広島空港から東京羽田空港へ飛ぶ飛行機の中。

A席に乗れば、富士山が見えるはずと思って、
チェックインカウンターでA席に変えられるか聞いてみたが、
満席でダメだった。
予約してもらっていたのは反対側のK席。
残念だったが、おとなしくA席に座って、
飛行機が飛び上がってから、テレビモニターに今日の航路が映し出された。
それを見ると意外に北側を飛ぶ航路であり、
ひょっとしたらK席から
富士山山頂を覗き込む形で見ることが出来るかもしれないことが分かった。

ひょっとしたら・・・は、いつも可能性として有るものだ。

思い込みはいけない。
たとえば、自分があるグループの中にいて、
そのグループの中で頑張っていたが、
たまたまそのグループにいられなくなる事が起こった場合、
自分はそのグループの中でしか生きてこなかったので、
そのグループの中から外に出たら、
何も出来なくなってしまうと悲観し、絶望的と思えることがあったとする。

しかし、いざ外に出たら、
そこにはちゃんと酸素もあるし、中と同じように人間もいて、
同じような言葉をしゃべっていることに気がつく。
中にいた時には、外の世界は敵だったので、
中にいる自分たちとはまったく違う世界があると思っていたのに、
外の世界も、中の世界とほとんど同じで、
外の世界にも、自分の可能性がチャンあることに気がつくことがある。

絶対にダメ。なんてことはほとんど無いものだ。
どんな時にも、どんな状況になったとしても、可能性は有り、
その可能性を精一杯探っていけば、
意外にも開ける世界があることもある。

ただ、
自分が中の世界にいられなくなったその要因が
自分の思考や行動の中にあったことを忘れてはいけない。

外にも中と同じような世界があって、
同じように可能性があったとしても、
中から出されることになった自分の中の要因が、
外の世界での可能性をも、
同じように潰してしまう危険性があることを忘れると、
中にいたときと同じように、自らを否定されることになる。

外に出されて、実は中と外がほとんど変わらないことに気がついたら、
少なくとも外の世界には、まだ自分の可能性が存在していることなのだから、
中の世界でやってきたことと同じ事をすれば、
外の世界でも、中の世界と同じ結果を引き起こすことになる。

中から外に出されても絶望する事はないが、
せっかく外の世界にも可能性を見つけたのなら、
その時こそ、自分の思考と行動を、自らの意志で変えるべきなのでしょう。

とか何とか書いているうちに、飛行機が降下をはじめて、
わがK席の窓から「大島の三原山」が現れた。
つまり、富士山はA席で見えているということだ。

ひょっとして、と期待を持ったが、
なかなかそううまくは行かない。残念。
しかし、三原山も久し振りに見たので、これはこれで良かったという事だろう。