2008年10月09日(木曜日)
2033.人の話、聞く耳持たず
昨日の朝、お袋の顔が腫れ苦痛にゆがんだひどい顔をしていた。
歯が痛くなって、腫れがひどくなっているらしい。
近所の歯医者さんに行って入るのだが
何度行って治療をしてもらってもひどくなる一方で、夜も眠れないというのだ。
可哀想を通り越して、悲しくなってしまう。
「僕がいつも行っている“堀田歯科”に行ってみようよ。
堀田さんは信じられないほど上手な歯医者さんで、うちの会社の連中も
何人も堀田さんで助けられていて、堀田歯科に行って本当に良かったと言っている。
たまには息子の言うことも聞いて、行ってみなよ。」
かなり一生懸命に口説くが、
堀田歯科は守山区という少し遠い所にあるので
「送っていってもらうのが申し訳ない。」と、
なかなか行こうとしない。
そして、その日も近くのA歯科に行ったが、
A歯科の先生は「ここが痛いんです。ものすごく痛くて夜も寝れません。」
とお袋が懇願しても、
まともに聞きもせずにとっととどこかへ行ってしまって、
痛み止めの薬を2錠くれただけだったそうだ。
お袋の落胆振りはひどく、
「やっぱり、その守山区の堀田歯科というところへ連れて行ってもらおうかな・・。」
と力なく言うので、待ってましたと
すぐに堀田歯科さんに電話を入れる。
急な予約でも、お袋の切羽詰った状況を言うと快く引き受けてくれ、
その日の午後、連れ合いにお袋を堀田歯科さんに連れて行ってもらい、
夕方、会社に立ち寄ったおふくろに聞いた。
「どうだった?」
「ありがとうね、本当に行って良かったよ。
先生が親切に説明してくれて、
麻酔もちっとも痛くなかったし、あっという間に治療してくれたよ。
腫れていた原因の歯は、
A歯科さんで治療をしていた歯の“隣の歯”だったんだって、
堀田さんに行って本当に良かった。ものすごく楽になった。助かったよ。」
と、涙を流さんばかりに喜んでくれた。
嬉しかった。
こちらも涙が出そうなくらい嬉しかった。
歯が痛い時の苦しみは経験しているし、
化膿して腫れたときなど死にたくなるくらい苦しい。
そんな苦しみからおふくろが解放されたのは、大声を出したくなるくらい嬉しい。
太鼓判を押して言うが、
一切のお世辞なしで堀田歯科は名医である。
正真正銘の名医である。
何人もの人に紹介したが、
必ず「本当に行って良かった。」と言ってもらえる。
しかし、それにしても
お袋をあんなに苦しめた悪い歯が、
A歯科で治療していた歯の“隣の歯”であったとは。
あとでお袋に聞いた話では、
「痛いのはその歯じゃありません。」と、何度もA歯科の先生に訴えても、
“聞く耳持たず”で、同じところの治療を繰り返したのだと言う。
「素人はだまっとれ。」とでも言うのだろうか。
お袋の顔がどんどん腫れあがって、苦しんでいるのに、
「俺のやっていることにケチをつけるな。」であったのだろうか。
怒りさえ感じる。
堀田歯科はいつも最新の医療機器を備え、
「シンマ」と呼ばれるあの痛い麻酔すらも、まったく痛くない。
それは安くない投資であろうが、
患者の痛みがなくなることを思えば何の躊躇のなく採用するのだろう。
それに、
堀田先生は、患者の言うことをよく聞く。
病状を正しく把握しなければ適切な治療は出来ない。
だから、必ず歯の全周レントゲンを撮った上で、患者の訴えをよく聞いてくれる。
その上で今の症状を詳しく説明して、
これからやる治療の内容を詳しく、詳しく説明して、
その治療でどのようになるのか説明してくれて、治療を始める。
そして治療そのものは神業のごとく速い。凄まじいくらいに早い。そして正確だ。
A歯科の先生は、
お袋がどんなに訴えても、自分が最初に下した判断を変えなかった。
どんなに症状が重くなっても、
痛い、苦しいと訴えても、
「聞く耳持たず」「素人はだまっとれ」で治療方針を変えず、同じことを繰り返した。
隣の歯をいじくり続け、お袋を痛めつけた。
堀田歯科では、お袋の訴えをきちんと聞いて、
レントゲン写真などと照らし合わせて正確に判断し、
その判断と治療方針を詳しく説明して、的確に治療した。
そして、何日もおふくろを苦しめた病巣を取り除き、
「ばい菌が体中に回っているから」と点滴を施した。
それで、ひょっとしたら、
そのままにしていたらお袋の命にまでかかわっていたかもしれない状態から
本当に助けたことになったのかもしれない。
素人である私には、まったく解らないが、
もう80歳に近くなっているお袋が、
ものすごく我慢強くて滅多に「痛い」とは言わないお袋が、
あんなに苦しそうな顔をしていたことを思うと、
ひょっとしたら大事になっていたかもしれなかったことを思うと、
私は堀田歯科さんにお袋の命を助けてもらったような気がした。
人と人のコミュケーションは、まず「聞く」ことから始まる。
「聞く」こととは、まず肯定するという意味である。
肯定した上で、考え、「話す」。
人の話を否定的に聞くのは、「聞く耳持たず」と同じ意味である。
これは非常に重要なことだ。
人の話をまず肯定的に聞くことが出来る人は、
人から新しい知識や、考え方や、力までも受け取ることが出来るが、
人の話を否定的にしか聞くことが出来ず、
「聞く耳持たず」で、自分の考えを絶対善であると思っている人は、
人から新しい知識も、考え方も得ることは出来ず、
もちろん人から力を得ることもなく、
相手の力を萎えさせるか、苦しめることだけが出来る。
主人公が「何もしないで欲しい。」とか「話をしたい。」とか言っても、
それを無視して「何でもかんでもやって」「話をさせない」のは、
独りよがりの「聞く耳持たず」でしかない。
私たちは、何より、
お客様の言うことを肯定的に「聞く」ことから始めるべきなのだ。
昨日の店長会議。