新潟は暑かったが、湿度が低く、空気が乾いているようで、
暑い割にはさわやかであった。

久しぶりに軽自動車を長い時間運転した。
レンタカーが、ビッツとかの小型車は禁煙車しかなく、
喫煙車は軽自動車しかないと言われたらしい。
その旨を事務員さんが「どうしますか?」と尋ねてきたので、
私は躊躇することなく、軽自動車の喫煙車を選んだ。
タバコを我慢するのが嫌だったのもあるが
しばらくぶりに軽自動車に乗ってみたくもあったからだ。

軽自動車は日本の文化である。
ある規定の大きさを下回っていて、600cc未満のエンジンならば、
それがターボチャージャーを装着していても、
車庫証明が要らない。車検が長い。税金がものすごく安いなど、
特典がいっぱいつく。
世界中で日本だけが実施している素晴らしい施策だと思う。
エコが叫ばれている現代を見越して作られたわけではないだろうが、
省燃費を考えるならば、
どんなエンジンを造るにしても、
その前に車が軽いことが一番効果的であり、
動かすべき物体が軽ければ軽いほどそれに要するエネルギーは少なく済む。
車を軽くするには高度な技術と素材に金を書けるのもいいが、
一番効率的なのは車を小さくすることだ。
車は一人乗車で乗っているケースが一番多い。
高速道路を走るより一般道路を走っている時間の方が圧倒的に多い。
そう考えてくると軽自動車は、日本の今にぴったりの車なのだろう。

そんなことを思って軽自動車をレンタルして、
午後から夕方まで新潟を走り回ることにした。

レンタルされたのは7万5千km走った、かなり前の年式の軽であった。
乗っていること自体は苦痛でもなんでもなかった。
今の軽自動車は目覚ましく進化していて、
ハンドルもブレーキもしっかりしていて、全く不安はない。
私が四十年ほど前に乗っていた軽自動車とはまったくの別物だ。

しかし、
高速道路を走っている時以外は、クーラーが余り効かなかったのには参った。
信号待ちで止まっている時などは扇風機以下である。
古い車だったからだろう。

もう一つ、クーラーを掛けっぱなしだったこともあるが、
加速はすごく、すごく加速しない。
アクセルを床までべったり踏んでいても、素晴らしく遅い。
高速を走っても100km/h出れいれば上等で、
上り坂ではエンジンブレーキを掛けたほどに減速していく。
しかし、
ものは考えようで、
非現実的だと思っていた日本の規制速度の設定が、
この軽自動車ではぴったりであった。きわめて安全な車なのだ。

つい、スピードを出しがちになってしまう私には
ベストの車かもしれない。

しかも、
何かすごく疲れたのか、
この日の夜は、布団に入ったかどうかも覚えていないほどすぐに寝付けた。

そういう意味でも私にぴったりの車かもしれない。
たぶんスピードを出せないことに疲れたのだろう。

・・・・・

反転して今日、
8月5日、富士スピードウェーで「86の日」のイベントに来ている。
8月6日が月曜日だったので86ではないが今日開いたらしい。
ゴルフカップレースがなくなってしまった今年、
まだレースには一度も出ていない。
今年の後半は、このN1仕様に固めた86で
何度かサーキットを走れるかもしれない。レースも走れるかもしれない。

たまには軽自動車もいいが、やっぱりレースがいい。