谷 好通コラム

2011年09月25日(日曜日)

2876.自らの中の攻撃性を刺激するか

車のレースは、他の車と争うだけでなく、
自分が乗っている車が0.1秒でも速くコースを走るために、
自分の気持ちの中にある恐怖心を突破して
それまでの自分の限界を超えた時に楽しめるところにあると思っていいます。

 

それで少しでもタイムが上がり、
結果として他の車を抜かしたりでも出来れば、
それはもう快感なので、やめられなくなってしまうのです。

 

自分の中にある恐怖心を押さえ込み、
突破するのは、それは恐怖心との戦いに他ならないので、
実は、自分の中のものへの攻撃であり、
それは自らが持っている攻撃性への刺激であり、喚起になります。
この場合の自分に対する攻撃性とは、
それまでの経験の中で積みあがってきた「思い込み」とか「概念」との戦いの事です。

 

「ここはアクセル踏みっぱなしで行けるコーナーだ」と聞いていても、
非日常のスピードで、向こうが見えないコーナーに、
アクセル全開で突っ込むのは、それは怖いものです。
「オリャ~」と掛け声と共に、
強い横Gを感じながら頭と足が勝手にアクセルを踏む力を抜きそうになる恐怖心を
自分に「踏め~っ」と命令して、恐怖心を全力で無視し、
アクセルを踏む足に、思いっきり力を入れることで、
場合によっては150km以上のスピードで突入します。
強烈な横Gで後輪がズルっとすべり始めても、
微妙にハンドルでカウンターを当てながら、決してスピードをゆるめず
高速コーナーを速く回るのは、本当に快感です。

 

それは多分、自分が持っていた思い込み=恐怖に勝てた快感なのでしょう。
恐怖というのは、
今までの経験の中で蓄積してきたただの思い込みである場合がほとんどです。
それが「恐怖」でなくても、
「まずい」とか「くさい」とか「不快」であるとか、
それまで経験の中で自分の中に、
たくさんのマイナスや限界や苦手を貯め込んでいます。

 

そのほとんどは「おりゃ~」と全力で無視すれば、
実はいとも簡単に突破できる場合が多いものです。

 

しかしレースにおいて「恐怖心との戦い」とは、
単にアクセルを踏みつけるだけのことではありません。
本当に速く走れるようになるには
コーナー前のブレーキング、進入の仕方、
車の角度、脱出の仕方などなど、非常にデリケートなコントロールが必要です。
それを速いスピードと、自分と車にかかる強い横Gの中で、
冷静に組み立てて行くには、いつまでも恐怖心などと戦っていてはダメで、
そんなものはどこかへ放り出して、
自分と車を極限の中でコントロールしなければなりません。

 

恐怖心に勝つだけでなく、
速く走りたい。
レースを共に走るライバルに勝ちたいという
至極単純な攻撃性を刺激すると共に、
勝ってそれを発散するところがやはり快感です。
そこがまた面白いのです。
そして結果として、出来るだけ前のほうでゴールできれば万々歳で、
レースはやっぱり楽しいのです。

 

自らの思い込み=恐怖に対する攻撃性とは、
自分の限界を突破する事に他ならず、
男はそうでなくてはイカンと思うのです。

 

人は普通に生活をしていれば負の経験も必ずあります。
平和でみんなと仲良く、静かに暮らすだけでは、
どんどん積み重なっていく負の経験の中で、
自分の限界をどんどん低くしていくだけで、
本来持っている自分のパワーを出さずじまいで終わるのは、
せっかく与えられた人生がつまらないと思うし、
自分を生かしてくれているたくさんの人たちや、
仲間や家族にも申し訳ないと思います。

 

 

今日のレースは、
15周のレースで、同じクラスの4台中3位でした。
予選3位でスタートして、
中盤までは前を行くライバルに追いつくスピードで走れたのですが、
8周以降くらいからくたびれてきたのか、
小さなミスばかりが続いてがっくりとスピードが落ちてしまいました。
4位の車にどんどんと追い上げられ、
最後は0.5秒差、つまり、ほとんど後ろにくっつかれて
あと1周か2周あったら多分抜かれていただろう危ないレースでした。

 

体力の限界が、気力の限界までを押し下げて来始めたのかも解りません。
しかし、ここまで来たら、
最後の最後までやってやろうというむしろ高揚した気力が湧いている事も事実です。
体の総点検もしました。
気力もたっぷりと充電しました。

 

 

サーキットに「保坂君」がいました。
MINIクーパーのレースに出ていたのです。

 

 

私よりうんとカッコいいヘルメットに、
キーパーのステッカーを貼ってくれていました。

 

 

前を行くライバルを追い詰め、もうちょっとで抜けるところでした。

 

 

今回のサーキットは、ミニサーキットに類するサーキットで、
ピットはぎっしりです。

 

 

決勝前の緊張感が・・・・・。

 

 

私はどうしてもどや顔みたいになってしまうですが、
本当はそれなりに緊張しているのです。

 

 

同クラス5台中、3位の畠中選手。前後の車が離れて孤独だったそうです。

 

 

その後ろで、ゴルフ5クラスはけっこうデッドヒートだったのです。
レース序盤、まだ元気で前の車を攻撃的に追っていたころです。

 

 

終盤、前には引き離され、後ろから追い上げられ、
ヘロヘロになってしまいました。

 

 

帰りのアクアラインは大渋滞でしたが、きれいでした。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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