谷好通コラム

2008年12月28日(日曜日)

2097.速いは上手い、上手いは速い

年末になってくると、大変たくさんお客様が快洗隊にやってこられる。

お正月を、さっぱりして新たな気持ちで迎えたいとお車を洗い、
室内を掃除し、新たなコーティングをしてキレイにする。
12月27日を過ぎたころから普段の土曜、日曜日の二倍くらい
平日の四倍くらいのお客様が来られて、
車をキレイにする専門店快洗隊は一年で一番のにぎやかさになるのだ。

たくさんのお客様が次から次へと来られると、
普段、品質を第一に作業をしているスタッフ達も、つい仕事が雑になって
台数をこなすような悪い動きになりがちになるのは、
肉体的な疲労と、焦る気持ちが、つい、そうさせるのかもしれないが、
それはとんでもない間違いであって、
こんな忙しい時にこそ、細心の注意を払って品質の維持に努めなければならないのだ。

お客様はお正月を大変楽しみにして、お車を持ってきて下さっているのだから、
いつもより、より完璧にキレイにしたい気持ちが強い。
お正月前はいつもよりキレイに対する感性が高くなっているのだ。

しかし作業を進める側のスタッフは、
集中するお客様の車をキレイにする作業にくたびれていて、
精神的にも参っている場合もある。
だから、つい、作業がいつもより雑になったりしても、
「こんなに忙しいのだから、仕方ない。」と、自分やスタッフを許してしまうこともある。

作業を受けるお客様の側と、作業を進めるスタッフの側と、
作業の品質について逆の事情と欲求が出てしまうと、
当然そこにネガな結果が起きる。

「いつもはきちんとやってくれるのに、肝心なお正月前の洗車が雑だった。」
これでは、一年間その店舗をご愛顧いただいたお客様を、
最後の最後にがっかりさせてしまい、
新しい年から、そのお客様が来てくれなくなってしまうことだってある。

逆に、お正月前の年末に初めてその店舗を訪れ、
洗車やコーティングをやってもらったら、自分の期待以上のキレイさであった。
今までは、自分で洗車屋WAXがけをやっていたけれども、
「来年からは、ここでやってもらったほうがいいなぁ」と、思っていただいて、
新しい年からのご愛顧を獲得することもある。

年末は車をキレイにするビジネスにとって「稼ぎ時」であるのかもしれないが、
それと同時に、今までのお客様を失うのか、
新しいお客様を獲得するのか、
そして新しい年のお客様を増やすのか、減らすのかの
大切な分かれ目でもあるのだ。

スタッフはたしかに疲れているだろう。
集中力も散漫になっているかもしれない。
しかし、
こんな時にこそ、
店長、チーフなど責任ある者が、
作業を早く進めるための判断や指示をするだけでなく、
一台残らず完璧に仕事を仕上げるために、一台一台、しっかりとチェックをして、
洗い残しや、拭き残し、仕上げ残しが無いように
お客様にお渡ししなければならない。

特に年末のラッシュ時には、
いつもはいない応援が入っているだろうから、
いつものクォリティを、いつものように作り上げられない場合だって考えられる。
店長、チーフの細心の注意が必要となる時だ。
こんな時にこそ、店長、チーフの力量が試されるのであろう。

本物の技術者や、職人さんは、
忙しければ忙しいほど、いい仕事をするものだ。
上手い仕事をする人は、仕事が速い。
仕事が速い人ほど、仕事が上手い。

先々日行った名古屋・千種の居酒屋「文」
ここは、料理が本当に美味い。そして手ごろなのだ。
10年以上前から何回も行ったことがあったが、
今回、初めてカウンターに座った。
カウンターからは、100人以上のお客様の料理がすべてそこで造られ、
戦場のように忙しいのだが、
忙しいからといって、当たり前のことだが決して手を抜かない。
見事に美味い。
ちょっと感動したのは、
その忙しいさなか、板前さんに声をかけたら嫌がられると思ったら、
ニコニコして、楽しい話を聞かせてくれる。
もちろん手の動きは止まらない。
これぞ職人。いや、本物のエンタテイナーと言うべきか。

本物のエンタテイナーは、
忙しければ忙しいほど、速く、いい仕事をして、
決してユーモアという余裕も失わない。

快洗隊も、車美容に関わるすべての人も、
忙しければ忙しいほど、速く、完璧な仕事をして、
ユーモアを持って、楽しい仕事にして欲しい。

「文」のエンターテイナーたち。? 052-733-4066