2012年07月10日(火曜日)
あれはきっと富士山だった
乗っているのは旧式のB-737-500、ANA機。
札幌千歳空港に向かっている。
朝、札幌に向かって北上する時、
離陸してからほんのしばらくすると、
はるか東の方向に、よく富士山が見える。
だから座席はAの反対側、
つまりANAのB-737-500の場合はFの座席を取ってもらう。
久しく富士山を見ていない。
少なくとも飛行機からの富士山は最近見た記憶がない。
お天気が不安定な季節は、かなり高い上空まで雲が出ているからだろう。
私たちの会社は6月が決算であり、7月が会社の人事異動の季節でもある。
本当は期が変わった時点で、
新しい体制に代わっていなければならないのだが、
6月はたくさんのことがあることと
社員旅行を6班交代でやっているので、いつも誰かがいない状態が続くから
実質的な移動は7月に入ってから行われることになる。
人事異動は部署の変更のみならず勤務地が大きく変わる人もいる。
これが株式を上場していて社員何万人の大会社ならば、
辞令は命令であり、拒否は即退社となるが、
しかし、私たちのような中途半端な小さな企業ではそうはいかない。
社員の生活に大きく影響を与える遠方への転勤の場合は、
一人一人直接会って、しっかりと話をする。
最近の若い人たちは地元を離れることを
嫌がる傾向が強くなったような気がする。
地元に残りたい人が全部ではないが、
一つの傾向として、
生まれ育った地元で、
安定した家庭を作り、
そこそこの所得を、適度な労働で得て、
お金の管理は奥さんが完璧に握り、
亭主は、お小遣いを”もらって”、
お休みはいっぱい取って、
平和に、静かに、安定して、平凡な生活をする。
穏やかに、穏やかに、穏やかに。
そんな人が増えてきているような気がする。
それもいい。
それを決して否定するものでも肯定するものでもない。
しかし、
より大きな職責を持って、
多くの人に対する職権を持ち、
より大きな仕事を果たして、自らの夢、あるいは志を実現したい。
人並み以上の所得を得、
より大きな達成感を得ようとする人もいる。
この場合、住む場所も、同じ場所に居続けられるものではない。
転勤、単身赴任、家族同行の転勤をものともしない者が、
会社の中枢を担っていく幹部に育っていくのは、自然なことだ。
あくまでも転勤を望まぬ人が、
望む場所に居続けようとするならば、
その場所にある職域の中でしか職責は与えられないのだから、
その職域の中だけでのトップが、その人の役職の限界であり、
会社全体の幹部になる事はない。
昇進を伴った勤務地の移動は、
“その人の能力”を認めて、
移動先の職域の建て直し、
あるいは発展などを託すわけである。
そのことが、会社のためだけでなく、
みんなのためになり、本人のためになり、家族のためにもなる事を切に願う。
さて、話を戻して
座席を指定してまで富士山を見たいと思ったが、
雲が富士山の身の丈にまで登っていて、
山頂あたりが、何とか見える程度であった。
と言っても久しぶり富士山。
いつものように窓にかぶりついて、シャッターを押す。
この写真では無理でしょう。
ちらっと、三角の黒い陰が。
あれはきっと富士山だった。
・・・・
・・・・・・
と、札幌での仕事を終えて帰りの飛行機。
午後7時15分発、離陸してからちょうど夕日が見える時間であった。
うん? あれは富士山か?
北海道にも富士山がある。
蝦夷富士とも呼ばれる「羊蹄山」
蝦夷富士、羊蹄山
噴火湾と、左に湖の真ん中に小島があるカルデラ湖「洞爺湖」
夕日は哀しい。