谷 好通コラム

2010年08月13日(金曜日)

2581.キーパー知識(3)そもそもコーティングはなぜ必要か

[塗装の表面はさまざまな攻撃で荒れる]

 

当たり前のことだが、車には「塗装」がしてあり、
鉄板で出来ている車が錆びてボロボロになるのを防いでいる。
そしてその「塗装」には、「黒」「白」「赤」などの色が着けられ、
さらに、マイカ(石英の粉)などが混ぜられて絶妙な「ツヤ」と「輝き」を出している。
現代の車では、塗装の一番表面に透明な塗装(クリア)が被せられて、
より深いツヤを出すと共に、耐久性を増している。

 

もちろん塗装は、新車の時は塗装だけの状態で十分にキレイである。
しかし、どんな車の塗装でも年月が経つと徐々に表面が荒れてきてツヤが後退する。
つまりキレイではなくなってくる。

 

表面が荒れるとは、表面がミクロのレベルで凸凹になってくるという意味であり、
表面が平らの透明ガラスは艶々しているが、
「すりガラス」のように表面を凸凹にするとツヤがボケ、白っぽくなってくる現象である。
白い車ならば白っぽくなっても色は変わらないが、
反射率が減退していわゆるツヤがなくなる。
黒っぽい車や赤い車ならば、ツヤが無くなると同時に、
明らかに白っぽくなってきて、元の色がはっきり出なくなってくる。
この状態を、塗装が劣化したというが、
車の塗装のツヤと発色が悪くなって古くなってくるとは、
塗装の表面がミクロのレベルで凸凹になってくることを言う。

 

塗装表面を凸凹にする要因はいくつもあるが、
もっとも大きな要因は日光に含まれている紫外線(UV)。
UVは破壊力の強い波長の光であり、
ポリマー(高分子重合体)で出来ている塗装の分子結合を切断する。
人間の肌が紫外線によって容易に破壊されて
「日焼け」したり、ひどければ「やけど」状態になるのと同じ現象だ。
車の塗装は人間の肌に比べればはるかに丈夫だが、
人間よりもはるかに長時間直射日光を浴びるので、年月が経てば確実に劣化する。

 

ほかにも「酸性雨」とか
走行中の空気やホコリとの摩擦、また、洗車する時の摩擦。
いずれも塗装の表を凸凹にして徐々にツヤを損ねる要因になる。

 

最近の車では、水道水、地下水に含まれているシリカ、カルシュウムなどの
無機質分(ミネラル)が、塗装にこびりついて取れなくなり、
結果的に塗装表面を凸凹にしている例も増えている。
これを私たちは「水シミ」と呼んでいる。
(無機質のガラスコーティングが普及してきたのが要因か)
この問題の場合、基本的には「雨」は問題ないが、黄砂を含む雨の場合は要注意。

 

意外と局部的に壊滅的な損傷を与えることがあるのが
「鳥の糞」「虫の死骸」だ。
特に鳥の糞がボタっと着いたまま日光で焼いてしまうと、
深部まで塗装を割って入りこんで、塗装を塗りなおさなくてはならない場合がある。
鳥の糞が車に着いているのを見つけたら、
とりあえず、部分的でかまわないので鳥糞を洗い流すことが肝心。

 

などなど、塗装の表面をでこぼこにして(ミクロのレベルで)
塗装を古くしていく要因はいくつもある。

 

 

 

[コーティングは塗装の身代わりとなって傷むのが役目]

 

それらの攻撃から塗装を守るのがカーコーティングの役目だ。
コーティングは塗装よりも丈夫なものではない。
塗装の上に塗られ、塗装の身代わりとなって、UVの攻撃を受けて傷む。
コーティングは、人が日焼けを防ぐために「日焼け止めクリーム」を塗るように、
拡散しやすい紫外線を散らして塗装をUVの破壊力から守ると同時に、
自らは紫外線の攻撃で傷むのが役割なのである。
またあらゆる物との摩擦を塗装の身代わりとなって受けて傷む。
塗装の身代わりとなって傷むのがコーティングの第一の役割だ。

 

[傷んだコーティングの表面を“入れ替えて”きれいさを保ちつつ塗装を守る]

 

そして、コーティングは、
その皮膜の表面の一部だけを入れ替えることが出来ることが、第二の役割である。
塗装の身代わりとなっていろいろな汚れが着き、
UVや摩擦によって傷んだコーティングの皮膜の“表面だけ”を
再施工やメンテナンスで入れ替えて、
皮膜表面の平滑(平らでツヤのある状態)を保つ。

 

簡単に言うと、塗装をいい状態に保つために、
コーティングは塗装表面に塗られて、塗装の身代わりとなって自らが傷んで塗装を守る。
いわば塗装に対して「犠牲皮膜」であることが役割なのだ。

 

だから、塗装を守るような役目をするものがあるのならば、
最初から塗装の一部として工場で塗ってきてしまえば、
長くキレイさが保つ車になっていいのにと思うが、
コーティングは、塗装の身代わりとなって傷み、
その表面を定期的に入れ替えられることでキレイさを保ちつつ塗装を守るものであって、
本来的に塗装そのものとは違う役割を持っている物なのである。

 

 

[コーティングが持つ4つのメリット]
コーティングは塗装とは役割が違うので、
塗装とは違う特長を持たせることが出来るので、
コーティングをしていない状態に比べて、色々なメリットを作り出せる。

 

1.塗装だけよりももっとキレイになって、目立ってトクをする。
塗装だけよりも、もっと表面を平らにしてもっとツヤを出し、
輝きを増してコーティングをしていない車よりもきれいになって目立ってトクする。2a.コーティング期間中、洗車だけでいいので楽になる。
5年耐久コーティングならば、約1年間隔でメンテナンスをすることになるが、
1年耐久、3ヶ月耐久のコーティングならば文字通りノーワックス、ノーメンテナンス。
洗車だけ済むので楽になる。

 

2b.水をはじき、汚れにくくなって洗車の回数が減る。
コーティングは塗装よりも撥水性(水はじき)を増すことが出来る。
数年単位で耐久性を持たせる塗装では、
長い期間、強い撥水性を塗装そのものに持たせることは出来ないが、
数ヶ月~1年程度の耐久性の範囲の中ならば、
その期間、十分に水をはじかせることは出来る。
十分な撥水の状態は、雨が降っている時の走行でも汚れが着きにくくなって、
洗車回数が減る。

 

2c.洗車がしやすくなって楽になる。
コーティング表面を滑らかに保ち水弾きがいいので汚れが着いても
さっと洗えば取れるので、洗車の手間がうんと減る。

 

正しいコーティングをすると、
2aから2c。
洗車だけをしていれば良くなって、
しかも汚れが着きにくいので洗車回数そのものが減って、
たまにする洗車も汚れが落ちやすく簡単になり、
普段の車のお手入れが劇的にラクになる。

 

3.車が古くなってもキレイで査定価格が上がってトクをする。
コーティングが身代わりとなって塗装を守り続けので、
塗装の痛みが最小限にとどまって、いつまでも塗装状態が良く、
下取り、車買取りでの査定価格が上がってトクをする。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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