昨日、仙台でとても美味しい晩御飯を食べた。
会社の恩人である藤本さんと私が、仙台で相談をしなければならないことがあって、
せっかくの仙台なので、私の取って置きの美味しい店にご案内したのである。

その店は「旨いもの家 いま井」という店で、
仙台の盛り場・国分町の近くではあるが、ものすごく分かりにくい所にある。

15年ほど前、
アイ・タック技研?が、創業の株式会社タニから分社して、
全国にキーパーを広め始めた頃、
初めて仙台に来た時に、当時のお客様であった中さんに連れられて行ったのが最初だ。

あの頃は、「おでんの太平楽(?)」というような名前で
国分町のはずれの狭く古い木造の長屋のような所の一角の、
しかも分かり難い二階でやっていた店だった。
ご主人と奥さんの二人だけの店で、
決して決して立派な店ではなかったが
とにかく何を食べても美味しかったことを憶えている。
ご主人と奥さんの感じの良さも印象的であった。

私の大好物は「めひかり」という脂の乗ったイワシほどの小魚の一夜干しを焼いたもの。
あまり美味しい美味しいと私が言うので、
後日、「めひかり」がトロ箱一杯送られてきたのにはびっくりした。

その後、表通りに出てきて、
ビルの地下に「いまい(?)」の名前で、
こざっぱりした料理屋さんとして店を造り、
この場所では、ずいぶん長い間、店をやっていたような気がする。
仙台に行くたびに何度も行った。

しかし、仙台営業所も複数のスタッフになりしっかりしてきて、
私も仙台には、ほとんど行かなくなって「いまい」にもずいぶん行かなかったが、
ひさしぶりに仙台に行った時、
仙台営業の中さんに「”いまい”に行こうよ。」と言ったら、
「いえね、”いまい”さんあの場所にもうないんですよ。
あんなに繁盛してたから、つぶれたわけじゃないと思うんですけどね。」と言う。

そのまま、何年かしたら、
中さんが言ってきた。
「ありました。ありました。変な場所に移っていました。すごく変なところに。」

それで何ヶ月か前に久しぶりに行ったのが「旨いもの家 いま井」
というカッコいい名前になった今の店。

この奥には汚い店しかないだろうと思えるような小路があって、
小路の入り口にはわざと分かりにくくしてあるような小さなスタンド看板があるだけ。
その小路をずっと入って行くと、
分かりにくい入り口があって、
入り口を入ると、清潔な玄関が現われ、
中に入ると外観からは想像できないような清潔で、センスのいい料理屋さんの中になる。
しかし店の内部の大きさは、ずっと変わらないような気がする。
ご主人と奥様の2人で商売をしていくのにちょうどいい広さ、というか、
十分に気配りが行き届くような広さ、というか、
ご主人が造るお料理を待たせずに済む人数が入る広さというか、
いわゆる「いま井」の広さなのだ。

ここの料理は、絶品である。
私はグルメでも料理に凝るほうでも何でもない、
ただの大食いの酒飲みだが、
日本全国で、地元の人が旨いという店を数多く知っている。
(こういう店はたいていの場合、安い。)
だから、旨いものは旨いとある程度は解るつもりであるが、
それにつけても、いま井はすごく美味しい、旨い!
「旨いもの家 いま井」という名前は、すごくぴったりの名前で、
「旨いものがいつもある我が家 いま井」って感じか。

なぜこんなに分かりにくい場所に移ってしまったのか、
私の想像でしかないが、
たぶん、お客様1人1人にしっかりと旨いものを、
十分に気配りできる範囲で出すのが身上で
この店の事を知らない人が紛れ込んでくるのがいやで、
しかし”いちげんさん”を断るのもいやで、
隠れるように、分かりにくいところに引っ込んでしまったのではないだろうか。

私が知っている料理屋さんの中では、
料理の旨さ、酒の旨さ、ご主人と奥様の感じの良さ、居心地の良さ、
そのすべてにおいて日本一である。
でも、わざわざ引っ込んでいるのだとしたら、
この店がどこにあるかを宣伝しては返って迷惑になるといけないので、詳しくは書かない。
内緒にしときます。(どうしてもと言う人はコソッと聞いてください)