谷 好通コラム

2008年08月08日(金曜日)

1989.「これでいいのだ」の境地と私は凡人

漫画家の赤塚不二夫さんが死んで
その告別式でタモリが白紙を読んだ弔辞に泣けた。
いつもバカをしてる漫画家とお笑いタレントの凄まじいまでの深い人間性に驚いた。

 

その弔辞の中に、
「あなたの考えは、すべての出来事、存在をあるがままに、前向きに肯定し、受け入れることです。それによって人間は重苦しい陰の世界から解放され、軽やかになり、また時間は前後関係を断ち放たれて、その時その場が異様に明るく感じられます。この考えをあなたは見事に一言で言い表しています。すなわち『これでいいのだ』と。」
とあった。
究極の肯定的な価値観と、生き方は、仏教で言うところの「悟り」なのだろうか。

 

私は凡人なので「これではイカン」「今を否定して進化せねば」と言い続け、
あれもこれもが気になって、なんとか進歩したくて、
学ばなくてはと、日々あがいているような人生だ。
自分の努力と、自己否定力と、新しい自分を求めて、
自分自身で自らのあるべき姿になろうとするのは、自力本願というのか。

 

それに対して、他力本願とはすべてを仏様の唱える真理に任せ、
宇宙を信じるという価値観なのか。

 

私は仏教の勉強をしたわけではないので分からないが、
「すべての出来事、存在をあるがままに、前向きに肯定し、受け入れる」
とは、まさしく他力本願であると感じた。
すべてを受け入れ、その上ですべてを愛し、すべての人と宇宙全体の幸せを願う。
「悟り」とか、すべてを宇宙の真理に身を任せる他力本願とは、そういうことなのか。

 

タモリの弔辞に私は感動した。
赤塚不二夫のような生き方が出来たらいいなあ~、と心から思った。
「赤塚先生は本当に優しい方です。シャイな方です。マージャンをするときも、相手の振り込みで上がると相手が機嫌を悪くするのを恐れて、ツモでしか上がりませんでした。あなたがマージャンで勝ったところをみたことがありません。その裏には強烈な反骨精神もありました。あなたはすべての人を快く受け入れました。そのためにだまされたことも数々あります。金銭的にも大きな打撃を受けたこともあります。しかしあなたから、後悔の言葉や、相手を恨む言葉を聞いたことがありません。

 

あなたは私の父のようであり、兄のようであり、そして時折みせるあの底抜けに無邪気な笑顔ははるか年下の弟のようでもありました。あなたは生活すべてがギャグでした。たこちゃん(たこ八郎さん)の葬儀のときに、大きく笑いながらも目からぼろぼろと涙がこぼれ落ち、出棺の時たこちゃんの額をピシャリと叩いては『このやろう逝きやがった』とまた高笑いしながら、大きな涙を流してました。あなたはギャグによって物事を動かしていったのです。

 

あなたの考えは、すべての出来事、存在をあるがままに、前向きに肯定し、受け入れることです。それによって人間は重苦しい陰の世界から解放され、軽やかになり、また時間は前後関係を断ち放たれて、その時その場が異様に明るく感じられます。この考えをあなたは見事に一言で言い表しています。すなわち『これでいいのだ』と。」

 

でも私は凡人、どこまでやれるかどうかは知らないが、
まだ自分でやれるだけやってみようと思う気持ちは抑えられない。
でも、私は凡人なのだから、
自分の気の済むまでやるだけやって、
平和な心の境地にたどり着けないまま死ぬかもしれないが、
ひょっとしたら私でもどこかにたどり着けるかもしれない。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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