谷 好通コラム

2010年10月17日(日曜日)

2633.ちょっと本を読みすぎた

3話くらいの前のこのブログで、
昔、「円」が360円/ドルであった時代から40年余、
円が100円/ドルを大きく上回って高くなり、
人件費も1.6倍(インフレを換算して)に高くなって、
生産コストの競争力が大幅に低下しても、
日本製品は、品質や性能などその付加価値を上げることによって成長してきた。
と書いた。

 

では日本は今、勝っているかというと、
逆に破綻寸前の絶望的な危機に際しているのが現実だ。

 

本で読んだだけなのでまったく正確ではないが、
日本のGDPは 約400兆円、
税収が約47兆円で、
今年度の国家予算は約92.3兆円、
新規の国債発行額が約40兆円。
その結果、現在の国の借金が約904兆円あるという。
さらに2010年度末には978兆円にまで膨らむそうだ。

 

国の借金である国債は、
ほとんど国内の金融機関、つまり国民の貯蓄を預かっている機関が買っていて、
その国民の貯蓄残高が1,400兆円あるのでまだ大丈夫と思えそうだが、
借り入れも400兆円あるので、実質的な貯蓄は1,000兆円。
借金978兆円に対して債務超過寸前である。
数年のうちに
国債の債務不履行が発生する可能性が高い。
債務不履行、つまり借金を払えなくなった状態とは
個人や会社で言えば「破産」だ。
そうなると世界中の投資家が資金を引き上げ、即、国家破綻につながる。
それを「ジャパンクラッシング」と言うそうだ。
それを恐れて、
国は「円(紙幣)」を猛烈に印刷して、その円(紙幣)で借金を返すが、
実際の価値以上に円の紙幣が出回って、
急速に「円」の価値が低下する。
つまり急速に物価が上がり、スーパーインフレに陥る。

 

 

これを一般の家庭生活に言い変えると、

 

月給(年の)40万円の給料(税収)を取っている家庭(国家)が、
9,780万円の借金を背負っていて
毎月112万円を借り替えて、金利5万円を払う。
しかし、この家庭は月に87万円を使う生活(国家サービス・投資)をしているので
新たに毎月40万円ずつ借金を増やしている。(新規国債発行)

 

しかし同居の家族A(主に国民のお金を預かっている金融機関)の貯金が
10,000万円(1億円)あるので、
まだまだ大丈夫だと思っているが、
実はその借金は、ほとんどを家族Aから借りているもので、
家庭の中には10,000万円-9,780万円=220万円しかない。
この調子で毎月40万円借金を増やすと、
5ヶ月と少しでお金がなくなってしまう。

 

すると、毎月112万円借金を家族Aに返しても
家族Aはすでに持ち金がゼロなので、
家族Aは家庭から返してもらった分112万円しか家庭に貸して上げられず、
家族Aは金利の5万円をもらえない。
家庭は払うべき金利を払えず、
家族A(国債を買う国民)は5万円分損をした。(一部債務不履行)
だからもう家族Aは新規に40万円を貸すなんてことはしない(国債を買わない)。
貸そうと思ってもその金がない。
しかしその家庭がお金を借りていたのは
家族Aだけでなくご近所からもお金を借りていた。
お金を借りていた人に金利すら返さない(債務不履行)家庭は(国家)は、
ご近所(外国)からの信用を失い、誰からお金を借りることも出来なくなる。
それどころか、急いで借用証書(国債)を換金しようとして
他の誰かにうんと安く売ろうとするので、借用証書(国債)の価値は急激に下がる。
それでも、
その家庭は毎月87万円の生活をしようとして、
にせ札(にせ札ではないが紙幣全体の価値を下げる)を造り、
払うが、その家庭の紙幣はどんどん価値が下がっているので、
先月5,000円で買えた商品が、今月は20,000円払わなくては買えなくなる。
家庭の破綻だ。

 

こんな家庭が本当にあったら、
とばっちりが来ないように近づかない方がいいだろう。
しかし私たちは、この家庭(国家)の家族(国民)なのだ。
国のことだから、個人には関係ないように思えるが、
国とは私たち個人の集まりのことであって、
国家とは個人そのものでもある。
国家が破綻して個人が今までどおりに過ごせるわけがない。

 

 

 

給料(税収)が、昔は60万円あったので
60万円の暮らし(国家サービス)が出来たが、
今は47万円しかなくなったのに
家族(国民)の要求はエスカートするばかりで
いつの間にか87万円の生活をするようになって借金地獄に陥った。
このまま行けば破産するのは目に見えている。
それで生活レベルを少しでも落として
(道路など公共事業、公務員、福祉、補助金などの国家サービスを落として)
収入を増やそうとすると(増税)
家族(国民)は、こぞって被害者として抗議し、
それを実行しようとする者(政治)を、追い出す。(選挙で負けさせるor勝たせない)
その果てに、借金は膨れ上がり、破産が目前にまで迫ってきた。
(ジャパンクラッシング)

 

しかし破産は家庭(日本)だけにとどまらない。
この家庭は、東の巨大な家庭(アメリカ)にかなりお金を貸していた。(米国債)
この家庭(日本)破産から少しでも逃れようと
東の巨大な家庭の借用証書を換金する(米国債を叩き売る)。
東の巨大な家庭も経済的にかなり弱っていたので、
借用証書の価値が下がるとたちまち破産に向かってしまうかもしれない。

 

東の巨大な家庭の借用証書(米国債)を一番たくさん持っているのが
「西の隣の家庭(中国)」で、西の隣の家庭の資産は激減し、
「円」と「ドル」が劇的に下がれば、世界一の外貨は大幅に目減りし、
相対的に元の価値が上がって、
コストの競争力が一挙に小さくなる。
ただでさえ実態以上に膨れ上がっていた経済(バブル)が一挙にはじけるかもしれない。
世界第三位のGDP(年商)の家庭(日本)が破綻したら、
何の影響も受けないご近所(国家)はないはずだ。

 

世界を震撼させたリーマンショックは、
それでも金融界の大クラッシュであったが、
日本の国家が破綻したら、どんなことになるのか。

 

日本はGDP全体の200%以上の借金をしているが、
国家としての債務不履行でヨーロッパ全体の経済に大きな打撃を与えたギリシャは、
GDP比にして120%の借金であったらしい。

 

GDPも借金も一桁以上小さいギリシャですら、
破綻があれだけの震度をヨーロッパ世界に与えたのだから、
世界第三位の日本が破綻したら、世界不況は間違いない。
世界がそれを望むわけもなく、すんなりと日本を破綻させないかもしれないが、
ファンドという化け物が、
日本が破綻することを前提にした金儲けを、
すでに仕組みつつあるとも書いてあった。

 

 

なんちゃって、
ちょっと本を読みすぎたな。
もう寝よう。

 

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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