2021年05月23日(日曜日)
5.23.わざわざ社長が来てくれたんじゃあ断れません。
「わざわざ社長が来てくれたんじゃあ断る訳にいきません。」と、
地主さん(大家さん)から直接言われた事はそんなにはありませんが、
私自身が、直接、お願いに伺った物件で
結局断られてしまった物件もほとんどありません。
というより記憶にないので、無かったのかもしれません。
社長が直接行っても、地主さんたちにお伝えする内容は、
担当者が伝える内容と変わりません。
それでも地主さんは、(社長であった)私が直接、頭を下げて約束をすると、
それまでに担当者がした約束の信憑性が増すのか、
気持ちよく受け入れてくれる場合が多い。
あるいは、地主さんと直接話す事によって、
担当者が思い込んでいた誤解が判明して、その誤解が解けた場合もあったが、
そういうことは稀(まれ)であって、
ほとんどの場合は、
地主さんがこれからの長い間、自らの生計を委ねる企業と、
その企業がした約束が本当に信頼していいのかどうか、
担当者と話しているだけでは、今一つ確信できなかったものが、
企業を代表する社長が、
一言一言を大切にして約束してくれると、
地主さん(大家さん)の安心は、想像以上に深くなるもののようです。
そういう経験は、私も数え聞れないほどあります。
これは、会社を代表する社長(あの頃は私)が
素晴らしいという事でも、なんでもなく、
そういうことではなく、
地主さん(大家さん)にとって、
借主あるいは店子が、
悪い会社、弱い会社、嘘つきな会社だったら、
先祖から引き継いだ大切な土地や建物を、
悪い事に使われて世間に迷惑を掛けてしまったり、
下手をすると賠償責任を被ったりしたら取り返しがつかない。
弱い会社だったら倒産されても困る。
いずれにしても、
地主さん(大家さん)にとっての生活の糧である地代(家賃)が回収できないと、その生活が破綻する訳であり、
相手を見極めるのには真剣です。
仲介する不動産屋さんも、
借り手の事を地主さん以上に知っている訳でもなし、
相手選びに失敗した場合でも、責任を取ってくれる訳でもなし、
地主さんに対し示される資料は、当然良い事ばかりが書いてある。
結局、自分の相手を見る目を信じるしかない。
しかし、借り手を見極めようにも
自分の前には、相手の会社の担当者しか現れないとしたら、
相手の”手”しか見えていないことになって、不安である。
そんな時、
借り手会社の社長が会いに来たらどうだろう。
会社の社長とは”顔”であり、”心(意思)”でもある。
それをわざわざ自分に見せに来てくれたとしたら、これは嬉しい。
信用する気にもなる。
「わざわざ社長が来てくれたんじゃあ断る訳にいきません。
あなたの会社に借りてもらいます。決めました。」
私自身の経験では、
この反対の場合もあった。
ある土地物件を、ある巨大コンビニチェーンと競り合った時、
社長であった私も、勿論、地主さんの所に挨拶に行ったが、
先に相手の巨大コンビニチェーン会社の○○常務取締役が来ていて、
地主さんは「○○常務に貸すって言っちゃったから・・」と、
私はその巨大コンビニチェーンの○○常務取締役に完全に負けてしまった。
何が負けたと言えば、
スピードで負けたのだ。
相手の企業がどんなに巨大であろうと、そんなに簡単に負けるものではない。
しかし、先に行かれてしまったのは失敗だった。
担当者が私を呼ぶのが遅すぎた。
担当者が、自分で話を着けられると思って、
いよいよ困ったら私を呼ぼうと思っていたらしい、
そんなスキに、相手のコンビニは○○常務を”先”に呼んで、
地主さんに信用させてしまって、
地主さんは「○○常務に貸すって言っちゃったから」と言い出して、
“困った”我が担当者は、やっと私を呼んだのだ。
もちろん、もう遅かったことは言うまでもない。
一番始末が悪いのは、
担当者の「自分で話を着けられると思って、
いよいよ困ったら私を呼ぼうと思っていたらしい、」で、
困った時には「時すでに遅し」になっていて
地団太踏むことになる。
社長は企業の”顔”である。
相手に自分を信用させるには、まず挨拶であり、
挨拶は”手”でするだけより、キチンと”顔”を見せて礼を尽くしてするものです。