2011年04月06日(水曜日)
2758.海外から見た日本は汚染されている?
東日本大震災の被災地の様子の全貌もわかってきて、
ますますその悲惨さに驚くばかりだが、
復興の兆しもようやく見えてきて、後はそのスピードをどう上げていくか、
自分の家に戻れない数十万人の人達をどうサポートしていくか。
いずれにしても、すべての動きが前を向くようになってきた感じがする。
福島第一原発の事故現場は、
一応、瞬間的な破滅を招くような爆発の危機はかなり脱してきたようだが、
放射能漏れの事態はいよいよ深刻さを増して来ている。
原子炉を冷やすために炉心に直接かけた水は、
通常の安全基準地の数百万倍の濃度で放射能を持っているそうだ。
それが直接、海に流れ込んでいて、
海洋に深刻な汚染を広げつつありそれを食い止めるのに必死の状況だ。
解決策はいくつかあるようだが、いずれも時間はかかるようである。
「海」は日本の近海であっても日本の物ではなく全世界が共有しているものだ。
海流はあらゆる地域を巡るのだから、
「海」は全世界の人間のもの。
それだけでなく、
海は地球そのものの一部であり、生態系の最も重要な要素である。
その海を、放射能で汚染している事実は、
世界中の人に対して、
そして地球の生態系を構成しているすべての生き物に対して、
言い訳のしようがない行為であることは疑いようのない事実だ。
大気中に放射能が拡散していることも同じことだろう。
このことについては、
少なくとも全世界に対してあやまるべきではないか。
事故を起こしている原子炉すべての放射性物質を合わせても、
過去に行なわれた原爆実験で放出された放射能の千分の一である事も事実だが、
しかし、その核実験を全面的に否定してきた日本だからこそ、
今、放射能が拡散している事実について、
これは文句なしにあやまるべきことだろうと思う。
地震という天災がもたらした事故であろうと、
それを予期した対策をしなかったことを政治を通じて容認してきたのだし、
その原発からの電気で便利で文化的な生活を享受してきたのは私達自身なのだから、
今の事態を世界に率直に詫びる必要があるのではないだろうか。
そのために、
一定の想定で、今後、どのように放射能が拡散し、
どの地域に対して、どれくらいの時間で、どの程度の汚染を拡げるのか、
日本として率直に
そのシミュレーションを公表する段階に来ているのではないだろうか。
世界中の国のそれぞれが独自にシミュレーション行なって
もう、世界中がその結果を公表しているのだから、
もう、日本も公表するべきなのだろう。
きちんと説明し、みんなが理解した上で、
自分たちがどうすればいいのか。
正しくどう心配すべきなのか。
正しくどう安心すべきなのか。
特に、大慌てて大騒ぎすべき事態にならないことを理解し、
みんなが冷静に対処するために必要な正しい情報を与えるべきではないか。
日本人は大丈夫だ。
一部の人間が、事をわざわざショッキングに騒いでも、
正しい情報がきちんと提示されていれば、
みんな正しく判断して、決してパニックにはならない。
みんなが正しく情報を得て、
その上で、
世界に対してどのような迷惑と不安を与えるのかも知って、
日本に起きているこの事態を世界の人に詫びる気持ちも持つべきだと思う。
そうしないと、日本は世界から孤立することになるのではないだろうか。
世界の二十数カ国が日本製の食品を輸入禁止にしているそうだ。
世界中で日本製品の売り上げが減っているそうだ。
日本にいた外国人が、日本からかなり逃げ出しているそうだ。
4月16日、
上海にある総代理店の日東さんの社員である兪さんが結婚式を挙げる。
兪さんは、アイ・タック技研が上海事務所を持っていた頃、
アイ・タック技研の社員でもあった。
だからその結婚式に呼ばれ、喜んで参列させてもらうことになっている。
ということで、
中部空港⇔上海・浦東空港の航空券を手配した。
この路線にはいくつかの航空会社が航空便を飛ばしているが、
私はいつも、
中国東方航空か、中国南方航空のチケットを買っていた。
中国のこの便が一番安いからだ。
日本のANAとJALも飛んでいるが、
中国の航空会社の同じ便よりも、往復で、2万円以上高いので、
いつも中国の航空会社を利用していた。
ところが、いつものようにHISで格安チケットを買おうとしたら、
なんと、ANA便とJAL便が中国の航空便よりも約2万円安くなっていた。
往復で59,800円。
日本の航空会社だというだけで、
少なくとも外国人から「汚染」の嫌悪感を持たれているからかもしれない。
それで乗客が少ないから安くなっているのかもしれない。
正しいその理由はわからないが、
今まで日本の航空便が一番安かったことは一度も無く、
これが原発の事故の放射能と無縁ではないような気がした。
そんなことに気がついて、
今日、上海の日東の社長である頼さんにメールを送った。
(文中の「小兪」とは、「兪さん」という意味です。)
頼さんへ
4月16日、小兪の結婚式、ぜひ出席させていただきたいと思っています。
その上でご相談なのですが、
今、日本は福島原子力発電所の事故で多量の放射能を放出しています。
現在の量そのものは、一定の範囲20km半径の外では
人体に被害が出るまでの物ではありませんが、
海外から見ると日本全体が汚染されているイメージが持たれています。
日本製品、特に食品に関しては輸入禁止を決めている国も多数あります。
それどころか日本人そのものが汚染されているようなイメージまでがあります。
もちろん愛知県は全く放射能汚染されていません。
しかし中国上海は日本から距離が近いこともありその恐怖心がより強くあるでしょう。
このような状況の中で、
おめでたい小兪の結婚式に私達が出席してもいいのでしょうか。
私達が中国の人達から非難の目で見られることはかまいませんが、
小兪の結婚式の楽しい雰囲気を壊すことにはならないでしょうか。
それだけが心配です。
先日、頼さんとお会いした時点では、
日本人が、海外の人から見ると
放射能のイメージを持たれていることに気がついていませんでした。
私達としては、小兪の結婚式にはぜひ出席したいと思っています。
以前、小兪は私達アイ・タックの社員でもあり、
今は中国の総代理店である日東さんの重要な社員でもあります。
結婚式にお招きされたことをみんな喜んでいます。
しかし私達が結婚式に出席することで、
小兪達二人のおめでたい結婚式の雰囲気を壊すことになったら、
これは私達の気持ちと反対のことになってしまいます。
それが気がかりです。
小兪達二人の結婚式に私達が出席することが、
小兪達のためになるかどうか、
ご遠慮なく頼さんの意見を聞かせてください。
あるいは小兪に率直に聞いてやってくれませんか。
よろしくお願いします。
その結果、頼さんから
「上海の人、私達は全然関係ないですよ。ぜひ来てください。」
と返事をもらった。
うれしかった。
日本人は、今回の原発事故の被害者でもあると同時に、
日本人それぞれが、日本国として
世界の人達に対して、加害者であることもみんなが自覚すべきではないだろうか。