2019年08月26日(月曜日)
8.26.「変わらない」が強みでもあり、致命的にも成りうる。
先日の機関投資家への決算説明会で、
出席者のお一人がこうおっしゃった。
「上場して4年で、売り上げを2倍、利益を3倍にした会社は、珍しい・・・」
そう言われてポカンとなった。
同席していた者も同じくで、「え~そうかなぁ」と、まるで他人事のよう。
あれからもう一週間経ったが、
ちょっと調べてみた。
東証マザーズ市場に上場したのが2015年2月なので
その直前の2014年6月期は、
売上げが約52.9億円で粗利益が35.7億、
2019年6月期は、
売上げ83.2億円で粗利益が62.0億なので、
割ると売上げが5年前比159.1%であり、粗利益で5年前比173.7%。
2倍は無いが、大きく四捨五入すれば2倍と言って言えないことはない。
粗利益率が上がっているのは、サ―ビス料収入が大きいLABOが増えたから。
経常利益は、5年前比は288.5%なので、
これも四捨五入すれば3倍と言える。
確かにそうだ。
税引き後の純益で言えば322.6%。
あの機関投資家のおっしゃった言葉にオーバーな誇張はない。
我がことながら、改めて、凄いなと思った。
と同時に、
しかし、
会社が大きくなったという実感がまったく無い。
確かにLABOの店舗数は32→80で2倍以上になったし、
従業員も5年前の2倍を越して500人以上が在籍していているが、
同時に会うことは年に一度あるかどうかだけで、
店舗に行けば1対1で、みんな仲間だ。
食べる物が変わった訳ではないし、
持ち物も同じ、着る物も一緒、
新しい服は上場してから2度ほどしか買いに行ったことがない。
棲む家は変わったが、連れ合いと二人だけになったので平屋になっただけ。
それでも、自分達の会社の売り上げが2倍近くになって、
利益が三倍近くにもなれば、何かが変わるはずなのだが。
良くも悪くも何も変わらない。
ひょっとしたら、
この会社の急速な成長の秘密が、この「変わらない」にあるのかもしれない。
私は今、
Webサイトによる予約システムを造る会議に出ている。
会長である私だけでなく社長も専務も出ている。
会社のトップが三人とも出ている会議で、
今、「定休日」をどのように表示するのか、どのように設定するのか
プログラマーを中心にして、順番に造っていく。
まるで、若いスタッフを中心にした予約システム製作分会みたいな会議で、
この場に、東証一部上場会社のトップ経営者三人が加わって、
ボタンの色を一緒になって決めているのは、一般的に見れば異常であり、
とても、一流の会社とは言えない。
しかし、KeePer技研株式会社という会社からすると、これは日常なのだ。
経営者たる会社幹部が、現場の実に細かい所にまで平気で参加している。
極論を言えば、
年末年始の最繁忙期には、
体が動き、きちんと技術を持っている者ならば、
たとえ、どんなに上の役職の者であっても、平気でつなぎを着て、
皆と一緒になって作業をする。
だから、会社の上層部が、
会社の細かい所のことまで知っていて、
こまかい所にまで会社の意志が届いている。
役職が上になったから、
細かいことはみんな下の者にやらせて、
上の者は体を動かさず、手も下さないようにはならない。
あるいは、
上の者は、大局に関わる事だけを議論し、
細かいことはみんな若いスタッフが議論して決めさせる。
なんてこともない。
どんな細かい事でも、会社幹部が平気で議論に参加してくる。
そんな「変わらない」がこの会社の強みでもあり、
逆に弱みでもある。
上の役職の者が、細かい仕事でも平気でやるので、
絶対的な仕事量がはかどらない。
もっと会社が大きくなったりすると、いつか致命的になる可能性がある。
しかし、そのまた逆に、
上の役職に上った者が、
それまでやっていた事を役得としてサボる様になったら、
もっと早く致命傷になる。これは簡単に致命傷になる。
この会社の強みの一つは「変わらないこと」。
もう一つの強みは、実は「激しく変わること」でもある。
これはまた明日。
いつまでも変わらず仲良しのリンダとチーちゃん