2009年09月12日(土曜日)
2302.不十分から作り上げられる“強い力”
目からウロコが落ちた。
それもかなり大きめのウロコであった。
東海北陸道を通って富山に行く。
空はあくまでも晴れ、明日雨が降るなんて予報は嘘のようだ。
目的は北陸担当の谷基司課長から「素晴らしい店とスタッフ」と聞いていた店舗。
「キーパープロショップ Sスタイル」
富山県の人口10万人前後の高岡市のはずれにあり、はっきり言って立地は良くない。
作業場も二台分だけでキャパシティも十分とは言えない。
しかし、この店の強みは「何もかも不十分である」ことにあると私は思った。
この店のオーナーであり、社長であり、店長である堀池さんは、
元々ガソリンスタンド長く勤められていた方だが
今年の初め頃、突然、その会社が倒産した。
途方にくれた末、
数々の選択肢から選択したのが「キーパープロシッョプ」で独立する事。
資金があるわけではないので、
店舗は家賃6万数千円のあまり広くない物件を借りたそうだ。
その割にはデザインがいいので、決して惨めったらしくないのはさすがだ。
それでも店を開いているだけでお客様が来店するような立地でもなく、
仕事は当初、以前から懇意にしていたカーディーラーさんのセールスさんに
新車コーティングを紹介してもらったり
近所の中古車屋さんから、中古車の再生やコーティングの仕事をもらったそうだ。
私たち快洗隊は「お客様の顔が見えない仕事は避けたい。」として、
業者さんから仕事をもらう事をほとんどしないでいたが、
堀池社長は、
「ダイヤモンドキーパーなどのコーティングの場合、点検洗車があるでしょう。
その時、お客様に直接店舗に来てもらうようにして接点を持つようにしています。
そのお客様から、またお知り合いを紹介してもらったり、
土日を洗車デーにして、洗車にも予約できてもらったりしています。
だから、やった仕事は、ちゃんとリピートに続いていますよ。」
開かれた店舗であるキーパープロショップは、
リピートの蓄積が大切であることを実践しているのだ。
それに加えて特長的なのが「Webサイト」による集客がすごい事だ。
昔からPCに強く、Webにも長けている堀池社長は、
キーパープロショップの公式サイト「keepre.co.jp」のフォトログを活発に使い、
http://keepre.jp/proshop/00725.html
また、強力なSNS「みんから」の活用も非常に活発だ。
独自に持っている自らのWebサイト
http://www.migakiya2009.jp/
これも素晴らしい出来で、更新が激しくなされ、
私たちの先を行く情報がいつも上げられている。
オープンしてからまた数ヶ月だが、
すでに120万円以上の売上をマークし、
今月9月はさらに記録を伸ばすこと確実とおっしゃっていた。
現在、カーディラーさん、中古車屋などからの業者仕事と、
その後、直接お客様のリピートにつながっているのが合計で約70%。
Webサイトから直接お客様とのやり取りで得た仕事が約30%。
この店舗は、確実に成長し続けていることは間違いない。
作業をする場所がたった二台分しかない店舗だが、
これから先、びっくりするような存在になってくると予測できた。
素晴らしいスタッフさんの存在が、それを確信に変える。
この店舗と社長はじめスタッフさんの“強み”は、
「与えられた条件が不十分であること」に尽きる。
不十分な資金で得ることが出来た店舗の不十分な立地と、不十分な視認性、
物件の狭さによる不十分なキャパシティ。
すべてにおいて満たされていない不十分さが、
そのすべてを克服するために、
発想に何の制約を持つことなく、自分たちに出来ることをすべてやって、
手作りの暖かい店と、工夫を重ねた使いやすい作業場と、
隅々にまで気が行き届いた店作り、
地域に対する積極的かつピンポイントを抑える働きかけと、
Webでの濃いコミュニケーションで、膨れ上がっていく人の輪を作り上げた。
この努力と、工夫、継続力、実現力は、
スタートですべてにおいて不十分であったことから出来上がってきたパワーだ。
与えられた力ほど弱いものはない。
足りないからこそ自ら作り上げざるを得なかった力ほど本物で強いものはない。