谷 好通コラム

2010年09月15日(水曜日)

2612.電気自動車に乗って感じた未来

約8ヶ月前に予約した電気自動車「i-MiEV」が納車された。
それで昨日、東京駅にそのi-MiEVで迎えに来てもらって、
新小岩の東京トレーニングセンターまで自分で運転してみたのだ。

 

乗り心地と運転のし心地は、想像をはるかに超した快適さであった。
音はタイヤの音のみ。
最初その静かさに少し違和感を持ったが、
ハイブリットカーに乗った時の違和感と同じですぐ慣れる。
なりより快適であったのが、
ハンドルとアクセル、ブレーキのダイレクト感。
車が、自分の体の一部になったような気持ちのいいダイレクト感で、
まるでレースカーに乗っているような気分。
乗り心地もいい。
電池の重みが十分あるから硬い足なのだが、
重量があるので突き上げがマイルドであり、ドイツ車の感じ。

 

最近の自動車は、ハンドルも、アクセルも、ブレーキまでもが、
電子デバイスが介入してダイレクト感に欠けた運転フィールで、
自分の思ったままに車が動いてくれない歯がゆさを感じさせる車が増えた。
「安全のため}として、
おせっかいなまでに車を勝手にコントロールしてくる。

 

そんなまどろっこしさをi-MiEVはまったく感じさせることなく、
ダイレクト感あふれる運転のし心地であったのだ。
しばらく東京本部に置いておくつもりであったが、
愛知の本社に持ってきて、普段の足に使いたいと本気で思った。

 

カタログ上の満充電走行距離は160kmであるが、
実質的には100km程度でしか乗れないと聞いていたが、
「ECO」モードで走れば、楽に100km以上走れそうであったし、
普段の足ならば、一日100km以上も走ることはほとんどないに等しいし、
家か会社で一晩と少し(14時間)充電すれば、また100km以上走れるので、
たぶん不自由を感じることは少ないだろう。
「ECOモード」では多少非力を感じることもあるが、
街なかを走ってまったく不便は感じない。
逆に「Dモード」にしてアクセルをぐっと踏めば、
私のゴルフGTIより、もっとパワーを感じてすごい勢いで加速する。

 

ただ問題は、冷暖房をかけると走行距離が減ってしまうこと。
特に暖房が一番電気を食うそうで走行距離がどれくらいになるか不安だ。
それでもドイツのように、
アイドリングを禁止している国では、
客待ちをしているタクシーでもエンジンを止めていて、
もちろんその間、暖房なしなので、運転手は厚手のコートを着ている。

 

また、私が若い頃は車を持っていることだけで十分ステータスであり、
「クーラー」が着いている車なんてほとんどなかった。
そう思えば我慢できるか。(やっぱり出来ないか)
いや、いっそ電気自動車は幌つきのオープンカーにしたらどうだろう。

 

なんて色々感じながら、わずか10km程度の初電気自動車運転を楽しんだ。
この車、電池以外の部分は100万円を下回るが、
電池が約300万円近くもかかって、全体で400万円もの車になってしまっている。
電気自動車の問題は、
車としての性能でもなく、フィールでもなく、
走行距離もそれほど問題はなく、
電池の価格があまりにも高いことにあることだと思った。

 

 

この問題は技術的な進化だけでは、かなり時間がかかる難問であるのだろう。
いかに環境に良かろうと、いかに気持ちのいい車であろうと、
値段が高すぎる車は絶対に普及しない。

 

i-MiEVに乗って「未来」を身近に感じながらも、
その未来がそう簡単にはやってこないであろう現実も見たような気がした。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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