谷 好通コラム

2012年08月14日(火曜日)

豪雨で止まっている新幹線の中で

 

掛川と袋井の間で東京行きの新幹線が止まっています。
激しい雨が降っていて徐行運転も危険なようで、
車内放送では
雨脚が弱くなってきたら動き出すそうだが、
それまでにはかなりの時間がかかるでしょう。とも言っている。

 

運行途中で止まった新幹線に乗っているのは何回目だろう。
しかし私は新幹線にはもう何千回も乗っているので、
途中で止まるその確率はかなり低くはある。

 

旅客の安全が第一には違いない。
日本の新幹線は運行上の事故で死亡者を出したことはまだ一度もないそうだ。
それは奇跡的なことであり、素晴らしく、誇れることだ。

 

そういえば、
ちょっと前に起きた中国でのあの新幹線事故はあれからどうしたのだろうか。
大量の死傷者を出した新幹線同士の衝突事故は、
日本ならば鉄道史の最大の汚点として刻まれるだろうが、
中国では運の悪い誰かが責任を取らされて終わったのだろうか。
中国では、国の恥は忘れるに限るから、もう誰も何も言わないのだろう。

 

衝突事故で橋脚から落ちた新幹線車両を、
直に土の中に埋めてしまおうとした国だ、
事故の原因究明が明確に成されたとは思えない。
原因がはっきりさせずには、直すべき点もはっきりしないので
改善を図れる訳がない。
だから、あの新幹線は事故前と同レベルの安全性でしかないのではないか。
私が今後中国に行くことがあったとしても、
たぶん、中国の新幹線には絶対に乗らない。

 

もう一つの乗り物の恐怖。
上海市内と浦東空港を結ぶ最高時速400kmのリニアモーターカーがあるが、
私はそれに一度も乗ったことがない。
モノレールのようなコンクリートレールの上に、
リニアモーターカーが故障で頓挫しているのを何度も見ており、
日常的に故障する乗り物に身を委ねて時速400kmを出す勇気はないので、
私はあれには絶対に乗らないぞ。と開通当時から決めていた。

 

 

話は戻って、
今、私が乗っている新幹線。
掛川駅周辺で50mm/時間を越す豪雨が降っているそうで、
止まってから1時間近く経ったが、まだ動く気配はない。
安全第一、お天気には逆らえないのだから雨がやむまで、待ちましょう。
みんな分かって乗っているので、
豪雨を避けて線路上に止まり続ける新幹線に、
誰も文句を言うこともなく、車掌に食い下がる者も誰一人いない。
1時間くらい止まっている間に、10回は車内放送で情報が伝えられた。

 

何年か前に中国・大連の空港から上海に飛ぶ飛行機が、
霧のためにその前の瀋陽空港から飛んで来れないので、
大連空港で20時間以上待たされた挙句に、欠航になったことがあった。
20時間の間、情報はほとんど伝えられなかった。

 

安全に対する価値観や、
客を待たせることに対する価値観が、ここまで違うのは、
価値観の根本的などこかが、日本と中国ではくい違っているように感じる。

 

止まっている新幹線の中で時間を持て余し、そんなことをふと考えた。

 

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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