谷 好通コラム

2011年03月09日(水曜日)

2737.アナログのままでは解決しない

毎日たくさんのことがありすぎて目が回るような気がした。
なんて書くと、大したこともないのにやたら忙しがっているようで恥ずかしいが。

 

出張が多いので「移動が大変でしょう。」と人によく言われるが、
移動している時間は、出張慣れしてしまった私にとっては、
「休憩」あるいは「自由時間」のようなもので、
実は大変でもなんでもない。
PCさえあれば出来ない事はほとんど何もなく、
このブログだって、書いているのは移動中の時間のほうが多い。
目が回りそうなのは、
予期せぬことが次から次へと出てくるからで、
自分の心のコントロールが追いつかなくて、目が回るようだと思えるのだろう。

 

安心していたような事が、
とんでもない事態になっていた事が突然分かって、びっくりしたり、
順調に進んでいると思っていた事が、実はまったく進んでいなかったり、
簡単なことだと思っていた事が、ちっとも出来なかったり、
減ったとばかり思っていた体重が、かえって増えていたり(・・これは関係ない)
変な所から突然雨漏りがしたり、(・・これもほとんど関係ない)
とにかく、
予測していなかったことが連発すると、本当にこれはイカンなと思う。

 

会社が成長拡大していく中で、
ある程度の事業規模になると、
アナログで出来ていた仕事の仕組みが、
大きな負荷がかかりすぎた歯車のようにガタピシと音を立ててきて、
あちらこちらに補強を加えたり、
油を差したり、歯車を部分的に変えたりしても
全体の仕組みそのものが負荷が小さい時に作られたものなので、
その仕組み全体を大変換しなければ、根本的な解決にならないのだろう。

 

 

たとえば、
テレビの仕組み全体がアナログからデジタルに変わるには、
まず、番組を造るためのビデオカメラと編集機器が
まず最初にアナログからデジタルに変わった。
もう10年以上前のことだろうか、
それより前のビデオカメラはビデオテープを使っていて、
それで撮ったビデオを編集するには、ビデオテープから抜き出したデータを、
整理しながら他のビデオテープに移していって、
順番に並べていく作業であった。
だから、いったん造ってしまった編集されたビデオに、
「あっ、あれを入れるのを忘れた」と、途中に何かの場面を挿入しようと思っても、
あるいは逆に「あの部分は余分だった」ある場面を抜こうと思っても、
それはとんでもなく面倒な作業であって、
事実上不可能なことだったことを憶えている。
アナログビデオの編集は機器の大きさも巨大であって、
かなり広い部屋を所狭しと機械が占領していて、
それを駆使するオペレーターのテクニックも神業とも言えるもので、
その物々しさはテレビ文化がすさまじい技術と設備で成り立っている象徴にも思えた。
しかしアナログでの進化はもう無理であり、
より進化を求めるならば、デジタル化するしかなく、
しかしデジタル化するには、アナログ時代をすべてを捨てる必要があった。

 

デジタルデータはクォリティにおいて圧倒的にアナログを凌駕していて、
アナログが生き残るべき理由はない。

 

ビデオデータがデジタル化されると、
カメラもうんとコンパクトになり、
それよりも編集室の様相がガラッと変わった。
基本的には、パソコンとモニターがあるだけで、
さすがにオペレーションは普通のキーボードではなく、
ダイヤルやら、スライドスイッチがいっぱい付いたものだが、
アナログ時代とは比べ物にならないくらいすっきりとコンパクトになった。
オペレーターの動きもまったく変わり、
ダイヤルや複雑なスイッチの代わりに、キーボードを神業のように打ちまくる。
(オペレーターはやはり神業的であった)
そしてクォリティはもちろん、編集の自由度とスピードが劇的に上がった。

 

 

テレビ関係のデジタル化はまず製作側から始まって、
もうすぐ、視聴者側、つまり受け取り側が完全にアナログからデジタル化される。
地デジ化が進んで、アナログ放送が中止されるからだ。

 

製作側がデジタル化され始めたタイミングが、
バブルがはじけた後から始まって、
テレビ番組製作側(多くの場合下請け)は、
自らが持っているアナログ機器を、すべてデジタル化せねばならなくなり、
仕事の減少と、大きな設備投資をする時期が同時に来た形になって、
非常に苦境に立たされたと聞いたことがある。

 

しかし、デジタル化はあらゆる意味でテレビ関係のクォリティーアップに繋がり、
アナログはこの世から退場するべき存在であった。

 

アナログのままでどれだけクォリティを上げようとしても、
根本的に違うデジタルのクォリティに勝てる要素はまったくない。
だから、時代の進化と共に、
今いかにアナログのためのインフラが隅々にまで行き渡り膨大であろうと、
いつかは、そのすべてのインフラを捨ててでも、
デジタルに変えなければならない時が来る。

 

十年以上前から、まず、情報を提供する側からデジタル化が進んだが、
それは急激な変化であり血の出るような変化であった。
それが終わってから、
何年もかかって、今度は、受ける側のデジタル化が進んで、
やっと今年の7月、アナログ放送の停止をもってデジタル化が完結する。

 

この会社も、ある次元に行き着いたのだから、
アナログがデジタルに変わったように、
根本的な仕組みを、変えていかざるを得ないのだろう。

 

アナログのままで、
つぎはぎを当てるようにその場をしのいでいっても、
倉庫の雨漏りが次から次へと増えていくように、
いつかは破滅的な時代遅れになる。
その前に、どこかで根本的に解決する決意が必要になってくる。

 

デジタルは、実はコミュニケーションの革命だった。

 

今回の撮影、まさに入念なコミュニケーション、
お互いが納得いくまでのコミュニケーション、
へんにいい加減な妥協をせず、
つまり、きちんとしたデジタルな合意をもって作り上げた結果、
画期的かつ革命的なものに出来上がった。最高です。
ありがとうございました。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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