2008年10月24日(金曜日)
2044.いつまでも今の人でありたい
タイヤショップ「イマージン」と店舗が岐阜市にある。
20年以上前に開業されて、
イマージンの今井社長いわく「ずっとゲリラでやってきた。」
どこのタイヤメーカー系にも属さず安値と技術勝負の店だ。
岐阜市役所のすぐ近くにはあるが、
大きな店の裏手にあって表通りからはまったく見えない。
しかもとても小さく、多分、作業場も含めて50坪以下か。
しかし、たまたま私が時間が空いたので突然伺った時にも、
極端に狭い店舗内にはお客様がちゃんといて、タイヤ交換をしている車が二台もいた。
年商をお聞きしたが、ここでは書かないが大したものである。
それでも10年ほど前のピークに比べればずいぶん減ったという。
タイヤショップ「イマージン」は、
洗車とコーティングを本店の近隣の場所で、
もう一店舗の分店の方では、店舗の前で始めている。
2店舗ともキーパーPROSHOPであり、
近い将来的には「快洗隊」をやりたという。
私の聞いた限りではタイヤのビジネスで充分な収益があるはずなのだが、
なぜ、洗車とカーコーティングを始めたか。
それは非常に興味ある答えだった。
「タイヤの販売は経験が8年は必要です。
技術はそんなにかかりません。3年で身につきます。
ポルシェだろうがフェラーリが来ても平気で交換できるまでの技術で3年です。
でも販売は、奥が深くて、
8年ぐらいのベテランにならないとなかなか任せられません。
その間は、若い子たちは接客が出来ずに
交換作業ばかりでお客様の声を聞くことが出来ないんです。
特に仕事のやりがいであるお客様の『ありがとう』が聞けないんですね。
洗車とかコーティングは、
きちんとキレイになれば、お客様は必ず喜んで『ありがとう』と言ってくれますから、
若い子にも一つのやりがいが出来ます。そこが欲しいんですよ。」
急いだ会話の中での話なので正確ではないが、
大体こんなようなことであったと思う。
ここに勤めている若いスタッフのほとんどは元々「店のお客」であったそうで、
それが今井さんの誘いでアルバイトになって、
そのまま社員になってしまうのだそうだ。
今井さんが若い子たちをわが身のように思っていることが、
若い人達の心をつかんでいるのだろう。
社員さんは社長やオーナーの奴隷でも道具でもなければ駒でもない。
社員さん一人一人は社長のわが身であり、わが家族と同様である。
わが身のように、わが家族のように大事にされている社員さんは明るい。
職場も明るい。
「若い子たちにお客様からの『ありがとう』を聞かせたい。」という今井さんの言葉に、
ここの若い子たちは、ここの社員さんたちは幸せだと思った。
社長も、役員も、社員も、アルバイトも、みんな人間なのだから
お互いに大切にしあう心の部分が肝心なのであろう。
実は、会社とはその部分があって初めて、会社であると言えるのではないか。
会社が社員などのスタッフを一方的に金で雇っているという関係では、
それは会社とは言わないのではないだろうか。
会社は人間の集まりなのだから。
心を持った人間の集まりなのだから。
大急ぎで要件を済ませたあと、
また大急ぎで帰る間際に、
「イマージン」ってどんな意味なんですか?
ビートルズの「イマジン」からとったんですか?
そう聞いたら、
今井社長いわく「音楽には全然興味がない」そうだ。
人間が年をとり、時代が変わっていっても、
常に「今の人でありたい」という意味だそうだ。
なるほど「イマージン」
いつまでも今の人。
今井社長。