

このままで行ってしまうと、
この店は間違いなく廃業する事になります。
食べに来る人が激減するからです。

うなぎを食べると言うことは、
何かのお祝いとか、ちょっと贅沢とか何んらかの理由で、
ちょっとした幸せを、味わいに来たわけです。
いかなる事情があろうとも、
がっかりするのが分っていて、うなぎを食べに来ることはありません。
だから、この店に来ることをやめてしまう人が多いでしょう。

うなぎ専門店で、
良いうなぎが手に入らなくなったら致命傷です。
でも、仕方なしであっても、
美味しくないうなぎを出してはいけません。
美味しくないうなぎを出したら、それ以降、お客様が来なくなってしまいます。
多くの人がずっと来ません。
お客様を裏切ってしまったのだから、仕方ありません。

どうしても良いうなぎを仕入れることが出来なければ、
「美味しいうなぎを仕入れられませんでしたので、今日は店を休みます。」
と張り紙を出せば、
「この店は、店が開いていれば、美味しいうなぎを出す店なんだ。」と、
店が空くのを楽しみにしてくれて、
店を開ければ、待ちかねたようにお客様がやってきます。

あるいは、
良いうなぎの仕入れが高すぎるのならば、
訳を書いて「しばらくの間、値段を上げさせて下さい。」とお詫びして、
売値を上げさせてもらえばいいのです。
その値段では買わない人は買わないし、買う人は買うでしょう。
そして安く仕入れることが出来るようになったら、早々に値下げをして、
「やっと、いいうなぎを安く買うことが出来るようになりました。」と、
張り紙を出せば、みんなが喜んで来てくれるはずです。

いずれにしても、美味しいうなぎを食べてくるお客様に、
美味しくないうなぎを食べさせては絶対にいけないのです。
それは致命的な行為となります。

出来の悪いコーティングを施行することが致命的であるのと一緒です。