谷 好通コラム

2009年01月10日(土曜日)

2107.小さくても唯一の存在

(これは昨日、1月9日に書き始めたものです。)

 

今、高知に向かう飛行機の中。
高知行きは「中部国際空港」からではなく
小牧にある昔の名古屋国際空港、今の「県営名古屋空港」からの出発だ。

 

もう憶えていないが三年ぐらい前であろうか
愛知万博が始まる前に中部空港が出来て、
それまでの名古屋空港から国際便とほとんどの国内便も中部空港に移って、
高知便、秋田便、松山便の一部、熊本便の一部などなど
ほんの一部のローカル便が、
JALのボンバルディアCRJ-200という
40人乗りのコミューター機で運行するのみとなった。

 

三年前、名古屋空港から一斉に引越しがあったあと、
長年利用した名古屋空港の設備が悲しいくらいに縮小されて
その姿が寂しくて、名古屋空港を利用するたびに昔を懐かしんだ。
今回、名古屋空港を利用するのは1年以上ぶりである。
あれから色々と修正したのであろう、
久しぶりに来たら、ちゃんと小さいなりに馴染んでいて何となくほっとした。
小さくなっても、
ちゃんと空港としての役割を果たし、
大きな空港に対して惨めったらしいところは微塵もない。
キチンとした役割を果たしていることについては
何の遅れも取っていない。
ちっちゃくても空港は空港、堂々たる存在感なのだ。
働くスタッフも堂々としていたのは良かった。

 

 

その前に、今日はすごい経験をした。
今まで映画でしか見たことのないスケール感を持った光景を経験したのだ。
それが何なのか言えないのが大変残念だが、致し方ない。
雄大さの中で
自分がとても小さな存在に思えてしまう経験は今までも何度もしたが、
今回のは最大級だ。

 

昨年の1月に、グッドカンパニー大賞の授賞式で
日本商工会議所のビルで表彰を受けた時、
権威のある建物の中で、
権威のある人達から威厳を持った式で表彰されると、
晴れがましいよりも先に、自分がとてもちっぽけな存在に思えて、
ずいぶん居心地が悪いような思いがあったことを憶えている。
一緒に受賞した会社は、どの会社も自分の会社よりもずっと立派に見えるし、
その社長たちは私よりもずっと立派な経営者らしく見える。
権威があり、しかも知らない所へ出て知らない人達に混じると、
とたんに意気地がなくなるのは、誰でも同じようなものらしく、
パーティーの時、一緒に受賞していた人の中に私と同じようなことを言った人がいた。

 

いずれにしても、
大きな存在、権威ある存在の中では
自分がいやになるほど小さく見えることがある。
しかし、考えようによっては、
どんなにでかいものでも、
地球全体から見れば小さなものであるし、
どんなに緻密なものでも、
地球が持っている生態系全体の緻密さからすれば実に大雑把なものであろう。
大きさも、緻密さも、何かに比べた場合に相対的な意味があるわけで、
大きさとか、緻密さは、絶対的な意味を持ち得ない。

 

どんなものでも本当は
大きさとか、緻密さで評価されるべきものではなくて、
それが持つ存在としての真意にあるのだろう。

 

そして、その真意がとても大きくて、深く、緻密で、高いものならば、
その真意を永く未来に残すために、
その意味の大きさと、深さと、緻密さと高さを持った入れ物が必要なのだ。

 

いろいろな意味でそう思う。
とても大きなもの、緻密なものを見た時、
「うわ~~~、でっかい。」と、大きさだけに目をとらわれがちだが、
その大きさの意味と、緻密さの真意を分かっておかないと、
ただ単にそれは大きかっただけになる。

 

私1人1人はとても小さな存在だが、
しかし誰もが唯一無二であり、
その存在は全宇宙の中にあっても、同様に唯一無二である。
そういう意味において、
1人の小さな存在とは、それぞれがものすごく大きな意味を持っていて、
宇宙全体と1人の大きさは同じであり、
同様の意味を持っていることにはならないか。

 

巨大なる大きさと緻密さは、宇宙全体とその全時間の真意を表現し、
同時に1人1人の人間の心の中にある真意の芽を表現しているのではないか。

 

ずいぶん考えさせられた一日であった。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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