2009年06月23日(火曜日)
2238.パムストとM3の先生
P=プロ
まずプロフェッショナルであれ。
それぞれのスタッフが、それぞれの役割において、まずプロフェッショナルであれ。
プロとは、プロだからこそ出来る仕事をすること、プロとしての自覚を持て。
A=安全と安心
まず安全でなければならない。そして相手にも安心を与えなければならない。
M=真心を持って
自分がして欲しいと思うことを、相手にしてあげるべきだ。
自分がして欲しくないことは、相手もされたくない。
相手のことを自分のこととして思いやることが相手に対する真心。
真心を持って。
S=スピード
丁寧にやっているから時間がかかるのではない。
余計な事をやるから、それをリカバリーするためにまた余計な時間がかかっているだけ。
時間がかかればかかるほど相手に負担がかかり、軽く済むものも重くなる。
スピードとは適切な判断と、適切かつ最小限の処置だ。
T=楽しくやろう。
仕事を苦痛に感じたり、重荷に感じて、余計なプレッシャーを感じてはいけない。
仕事は楽しくなければならない。
そうすれば、どんな重大な事態にでも正しく冷静に対処できるはずだ。
P.A.M.S.T パムスト
洗車の話だと思いましたか?
いえいえ、これは滋賀県彦根市の大きな産婦人科医院の院長先生が話された話です。
産婦人科のベテラン先生の話としてもう一度読んで見ると、
相手とは患者さんであり、確かに、その意味が分かるでしょ。
深いでしょう。
私はその話を聞いていた時、ぞくっと鳥肌が立つ思いだった。
ああ、洗車・コーティングとまったく同じだ。
プロの仕事とは、
人の命を預かる大切な仕事でも、私たち車を美しくする仕事でも、
その対象とする事の重みはまるで違うが、
同じなんだ。
あ~~~っ、同じなんだ。
以下、私のよく言う洗車の話をパムストに当てはめると、
P=プロであれ、プロとはお金を取るからプロなのではない。
素人には出来ないプロだからこそ出来る仕事をして、初めてプロと言える。
プロの仕事でプロとしての誇りを持つべきだ。
A=安全、安心
アイ・タック技研の信念。
我々の作り出すものは、どんな環境の中でも、誰が、どんな方法で作業しても、
きちんとした技術で施行するようにはキレイにならなくても、
少なくとも、塗装を傷めることは絶対に起こってはならない。絶対の安全性。
M=真心
車は技術と道具とケミカルだけではキレイにならない。
本気でその車をキレイにしたいと思わなければ、本当にキレイにならない。
その車の持ち主の愛情を思いやってキレイにすると
初めて、プロの技術ならではの本物のキレイさが実現出来る。
お客様の目線で車を見る。
S=スピード
速いは上手い。上手いは速い。
余計な事をすればするほど、キレイにならないだけでなく、車に負担がかかるだけ。
T=楽しく
やらされる仕事は面白くない。
お客様がびっくりするくらいのキレイを作り出すプロの腕を見せれば、
お客様は喜び、お客様が喜ぶと、私たちも嬉しい。
嬉しい事を楽しみにする仕事は楽しい。
しかし洗車の話とわかっているので、
やっぱり先生の話より、ずいぶん軽く聞こえますね。
この先生は、中村先生とおっしゃる。
実は、三週間ほど前の夜、私たちのホームページのインフォメーションにメールが入った。
「ある店舗で、愛車BMW・M3にクリスタルキーパーをしたら、色がボケてしまった。
BMWのディーラーさんに持って行き見てもらったら、
トップクリアがはげてしまっていると言われた。困っています。」
と言う内容。
丁寧な言葉で綴ったメールであった。
はじめはこの内容の事態が信じられなかった。
クリスタルキーパーは塗装を1ミクロンたりとも絶対に削らない施行であり、
車の塗装の中でも一番硬く上質な塗装の一つであるBMWのトップクリアを削るとは、
あり得ないことだ。
しかし、おっしゃっていることは現実なのだ。
頭の中で色々なケースをシミュレーションしてみて、
ひょっとしてその施行店が
マニュアルを無視して、市販の破壊的な粗目コンパウンドでも使ったか。
色々考えるが、いずれにしても実際を見なければ何を想像しても始まらない。
翌朝を待って、
その日、たまたま東京から大阪に移動する予定だった田中次長を電話で捕まえる。
田中次長は塗装のプロ。正統派のプロである。
「田中君、悪いけど予定を変更して名古屋で新幹線を降りて、彦根に行ってくれないか。
実は、彦根で・・・かくかくしかじか・・・・。」
もちろん田中次長は、即、応じてくれた。
先生と電話はまだ通じていなかったが、
午前中に、病院を探し出し、先生を訪ねる。
夜メールを打ったら次の午前中に現れた田中次長に、中村先生は驚かれたようだが、
気持ちよくお車M3を見せていただいた。
田中次長の診断では、これは非常に珍しいケースで、
黄砂が酸性雨に反応して焼き付いていたそうだ。
もちろん、正しく処理をすれば問題ない。
数日後、お車を借りて、田中次長自らの施行でキチンとキレイにさせていただき、
ついでにダイヤモンドキーパーも施行させていただく。
中村先生にも無事に納得していただいた。
このトラブルは稀有なケースである。
年間に300万台ほど施行されるピュアキーパーも含めて、
年に一回あるかどうかの非常に少ないケースである。
だから、クリスタルキーパーを施行した施工店のスタッフはそれに気がつかず、
表面をクリスタルキーパーでとりあえずキレイにしてしまったので、
焼き付いたムラ状のものがかえってはっきりと見え、
ツヤがなくってしまったのだろう。
しかし、先生の「ツヤがなくなってしまっている。」との抗議に、
それが何なのかが解らずに「これは取れません。」と返事してしまったようなのだ。
BMWのディーラーさんのスタッフも、
たぶん初めてのケースで、塗装が削れてしまっていると勘違いしたのであろう。
二十年以上の経験豊かな田中次長ですらまだ三回しか見たことがないと言う。
そして、あのメールとなった。
本当はあの時点で、あの施工店のスタッフが本部に聞いてくれれば良かった。
クリスタルキーパーでツヤがなくなるのは論理的にあり得ないので、
聞いてくれれば、他に何か異常があると考え、問診だけで解らなければ、
何を置いてでも、誰かがすっ飛んでいったはずだ。
もちろん、あの施行店さんが「解らなかったら、聞く」が出来なかったのは、私たちの責任である。
要らぬお手間と時間を費やしてしまった中村先生には本当に申し訳なかった。
遅くなったが、昨日、中村先生を訪ねてお詫びに行った。
大変ありがたいことに、先生は私たちを歓迎して下さって、
文頭の話、PAMSTを教えてくれた。
そしてもう一つ、
「判断」「決断」「説明」「同意」の原則の話を教えて下さった。
これは“経営”そのものだ。
そして「正直に」これが一番大切だ。
正直が一番正しいし、楽だ。
ともおっしゃる。
難しい手術の最中の重大な決断を、数え切れないほどされてきた先生の言葉は重い。
すごい話でしょ。
なんともすごい、重い話ですね。
中村先生はBMWのM3という世界でもトップクラスの速い車に乗っている。
そして本当に速いらしい。
おまけにバイクのハーレーダビッドソンまで持って、時折、走っていると言う。
スピードについてはどうも私と同類らしい。(失礼しました)