谷 好通コラム

2011年09月17日(土曜日)

2869.会津坂下「一等獲るってゆったべした。」

「会津板下」とは
「あいずばんげ」と読み、
福島県の会津若松、喜多方、柳津のどの町からも三里離れている場所に位置しています。
昔はその往来の中継点として宿場町として出来た町で、人口は現在1万8千人。
ピークには2万5千人いたそうですが、
地元にあった大手企業の下請工場がこの不景気でどんどん統廃合され、
地元での就業先が無くなって人口はジリ貧であり続けているということです。
現在は米作を中心とした農業の町であり。今は畑に新蕎麦の花が咲いていました。

 

 

福島と新潟を結ぶ磐越道の「会津坂下IC」を降りて数Kmの所に、
「㈲江戸屋燃料店 会津坂下西SS(別名ピカピカランド)」があります。
ローカルによくあるごく普通の大きさの、ごく普通のENEOSのガソリンスタンド。
燃料油販売もローカルとしてごく一般的な数量で、平成2年に改装した建物はよく見るENEOSスタイルであり、
特に変わった機械が設置されているわけでも、目立った看板があるわけでもなし、
お店にいるスタッフさんも今どきのヤンチャ風な若者たち。
この一見してのどかなごく普通のガソリンスタンドが、
第8回キーパー選手権で「SS全国第一位」を獲得した店なのです。

 

 

全国1850店舗のキーパープロシッョプの中の、
キーパー選手権にエントリーした約1,200店舗のトップ、
頂点に立ったSSさんなのです。本当にすごいのです。

 

普通のガソリンスタンド「㈲江戸屋燃料店・会津坂下西SS」さんが、
なぜ、どのようにして、全国のキーパープロシッョプさんの頂点に立ったのかを、
㈲江戸屋燃料店 広田社長と、
仕掛け人でもある㈱倉島商店の澤田課長に現地で取材して、
その具体的な足跡を探ってみました。

 

 

さかのぼること21年の平成2年、
SS全面改装を機に、ある洗車機メーカーさんの企画に従って
VIP会員、洗車前売り券などで洗車特化型のSS造りを行なったが、
労多き割に成果は上がらず、だったそうです。

 

江戸屋燃料店さんが、昔から洗車には特に力を入れてきたのには訳があります。
広田社長の考え方で、SSの店舗の中で販売している商品は多いが
お客様に本気で「ありがとう」と言ってもらえ、
「褒めてもらえる商品」は、
唯一、洗車(関連の商品)しかない。
だから、洗車をしっかりと充実させることが、
地域に密着し根を下ろした店舗として貢献し、みんなの幸せにつながる事だと。

 

しかし、それを実現するために数多くの商品アイテムを取り扱ってきましたが、
なかなかうまく続かなかったそうです。
広田社長の言葉をそのまま引用すると、
「リピートするアイテムを探したが、リピートに繋がらなかった。
商品・・・スタッフが「これはいい」と感情移入できるものがなかった。
お客様の満足が得られなかった。
気持ちが一つにならなかった。本気にならなかった。」
加えて、以前は洗車キャンペーンと言えば「洗車前売り券」のキャンペーンであり、
親類縁者に頼み込む種類のことでした。

 

ところが、
今年の5月、一つの転機があったのです。
江戸屋燃料店さんの特約店である㈱倉島商店さんの
倉親会マネージャー研究会(販売店の会)の洗車キャンペーンで、
キーパーコーティングを中心で取り組んだところ、
江戸屋燃料店始って以来の洗車売り上げのギネス、新記録を出したのです。(129万円)

 

しかも、新記録の売り上げにもかかわらず、
今までやってきた洗車キャンペーンより肉体的にはるかに楽だったし、
精神的にも楽しかった。

 

今までは頼み込んで買ってもらっていたものが、
今回はお客様が本当に喜んでくれて、スタッフを褒めてくれて、
若い子たちも嬉しそうにしている。
これで新記録を上げられたのだから、
みんなが『これならやれる』の気持ちでまとました。

 

5月のキャンペーンではピュアキーパーとクリスタルが多かったそうです。
新記録を立てた中で、クリスタルの技術にも自信を持ち、
トークにも自信がつきました。
そして何よりも、
自分達にクリスタル、ダイヤ、ピュアなどを施工させてもらったら、
その「お客様を絶対に喜ばせる自信がついた。」これが一番大きかったそうです。

 

そして5月の最終三日間、「予約」を取りました。
ここで取った予約は6月に施工したのですが、
「予約を取っていく」ことの重要性を学び、またそのトークに自信を持ちました。
簡単なアンケートを使って予約をとっていく手法です。
この5月のキャンペーンで、コーティング説得トークなど、
若いスタッフ二人が話せるようになり技術的な予行演習にもなりました。

 

そして6月には研修を受け「鏡面研磨の技術」も憶え、
とにかく、何台もあるだけの車を磨きました。
鏡面研磨が出来るようになったことで、
相当の塗装の傷んだ経年車にまで
ダイヤモンドキーパーまでをお勧めできるようになり、
すべてのお客様と、すべてのお車に、
ダイヤモンドキーパー、クリスタルキーパー、ピュアキーパー
どのコーティングでもお勧めできるようになったわけです。

 

そして満を持してのキーパー選手権。
そこに向かって、7月の後半は「予約集め」です、
特に7月の最後の三日間、29日(金)、30日(土)、31日(日)は、
「来店者全員にカキ氷プレゼント」
「塗装面の大相談会」「見積もり先着100名様にサマージャンボ宝くじプレゼント」

 

 

コーティング大予約キャンペーンです。
とにかく見積りを出すことを徹底しました。

 

値引きは見積もり時に、コーティング本体は値引かず+αにし、
その+α分の作業をサービス、あるいは半額にしました。
また「超フルコース・大震災支援価格半額、限定30台モニター募集中」と銘打ち
ホィール、窓ガラス、ヘッドライト、ブラックモール、車内、車の隅々、
とにかく全部きれいにしましょうとも訴えました。
5月に多かったピュアキーパーのお客様も、その時のキレイさの喜びで、
3ヵ月後の8月にはクリスタルキーパー以上の予約になったケースもあります。

 

本当に、すべての車に
ダイヤモンドキーパーとクリスタルキーパーの見積もりを出させていただいたのです。
それでお客様が「引く」かと思ったら全然そうではなく、
意外と古い車でもちゃんと話を聞き、施工に繋がってくれたことが驚きでした。
お客様の反応は、我々の常識で判断してはいけない。
みんなが得た新しい発見です。
たとえボロな車でも、洗車をしてくれるお客様は車をキレイにして欲しいお客様です。
手洗いも洗車機のお客様も今まで洗車したことのないお客様だって、たまたま立ち寄った県外ナンバーだって関係ありません。
こちらの概念で決めてはダメです。
「えっ、この車にクリスタルキーパー?」というようなことも多かったのです。
たとえば、昭和62年式のセドリック。
こんな古い経年車でも、8月に鏡面研磨とダイヤモンドキーパーで復元し、
そのお客様はこちらがびっくりするほど喜び方が大きく、
その喜びが家族までを連れてきて、
ダイヤモンドキーパーとかクリスタルキーパーにつながったこともありました。

 

このカキ氷サービス・コーティング予約大キャンペーンでは、
アルバイトさんまで含めてみんなの気持ちが一つになったのです。
昨年のキーパー選手権で全国3位になったが今年は原発事故で
選手権に参加できない福島県大熊町のQ-pit大熊・鈴木所長や、
仲間でもありライバルでもある
今回全国3位㈱誉田の三浦マネージャーなどの応援も力強かった。

 

 

これで8月前半までの予約がびっしりと入りましたが、
もちろんお盆前までの予約だけで、キーパー選手権を勝てる訳はありません。
目標はあくまでも「東北で1番」しかない。
8月に入って、
今まで経験したことのないような数のコーティング施工をこなしながら、
それでも「予約」を取り続けたのです。

 

お盆前は「お盆までにスカッときれいにしましょう。」
お盆が過ぎたら「夏にいためつけられたお車をリフレッシュしましょう。」
話さえ出来れば予約は取れる。
スタッフ全員が確信を持ったころです。
(チラシは計3回内容変更したとのこと)
カキ氷も、キャッチフレーズも話のとっつきでしかありません。

 

その結果、
ダイヤモンドキーパー32台、クリスタルキーパー43台。
一泊二日の研磨プラスダイヤモンドキーパーもたくさんあり、
夜、店を閉めてからも、みんなほとんど毎日、研磨、研磨。そしてコーティング。
みんなの姿を見かねて
「私は絶対こういうことはしないですけどね。」と前置きしつつ、
㈱倉島商店の担当澤田課長も土日の作業に加わり、毎日FAXと電話をしたそうだ。
(澤田課長が担当しているのは江戸屋だけではなく㈱誉田も担当だからと言っていた)

 

蓮沼 將スタッフ (はすぬま まさや24歳 )。自らを「江戸屋のエース」と呼ぶ

 

 

小原 一将スタッフ (おばら かずまさ30歳)。笑顔でお客様(マダム)人気NO.1

 

 

広田 昌二郎社長 ( ひろた しょうじろう49歳)

 

 

(以下取材時にいらっしゃらなかったので写真がありません)
広田 喜代子店長 (ひろた きよこ??歳) お客様と話するの大好き。予約率NO.1
アルバイトの平山(どんな時間でもシフトに入ってくれた。社員と同等に頑張った)
アルバイトの鈴木(学生でありながら、土日シフトでアイランドを守ってくれた)
8月からバイト始めたバッカリのグッさん(高校生)。

 

広田社長の言葉。
今までの「やらせてきた」ことが如何に非力であったのか。
店長が一人がてんぱっていて、プラス二人の感じであったのが、
今回は、自分たちが習得した技術で、
お客様に褒められて、楽しくて、
社長に褒められて、これはやれるかも・・・。と思った矢先に
倉島商店澤田課長には気合入れられて(T_T)、いや、やるしかないんだ。
とみんなが思っちゃった。
スタッフみんながヤル気になって、店舗の雰囲気がガラッと変わった。

 

しかし、10日報、20日報とキーパー選手権のポイント登録を見ると、
ポイント登録の方法を少し間違っていたこともあって、
江戸屋燃料店さんは東北の4番手、5番手に甘んじている。
先頭で旗を振っていた広田社長や澤田課長は、
20日報を見た時点で、「頑張ったんだから、ベスト5に入れば・・」
という雰囲気になったが、
スタッフの蓮沼君が、真剣に
「なに言ってんすか、一等取るってゆったべした。」と言った。

 

「なに言ってるんすか。東北での一等を取ると言ったのに。」という言葉に、
広田社長は鳥肌が立ったという。

 

 

スタッフ小原君も同調し
「どのくらいやれば1位になれるんですか?」と問い詰める、
㈱倉島商店澤田課長は
「洗車収益250万円やれば東北で1位になれる」と断言した。
あとで聞くと何の根拠もなかったとのことでしたが。
今回の選手権から始まった10日毎の実績報告では、
相手の実績がわからないため「洗車収益250万円」
これが、目指すところとなった。
ターニングポイントはココかも知れないと㈱倉島商店澤田課長は言っていた。

 

そこからの追い上げはすごく、
最低でもピュアキーパー、最後のあたりはコーティング比率80%にも上がったらしい。
洗車に来たほとんどのお客様が何らかのコーティングをして、
お客様は笑顔で帰っていく。
そして、その笑顔を見て、スタッフは、頑張ることができたとのこと。

 

「やれると思ってやったのではなかった。
本気で1位を取ろうとは思ったが、本当に取れるとは思わなかった。」

 

かくして、最後の最後に江戸屋燃料店さんは追い上げに成功し、
北海道・東北地区でトップに躍り出たのです。

 

今回のキーパー洗車権は、
被災地である東北が、復興意欲の高まりの中で、
全国区でも上位を独占しました。
ということで、(有)江戸屋燃料店 会津坂下西SSは、
SSとしての全国第一位、トップとなったわけです。

 

 

と、ここで話が終わると、よくある「がんばった話」になってしまうが、
実は、このたびの快挙には、もって深い意味があると私は感じました。
それをこのまま書いていくと、限度を越した長い話になってしまうので、
いったんここで終わりにします。
また、明日、総点検入院でたっぷり時間があるので、続きを書きます。

 

この人から聞いた話から私が考えたことが中心になります。
SS全国第1位江戸屋燃料店
SS全国第3位㈱誉田 担当、㈱倉島商店澤田課長。

 

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