2012年04月16日(月曜日)
原点であり、到達点でもある。
昨日は仙台での達成会を終えて、よく寝た。
今朝は早くから、仙台営業所の営業スタッフ全員と部署別営業会議。
その会議の終わりに
5月中旬からアイ・タック技研に入社する鈴木さんとその家族が
営業所に訪問してくれたので、みんなに紹介をした。
と言っても、仙台営業所のみんなは、全員、鈴木さんのことを知っていたが、
改めてお互いの入社の挨拶と、
鈴木さんの家族にアイ・タック技研の仙台を見ておいてほしかったのです。
鈴木さんは福島の「㈱渡辺石油Q-pit大熊」に勤めていた。
一昨年8月のキーパー選手権で全国ランキング3位入賞のキーパープロショップである。
1万数千人の少ない人口にもかかわらずの入賞は特筆すべきとして、
Q-pit大熊の鈴木所長とマネージャーのお話をビデオに撮らせていただいて、
その年のキーパープロショップ研修会で全国の人に観ていただいたことがある。
全国の皆さんに大きな刺激を与えてくれた。
しかし、その後、昨年の3月11日、
東日本大震災による福島第一原発の事故で、
原発の直近にあったQ-pit大熊は、事実上の廃業に追い込まれ、
近くに住んでいた鈴木さんも地域の人達もろとも避難生活を余儀なくされた。
鈴木さんはQ-pit大熊で働くと同時に実家の梨畑で農業していたが、
その梨畑も避難区域に入っており、
見事な古木の梨の木も手入れされずに放置されたままで、
たぶん駄目になっているそうだ。
大熊町の人々は福島の会津若松に集団で避難しており、
鈴木さんの家族も今、会津若松に住んでいる。
その鈴木さんに、
アイ・タック技研で働いてもらえないだろうかと私が話したのは、
昨年の10月頃だったのではなかっただろうか。
鈴木さんは被災前に働いていた渡辺商店さんの社長と、
仕事の再興を目指して試行錯誤していたが、なかなか目途がつかなく、
渡辺社長から鈴木さんに自分自身の道も探るように伝えられたことを聞き、
ならば仲間になって欲しいと切り出した。
被災から半年以上後のことだ。
しかし彼が、実際に決心してくれたのは、
それからもう半年後のことだった。
正直、もっと早くとやきもきしたこともあった。
しかしその訳が、今日、やっと解かったような気がした。
鈴木さんと奥様とお二人の子供さんの心のつながり強さを、
ひしひしと感じて、やっと理解できたような気がしたのだ。
3月11日以降、
家も、職場も、仕事も、
今まで手に入れてきたほぼすべての物と、
先祖から受け継いできた梨の畑も、ほとんどすべてが、
天災ではなく、人が関わる災いがもとで、
不意に身の回りから無くってしまったことに、
どうしても諦めの心情に成り切れなかったのではないだろうか。
そして自分と家族に残ったのは、
家族の心のつながりと地域の人とのつながりが、ほぼすべてであって、
お互いを支え合ってやっとここまできたのではないだろうか。
避難生活のその現状を打破することは、
あまりにも理不尽な現状に至ったことに諦めきれない心情と、
複雑に矛盾していて、葛藤があり、
それが半年の時間が必要であった理由だったような気がした。
もちろん私の想像でしかない。
まったく違うのかもしれない。
しかし、四人の家族の姿に、
あまりにも強い心のつながりを感じ、
仙台からの帰りの飛行機で、そんなことを勝手に連想して、胸が詰まったのでした。
もう一つの話。
キーパーラボ運営本部の賀来常務が、今、アメリカに行っている。
バスフィッシングの日本でのある大会で優勝したので、
そのご褒美にと、
アメリカの五大湖の近くで開催されるアメリカのバスフィッシング大会に招待された。
彼曰くバスフィッシングは彼の本業であるらしく、
アメリカでの大会で優勝でもしたら、本気で帰ってこなかったかもしれない。
しかし、あさって帰ってくるようだ。
彼が、電話で言っていた。
大会での成績は納得できるものではなかったらしいが、
「帰りたくないですけど、ラボのみんなが待っているから帰ります。」と。
奴は負け惜しみを言うような男ではないので、
本当にそう思って帰ってくるのだろう。
アメリカの大地は広大で、圧倒的であり、
その中で勝負する自分の存在感は、男冥利に尽きる思いだっただろう。
出来得れば、この地に住んで人生を全うしてみたいと強烈に感じたに違いない。
奥さんもそれくらいの度胸はある人だ。
人生は一度だけ、
せっかく生まれたからには、
計算して生きていくような人生よりも、思いっきり羽ばたいてみたい。
奴は、そんな男だ。
そんな奴を、日本に帰って来たいと感じさせたのは、
キーパーラボの子達の心のつながりだったのではないだろうか。
すごく良くわかるな~、とまたジンと来てしまった。
まったく違う今日の二つの出来事に、
人と人を結ぶ心のつながりを感じ、勝手に二度も感動してしまいました。
人が人を思う心のつながりは、
人が人であるが故の、原点であり、到達点でもある。
そんなことなのではないだろうか。
鈴木さんご家族四人
もう仲間です。心から歓迎します。
賀来常務も早く帰っておいで。
ラボのみんなが首を長くして待っているよ。