谷 好通コラム

2012年01月09日(月曜日)

2951.驚異のV字回復の秘密。[先出し方式]

遠野副社長いわく
「数年前、マツハヤ石油㈱は非常に苦しい状況であり破綻寸前であった。」
そこで経営母体が変わり今の会社になった時点で、
遠野副社長が実質的な経営責任者として、会社の根本から改革を始めた。

 

徹底した「先出し方式」だ。

 

「先出し方式」とは、
出す事、つまり与える事が先であり、それから得る。

 

支払いの現金化、回収サイトの短縮
倒産寸前であった会社を立て直すのにまずやったことは、
支払いをすべて現金払いにする事。
手形での支払いもすべて止め、すべて現金払いまたは現金振込みの方式にした。
するとその会社との取引があった業者の皆さんは、
その会社が窮している事に大きな不安を持っていたのが、とりあえずほっとする。
支払いサイトが長かったために高かった仕入れも、
不安を拭うことによって、交渉しなくても、自然にぐんと安くなる。
まず、支払いを早くした上で、
今度は顧客に対して回収サイトを早くしてもらった。
それまでは自らの支払いサイトも長かった為、
回収サイトもルーズに長くなっていたが、
自らの支払いを早くして顧客への支払いサイト短縮の交渉もする
結果的に回収サイトを大幅に短縮し、キャッシュフローの改善を得た。

 

給与まで含めて会社の経理をすべてオープンにした。
まず会社の現状の情報をオープンにした。
その上でどうすべきか、あるべきかを提示して、
具体的な方向、この場合「日本一の会社」を目指す道を示し、
そのことによって、
社員全員一人一人がどうなるかをイメージさせ、
自分が今、現実に何をすべきか、何をすればいいのかを具体的に示す。
知らせるべきを知らせず、自分の内情は内緒にして、
みんなに協力を求めても、誰も本気で応えることは出来ない。
思い切ってすべてを公表し、つまり情報を与え、
社員全員の同感と、同意、実現への一人一人の意思を得る。

 

給与体系の構築・公開と向上への意欲。
みんながやることをして結果を出せば、
キチンと評価されるような給与体系をキチンと整備し、それを公表して、
自分の給与が、どのような評価で、なぜその金額になるのかを分かるようにした。
もちろん管理職、役員までをもオープンにしたのだ。
アルバイトは契約社員に、契約社員は正社員に、
スタッフの立場がステップアップする道を示し、
自分が何をしてどうなれば待遇と立場が向上する道を与えた。
特に賞与は、何をして、何を成せば、自分がいくらの賞与を得られるかを示し、
その上で給与を上げ、もっと自分の所得を上げる方法を与え、
アルバイトに至るまでのスタッフ全員、一人一人の意欲と向上心を得た。

 

徹底して開かれたコミュニケーション。
遠野副社長をはじめとして会社幹部はことあるごとに社員と酒を交わし、
本音でのコミュニケーションを作り上げた。
コミュニケーションに要した費用は経費として与える。
もちろんその経費は各店舗、部署の経費に組み入れられ、
使った費用は自分たちで稼ごうというプラスの意欲を得る。

 

ステータスと機会を与え「衣食が足りて礼節を知る」を得る。
地元局でテレビコマーシャルを積極的に行い、
会社と店舗、社員のステータスを上げた。
倒産寸前の会社で「貧すれば鈍する」に陥り、
お客様のことを考えない押し売りや、
恥ずべき単に売上げ欲しさの無理な販売をする傾向にあった店舗とスタッフが、
日本一の会社を目指し、それを実現しようとする意欲が湧くような収入得て、
「礼節」をもった衣服と態度で、お客様のためになる商品提案をするようになった。
その結果、お客様から信頼されるような店舗運営が得られた。

 

技術力を与え、確かな品質を実現して、お客様からの信頼を得た。
店舗で生産する商品である洗車・コーティングは、
技術力=商品品質=付加価値の高さ。
店舗にはコーティング技術研修を受け、検定で資格を取ったスタッフが
必ず複数名在籍し、資格を持ったスタッフだけに施工をさせている。
これによって、店舗では高い品質の高付加価値商品が提供され、
お客様は安心してその商品を得られる。
このサイクルから想像以上の口コミ効果が得られ、安定した高い収益を得られる。

 

「先出し方式」
先に与えて、あとから得る。

 

たった三年足らずで、倒産寸前(事実上の倒産状態)から、
ずば抜けた財務体質を持った優良企業に超V字回復したマツハヤ石油㈱の奇跡は、
こんな「先出し方式」が実現の源であったようだ。

 

しかしこのような「先出し方式」は、
理にかなっていて、当たり前のようにも思えるが、
これは、経営トップに強烈な意思と実現力がないと絶対に出来ない方法です。
経営者の端くれである私自身、その難しさがよく解ります。

 

しかし逆に、それが実現出来れば、
企業というものはこんなに良くなり、
収益性が高まるものであるとも言えるのでしょう。
大変いい勉強をさせていただきました。

 

 

※これは、私自身が
遠野副社長からのお言葉をお聞きして
本当はもっと違う意味を持っているのかもしれませんし、
間違った部分があるかもしれませんが、
私自身が解釈したことであることを、お断りしておきます。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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