谷 好通コラム

2008年12月07日(日曜日)

2082.マイナス7度のサーキットで

熊本空港から中部空港に向けて飛ぶ飛行機の機内が、
ものすごく暑く感じるのは、
今朝と今との温度差が摂氏30度はあるからだろう。

 

朝5時に起きて、
目的地の大分・オートポリスサーキットに到着したのは午前6時。
標高が500m以上もあるそのサーキットはマイナス7゜Cであった。

 

正式な公認レースではなく、
街のレース屋さんが主催し、
いわゆる「走行会」と呼ばれる催しの中で行われるレースに出た。
出場車には決まったレギュレーションもなく、
改造範囲は自由で、ある意味ではむちゃくちゃなレース。
国内A級ライセンスを持っていなくても免許証だけで誰でも出られる気楽なレースだ。
しかし暴走族の集まりのようなレースでは決してない。
暴走族がカッコをつけるだけの改造に比べて、
出ている人達はみんな真面目で、
本気でサーキットを速く走ることに夢中になっている。
とんでもない早起きをして集まってくる人達だ。おおむね健全な人達ばかりである。

 

街のレース屋さんが主催する走行会は出たことがないわけではない。
二度ほど鈴鹿サーキットで「走行会」に出たことはあるが、
走行会の中で行われる「レース」に出たのは初めてだ。
これまではJAF公認のレギュレーションに縛られた正式なレースばかりに出ていた。
そういう正式なレースをレースと言うならば
これは模擬レースと言うべきなのかも知れない。

 

しかし、結論から言えば楽しかった。
そしてもちろん、とんでもなく寒かった。

 

行われた「レース」は
昭和年代の車ばかりが出場する「旧車スプリントレース」
20台くらいの出場車。
改造範囲はほほ自由だが、
ロールバーなどの安全装備がある車で争われる「3時間耐久レース」。
26台の出場車。
ターボなどの過給器がついていないNAエンジンの車で行われる「NAスプリントレース」
40台はいただろうか。
ターボ・スーパーチャージャーが着いた車で行われる「ターボ車スプリントレース」
30台以上。
これらを予選・決勝と凄まじいスピードと省略でぎっしりと進めていく。
そして、まったく自由な1時間の「走行会」
50台もの参加車。
全部で150~160台もの車が集まって、
サーキット走行を楽しんだわけだ。これはすごい。

 

それに比べて正式なレースは、
首都圏のサーキットを除いて、どこも閑散としている状態だ。
日本においてのレース界においては底辺が非常に薄い。
入門者向けに始まった「フレッシュマンレース」は超ベテランの人達が牛耳っていたし、
ナンバー付きの車で争われるビッツレースは、
非常に特殊なチユーニングが施されていないと勝てなくなっている。
それに「普段の足にも使える」という意味があったはずのナンバー付き車のレースなのに、
そのガチガチの足回りはとても普段の足には使えないものになっている。
正式なレースには初心者、入門者が頑張れば勝てるレースが実質的にないのだ。

 

そういう意味では、レースに出るそのままの姿で車検を通り、
その割には高い戦闘力を持ち、
しかもエンジンを一発で壊す恐れのあるシフトミスがあり得ない仕組みの
ツインクラッチを持つ2ペダルでレースが出来るゴルフGTIによるレースは
私には理想的なレースに思えた。

 

現に耐久レースで抜群の戦闘力を持っている軽量化シビックタイプRに対して、
1.4tもあるゴルフGTIは、
1周4.6kmあまりのオートポリスで遅れること6秒/周程度で闘った。
軽量化タイプRが2分12~16秒。
ゴルフGTIを畠中君が2分19秒、私が2分21秒。
決して才能のないドンくさい56歳のオッサンで、しかも左足に不自由を持つ私が、
軽量化タイプRに対して、約95%の速さで走れるのだ。
しかも、そのまま一般道を走ってもごく普通に走れる車でだ。(少々乗り心地は固いが)

 

この95%が肝心な部分で、
残り5%を補うために、エアコンなどの快適補器をすべて外し、
シートは運転席を除いてすべて外し、防音・防振の内張りからバンパーも外して、
マフラー・触媒を外して直管マフラーに変えてバリバリと轟音を撒き散らすわけだ。
非日常的な車にすることは持ち主にとっても大きな負担になる。
日常性を保ったままレースも出来ることは、大きなメリットになる。
去年GTIカップレースで日本中を転戦した時も、
私たちはGTIをすべて自走で高速を走って運んだ。
だから、すでに走行距離は17,700kmに及んでいる。

 

その間、レースカーとしての整備などは一度もしていない。
ランニングコストが恐ろしく低いのだ。

 

95%がポイントなのだ。
ある一部の要素において100%を前提にすることによって、
たくさんの要素を犠牲すれば、結果的に日常性を失うことがままある。
非日常的な部分的100%よりも
日常性を持つことを前提に、95%を突き詰めると、
結果的に100%をしのぐような総合力を持つことがある。

 

ダイヤモンドキーパーを作り出すに当たって
特殊な設備で熟練した職人技をもってしてしか施行できないものではなく、
一般の日常の場であるガソリンスタンドなどでも、
一定の技術を習得すれば最高のコーティングが
もっとも安全に95%以上の性能を発揮できる事を前提とした。
それが今、ハイブリッドレジンを加えて開発し、
艶、発色において100%を凌駕し、
そして「水シミ」「雨ジミ」などの問題をも100%解決したコーティングに進化した。
あらゆる意味で日常性を確保しつつ95%を目指した方向が、
日常性というタフさをより備えた上で、100%を達成できたと考えている。

 

 

今日は快洗隊においても一つの山場であり、
営業の諸君もキーパーPROSHOPめぐりをしている肝心な週末であったが、
今年2回目のレースを楽しませてもらった。

 

そのぶん元気の素を持って帰る

 

朝6時のオートポリスサーキット。
この頃マイナス7度。
午前9時の3時間耐久レーススタート時でもマイナス5度。
半端な寒さではなかった。

 

 

耐久のメンバーの中には初めてレースに出た大石さんがいて、
ぶっつけ本番のレースに(つまり練習なし)
「やっぱり僕、やめときます。車壊しちゃいそうですから。」と固辞するも、
エイヤって感じでレースの中に飛び込んでいったら、
なかなかいい走りを見せて
「イヤ~~、面白かった。」とピットに帰って来た。
こんなことは2ペダルでありパワーのあるゴルフGTIだから出来たことだろう。
ダイヤモンドキーパー ハイブリッドみたいな車です。

 

出走直前のビビリまくる大石さん。

 

 

コースに出れば、何とかなってしまうのがゴルフGTIのすごいところ。
気持ち良さそうに走っていた。

 

 

「イヤ~~~、面白かった。楽しかった。
ビビッていたカケラももうない。

 

 

オートポリスからナビにしたがって熊本空港を目指したら、
なんと阿蘇の大カルデラを一望する所に出た。
今日は何度も得をした日である。

 

 

ゴルフGTI、たいした車です。
ダイヤモンドキーパーみたいな車ですね。

 

 

元気、元気。56歳のおっさん。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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