2010年03月07日(日曜日)
2443.国家が権力を使って守るべきこともある
アメリカ在住のトニーから聞いたことがある。
彼が学校に行った時、
自分の子供がちょっとした悪いことをしたので、
お尻を軽くぶったら、
校長先生から呼び出されて
「暴力は絶対ダメです。」と警告を受けた。
自分も頭を叩くことは絶対しないが、
体に影響のないお尻を軽くぶっただけで、
校長先生じきじきに警告を受けたのにはびっくりした。
アメリカでは、誰かに親が子供に暴力を振るったのを告発されれば、
いとも簡単に、子供から引き離されるのが当たり前になっているとも聞いた。
正確ではないが、たしかそんな話であったと思う。
久しぶりにゴロンとしてテレビを見ていたら、
とんでもない映像を放映していた。
夫婦そろって無職でホームレスとなり、
公園に青ビニールで家を作って勝手に住んでいた夫婦と子供の映像だ。
親が、たった四歳の子供を体が吹っ飛ぶぐらい叩いて、
子供が「痛い、痛いよ。」と泣き叫ぶのを無理やり立たせ、
またこぶしで殴り倒す。
それをテレビ映像に撮っていたスタッフが、
「かわいそうじゃないですか」と諭すと、反対に怒鳴り返していた。
児童相談所と市が子供を保護して施設に入れたが、
彼らを生活保護対象にし、つまりお金を上げて、アパートを借りたら、
また子供を引き取って一緒に暮らし始めた。
そのアパートからは子供が暴力を振るわれている様子や、泣き叫ぶ子供の声が、
絶え間なく聞こえていたという。
その子供がとうとう死んでしまったという事件だ。
罪名は「保護責任者遺棄致死」だという。
同じ罪名で、別の所で、別のもう一組の夫婦が逮捕された。
こちらは5歳児で「餓死」だそうだ。
5歳でわずか体重10kg、一歳児ほどの体重しかなく、餓死とは
その残酷さは想像を絶する。
「保護責任者遺棄致死」とは、
「親が子供を保護するのをサボったから死に至った」という意味なのだろうか。
これは明確な殺人であろう。
小さい子供が逃げ出すことが出来ない存在である「親」が、
日常的に拷問をし、まったく救われない状況の中で、幼い家族を殺す。
もっとも残酷で、自己中心的な卑劣な殺人と断定できる。
こればかりは迷うことなく断定できる。
しかし、この殺人犯を卑劣とののしることは簡単だが、
一番問題なのは、日本が、国家としてこれを殺人としないことだ。
子供はすべての大人が一体となって守っていかなくてはならない存在だ。
子供は親が所有権を持つ持ち物ではない。
親は子供を健康に育てる義務と権利を同時に持っているだけで、
子供に対する所有権も、傷つける権利も、
飢えさせる権利も、苦しませる権利も、そんなものがあるわけがない。
そんなことをする親がいれば、
それは憎むべき犯罪であって、
地域と国家は、子供を守る義務として、
自らが持っている国家権力の手段、警察力を行使する義務がある。
立ち入りの権限だけでなく、
子供を保護し、検挙する権限を持つべきだ。
これは、本当にそう思う。
この事件を殺人とせず、
日常的な残虐な行為を周囲が知っていたにもかかわらず、
子供を死から救えなかった日本を、
「お尻をぶったら校長から警告を受ける」アメリカの人々はどう思うか。
アメリカがどうのこうのではないが、
この現状は、人類として恥ずかしいことだと思う。