谷 好通コラム

2012年01月25日(水曜日)

2961.有り余る時間の中での空想

原子力が人類には100%はコントロールできないエネルギーだとしたら、
これは無くすしかないのは明白だろう。
原子力エネルギーとは原子力発電であり、原子爆弾でもある。

 

その原子力エネルギーが
10年間で人類を滅亡させる確率が1%しかないとしても、
つまり人類が生き延びる可能性が99%であったとしても、
1,000年のスパンならは、
99%の99乗は約33%となり、
2,000年の西暦以後のスパンで考えれば、
99%の200乗はわずか約10%でしかないので、
(本当に計算してみた)
キリストが生まれてからの西暦の二倍、つまり西暦4,000年までに、
原子力が人類を滅亡させる可能性は90%となる。

 

詳しくは知らないが、
世界中には何千発もの原子爆弾が存在していて、
何百回も世界中を破滅させるだけの威力があるらしい。
冷戦中にはそれを本気で使おうとした危機があったし、
今は、もっとたくさんの国が保有しているので、
それぞれの国の別の事情と目的があって、
その危機は想像以上に散らばって存在している。
北朝鮮がなぜ原子爆弾を造ろうとしているかを考えると、
もし、それを造った場合、それを使わない確率は10年間で99%だろうか。
少なくとも100%ではない。

 

福島第一原発は100年の観測史上にはなかったというだけの想定外巨大地震で
メルトダウンにまで暴走した。
破滅的な再臨界、大爆発あるいはチャイナシンドロームまでの暴走を
阻止できたのは危機一髪の幸運もあったからだろう。
あの事故が本当に危なかったということが、今になって小出しにされてきている。
世界中にはすでに何百基という原子力発電所があるので、
2,000年のスパンで考えた場合、
福島原発の事故とは比べ物にならないほど深刻だったチェルノブイリの大事故の、
それ以上の破滅的な事故が起こらないという確率はかなり低いだろう。

 

原子力が人類には100%はコントロールできないエネルギーだとしたら、
とりわけ原子爆弾は、
それがたとえ楽観的に考えて
10年間のスパンで99%の確率でコントロールできるとしても、
2,000年後に人類が生き残る確率が10%にしか過ぎないとしたら、
それは持つべきではないと思うのではないか。

 

人類が発生して100万年。
キリストが生まれてからたった2,000年は、
100万年の5,000分の1でしかない。
人類発生からのたった5,000分の1の時間の中で、
人類が生き残る確率が10%しかないとするならば、それを使い続け、持ち続けるのは
今の時代を生きる今の世代のエゴでしかないのかもしれない。
それで作り上げられ、支えられているものを「文化」と呼ぶならば、
それはあまりにも空しいと思える。

 

宇宙の137億年の歴史の中では、2,000年は685万分の1。
一瞬の瞬きをも許されない極微の時間で
人類はたった10%の確率でしか生き残る可能性はないのか。

 

たぶん何年かぶりで午後5時に退社し、
有り余る時間を持ったら、
そんな刹那的な空想をしてしまった。
意味はない。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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