谷 好通コラム

2009年07月07日(火曜日)

2251.非日常性にエンターテイメントを見る

普段まったく運動らしい運動をしていないのに、
コースに出る15分前にやおらレーシングスーツに着替えて、
準備運動もなしにコースに出て行き、
頭をレーシングモードにカチッと切り替え、激しいサーキット走行に入る。
これを二日で4回繰り返して、結果、昨日から全身筋肉痛となって、
それでも体中のストレスがかなり解消されたのか、気分は元気満々である。

 

もう少し穏やかな趣味を持てばいいのにな、と自分でも思うが、
一度覚えてしまった強い刺激を忘れられなくなっている体と脳細胞が、
「また、走りたい」「闘いたい」と、ことあるごとに囁いてくる。
体のすべての細胞を速く走る事にだけそそぎ、
前の車を抜く事だけに集中する快感は、
四方八方に神経を配る日常生活のストレスを木っ端微塵にする非日常の極みである。

 

たぶんグァムでのシューティングもその類で、
弾を標的の真ん中に集めることに全神経を集中するあの非日常性がたまらない快感なのだ。

 

信号とスピード違反のないサーキットで速く走り、
たとえ前の車を抜いても何の役にも立たない。
拳銃の弾を標的の真ん中に当てても何の役にも立たない。
何の役にも立たたず、
意味のないその事だけに集中することがいわゆる趣味ということであって、
何かのために生きていて、生活している日常と、決定的に違うところなのだろう。

 

考えてみれば、
多くの人が趣味にしている釣りだって、かける費用と実利はかけ離れているし、
ゴルフでも仕事上の交際という理由をつけたとしても、
やはり本人は、まず第一に楽しんでいるに違いない。
(私は車のゴルフでレースはやっているが、ボールを打つゴルフはまったくやらないが)

 

非日常性に自分を集中させることを趣味とし、それが楽しい事ならば、
車をキレイにする私たちのビジネスにおいても、
店舗にお客様にとっての非日常性を作り出せれば、楽しいものになるはずだ。
待ち時間もつまらない時間ではなくなる。
その辺に店舗作りのヒントがあるのかもしれない。

 

私たちは店舗作り、特に待合室作りには「不快感を除く」ことに神経を使ってきた。
「誰もが好きで待っているわけではない」ことを前提にしてそう考えてきた。
しかし「車をキレイニしてもらうのを楽しむ」ということに、
非日常性を楽しんでもらう演出を持ち込めれば、
車がキレイになるメリットと引き換えで
デメリットとしての待ち時間を費やすという方程式を解消させられるかもしれない。

 

「洗車にエンターテイメント性を」というテーマは何年か前から持っていたが、
その意味がやっと分かったような気がする。

 

 

先日のグァムでのエンターテイメント

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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