谷 好通コラム

2009年10月09日(金曜日)

2325.古典「ラーメンと洗車」第二編

昔、書いた話が「うまいラーメン屋」だと思ったら、
「ラーメンと洗車」という題であった。
だから、前回の題を変えると同時に、今回から「ラーメンと洗車」で書きます。

 

 

「ラーメンと洗車・第一編」での話の要約。

 

たいしてうまくもないラーメン屋「▽▲▼ラーメン」は、
宣伝を派手にやれば、お客さんがいっぱい来て、
一時的でも“行列”が出来、「行列が出来るラーメン屋」になって、
行列さえ出来れば、行列を見た人が「ここは、うまいラーメン屋だ」と思い、
また客が客を呼ぶ。
馬鹿でかい看板は「究極のスープ。極上の麺。日本一うまい!▽▲▼ラーメン」
店を開けたら案の定、看板とチラシなどの販促で多数のお客が来られた。
しかし、元々うまいラーメンなど出来ない店主たちは、
大慌てで必死にラーメンを造ったので、
麺の固さもバラバラ、スープの濃さもデタラメで、
大量のお客さんに「まずいラーメン」を食べさせる事になった。
しかも行列で長い時間待ったあげくに食べさせられたまずいラーメンに、
「あの▼▽▲ラーメンは、やめたほうがいい。ひどい店だ。」のネガな口コミが広がり、
あっという間に暇に店に成り下がって、一年足らずで店をたたんでしまった。
大きな借金を背負っての倒産である。

 

 

この▼▽▲ラーメンは何が間違っていたのだろう。

 

▼▽▲ラーメンは「ラーメン屋」というビジネスが、
物販ではなく、メーカーでありサービス業であることを忘れていたところに間違いがある。

 

“物販”とはメーカーが作った製品を、
商品として“物を売る”ことがビジネスである。
商品はメーカーがメーカーの規格で作っていてその商品の付加価値はメーカーが作る。
だからその商品の性能や品質は決まっていて、消費者もそれを知っている。
カメラの「ニコンD700」は、
どこで買っても「ニコンD700」であり、
雑誌「ベストカー」は、
どこで買っても「べストカー」ということ。
内容も性能も品質もまったく違わない。

 

アフターサービスとか保証などに違いがあったとしても五十歩百歩。
同じ付加価値なら「安い」方がいいと、
物販の世界では熾烈な値引き競争がある訳だ。
また、宣伝にもお金をかければそれだけの効果がある。
派手に宣伝をしてお客様が大量に押し寄せても、さばくのは大変ではあるだろうが、
店員がどんなに急いで販売しても、
商品の付加価値自体に変わりはなく、
お客様が損をしたと思うことはまずない。
物販の世界では“量”が売れれば売れるほど、ビジネスとしての効率が良くなり、
コストも下がって、仕入れも下がって
物販の極めて重要な要素である“値段”を下げることが出来て、競争力が上がる。
物販の世界では、「量」が生命線であり、
そのために「集客」は絶対であり、その手段としての宣伝も最も重要な要素である。

 

しかし、ラーメンはそうは行かない。
ラーメンは、麺やスープや具の「材料」は仕入れるが、
それをラーメン屋が調理して「ラーメン」という製品を、“その店舗で造る”。
ラーメン屋は、メーカーでもあるのだ。
そして出来上がったばかりの「ラーメン」をその場で出し、お客様に食べてもらう。
商品の付加価値をその場で作り出し、その場で販売する。
その意味では、ラーメン屋は「サービス業」である。

 

そう考えると、
▼▽▲ラーメンが宣伝でお客様を集めて、
「まずいラーメン」を造り、売ってしまったところに根本的な間違いがある。

 

物販ならば商品の付加価値は一定だが、
ラーメン屋で作り出す付加価値は一定ではなく、その人の腕によって大きく左右され、
下手なラーメン屋では低い付加価値しか作り出せない。
ましてや、たくさんのお客様をさばこうとして大急ぎで造ったラーメンは、
マイナスの付加価値、つまり「まずいラーメン」だろう。

 

ラーメンの値段は大体どこでも同じくらいだ。
同じ値段でも「うまいラーメン屋」は、お客様に大きな付加価値を提供しており、
お客様は対価以上の得をしたことになる。
「まずいラーメン屋」は、
お客様に不快を与えるだけで「害」を与えていることになり、
お客様はお金を払った上に「害」を被るわけだから二重の被害者だ。

 

▼▽▲ラーメンは、自らのお金を大量に使って宣伝をして、
大量のお客様に「まずいラーメン」という二重の害を与えた事になる。
▼▽▲ラーメンだって普通に作っていれば、
普通のラーメンぐらいは造れた。
別にうまくはないがお客様に害を与えることはなかったはずだ。
しかし、「行列さえ出来れば、うまいラーメンとみんなが思うに違いない」と、
自らのお金を使って過剰に宣伝し普通のラーメンすら造れないくらいの忙しさになり、
結果「まずいラーメン」を造って、お客様に害を与えた。
そして、つぶれた。
▼▽▲ラーメンは自らのお金を使い、結果として致命的な逆宣伝をしてしまったわけだ。

 

 

私たち洗車・コーティングをビジネスにしている者にとって、
これは怖い話である。
洗車・コーティングは物販ではない。
洗剤とかコーティング剤の材料や道具は使っても、
その店舗で注文をいただき、その店舗で洗車作業、コーティング施行作業を行って、
「お客様のお車がキレイになる。」という商品を作り上げ、販売する。
洗車・コーティングのメーカーはその店舗であり、
その意味で、洗車・コーティングのビジネスは正に「サービス業」と言える。

 

ラーメン屋と同じなのだ。
そこで、▼▽▲ラーメンの失敗の話を、洗車・コーティングビジネスに当てはめてみる。

 

●×■石油は、今後、洗車収益を強化するためにイベントを打つことにした。
今までの普通の洗車加えて、手洗い洗車とコーティングもやることにした。
しかし特別に訓練を受けたわけでもなく、
自分たちでこれぐらい洗えばいいだろうと適当に決めた水準だ。
コーティングも市販されている適当なコーティング剤を買ってきて、説明書を読んでやる。

 

洗車収益をアップさせるためにはとにかく「告知」と「宣伝」だ。
てっかい看板も上げた。
「プロの洗車とプロのコーティング。技術に絶対の自信あり。」
新聞折込みチラシも打った。
「洗車のトッププロ在籍」「至極のコーティングあります。」などなど、
もちろん「割引」も有り。ド~~ンと50%引き。半額セールだ。
店舗内中にPOPと看板を貼り巡らす。ノボリもずらっと並べる。

 

イベント当日、看板とチラシの効果は抜群で多くのお客様が来店される。「集客成功」
洗車機は動きっぱなしだ。半額だと水洗い洗車で一台100円。
手洗い洗車とコーティングの方も忙しい。
たくさんのお客様のお車を一台も逃すまいと、
手洗い洗車もコーティングも、大車輪でこなす。
「おいこらー、その車早くやっちゃって、こっちの車を洗えー!」などと怒声も飛び交う。
お客様が「どんなコーティングがあるの?」と問い合わせてきても、
「今、ちょっと忙しいもんですから。」とチラシを渡して「この中から選んでください。」

 

店舗の中は手洗い洗車とコーティング待ちの車で大混雑。
洗車もコーティングも仕上がりの確認などいちいちやっていられない。
洗い残し、拭き漏れ、コーティングのムラが続出するが、
お客様が文句を言っても「イベントが終わってからお聞きします。」と断わる。

 

お客様は長い時間待たされて、
洗い残し、拭き漏れ、ムラだらけのコーティングをされて、
「二度とここで洗車なんかするものか。」
「どこかで、このへたくそなコーティングのやり直しをしなくちゃ」
「自分でやればよかったな。」
お客様の顔は暗い。がっかりしている様子だ。

 

その点、連続セルフ洗車機のお客様はごきげんだ。
このイベント中、セルフ洗車の値段が半額になっていて、得したとニコニコ。
どっちみち機械が洗うのだから、普段の値段でも半額でも同じ仕上がりなのだ。

 

イベントが終わったら、暇になった。
手洗い洗車もコーティングもほとんどお客様が来ない。
一ヶ月経っても誰もリピートしない。
それでもセルフの洗車機はボツボツ動いている。
なぜ手洗い洗車とコーティングのお客様が
再び来ないのか分からない店長は、
「手洗い洗車とコーティングの客は、半額で安くしないと来ないのかな」などとつぶやく。

 

手洗い洗車とコーティングをイベントの時にやったお客様は
ひどい洗い方と、へたくそな仕上がりに、「懲りた」ので来ないだけであった。
つまり「ラーメンがまずかった」から▼▽▲ラーメンにお客が来なくなったことと同じだ。

 

しかも看板には「プロの洗車とプロのコーティング。技術に絶対の自信あり。」とあった。
この看板に期待したお客様は、
「何がプロの技術か、素人の自分がやったほうがよっぽどキレイになる。」と思ったのだ。
そう思った人は、
「あの店で洗車(コーティング)はしないほうがいい、めちゃくちゃヘタクソだ。」と、
ネガの口コミを広げた。

 

その後も下手も上手いも関係のないセルフ洗車機洗車は、ボツボツ売れていたが、
手洗いとコーティングはまったく売れなかった。
「まずいラーメン」を売った▼▽▲ラーメンと同じように、
●×■石油は、「ヘタクソな洗車とコーティング」を売ったので、暇であった。

 

セルフの連続洗車機は、機械任せなので品質にムラがなく、
物販と同じような商品である。
だから宣伝で「数」を売ればいい。

 

しかし、手洗い洗車とコーティングは、
“人”がその場で付加価値を作るサービス業なので、
「数」ではなく「質」を売らないと、「数」は増えず、
「数」に目を取られて「マイナスの質」を提供すると、あっという間に「数」が減る。

 

サービス業だから
「高いプラスの品質」を売るとリピートするお客様が積み上がり、
プラスの口コミで客が客を呼んで、じわっと「数」が増える。

 

 

明日あるいは明後日
「ラーメンと洗車」第三篇では、
「うまいラーメン屋」から、「うまい手洗い洗車・コーティング」を考える。

 

 

今日のうまいもの。
いつもの「火鍋」
火鍋は「ラム」に限る。
8人の予約だったが、最初から10人(手だけの人と写真を撮っている私を含む)

 

 

火鍋開始後30分、すでに肉はなくなり、追加を頼んでいる間も火鍋はたぎる。
すでに何人か増え始めて・・・。

 

 

竹内幸雄が髪の毛を切ってきた。
妙に可愛いヘアースタイルになっている。
聞けば、いつも女房に切って貰っているそうなのだ、
「へぇ~、奥さんに切ってもらってるの。奥さん床屋さんなの?」と聞いたら、
「内の奥さん、トリマーやってるんです。犬の毛を切っているあれ、トリマーです。」
どうやら、竹内幸雄の奥さんは新作のワンちゃんのヘアースタイルをひらめいて、
幸雄君はテストとしてやっと髪をきってもらえたようです。
か~わいい。

 

 

8人で予約をして席を取ったら、結局、15人集まった。
何でこんなにいるんだろう。
たしか8人だったはずなのだが。
というよりも、今日は何の飲み会だっけ。

 

15人で、しめて28,000円なり。
火鍋はヘルシーで、にぎやかで、あったかくて、とってもうまいのです。
そして、とっても安いのです。いいですね。好きですね私は。

 

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    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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