谷 好通コラム

2008年07月24日(木曜日)

1976.ミーとタマちゃんの仲良し

年取ったパグ犬、ミーが糖尿病になって体が不自由になり1年近くなった。

 

7匹の兄弟として産まれた子犬のミーちゃんは一番体が小さくて、
外の家に出されると心配だと飼い主の家に残された。
一緒に残ったのは、体が一番大きくて顔が真っ黒な子犬マーちゃんとお母さんのモン。
ミーちゃんは体が小さくても、
他の犬と同じだけの量のエサを食べないと不公平なのがイヤで
ずっとチビの大食いであり、歳を取ってから糖尿病にかかり、
眼球が白く濁ってきて失明した。
ある時、高血糖発作で体全体が不自由になり点滴生活になって、
病院の先生からも「もう助からないね」と宣告される事態にまでなったが、
飼い主の機転で、好きなだけエサを与えたら、
ミーは気が狂ったように食べ、インスリンの力も借りて奇跡的に元気になった。

 

ここまでは1934話「ミーちゃんとポポの物語」で書いたこと。
さて、そのあとミーちゃんはどうなったのか。

 

元気である。
食欲は相変わらず旺盛で、
ちっちゃい体でけっこう大きなボールに朝夕一杯ずつ食べ
血糖値も一時は500以上になったこともあったが、
今はほどほどに安定している。
後ろ足はほとんど動かないが、
それでも何らかの刺激を受けるとピクンと反応するまでになった。
特製の輪っか状の寝床を中心に前足だけでぐるぐる回ることも出来るようになった。
そのおかげで、前足の筋肉がついて肩から前足にかけてたくましくなっている。
一言で言えば、どんどん元気になってきているのだ。
生き物の生命力は本当に不思議である。

 

ミーちゃんは昼間家族が働きに出ている間は、
動物病院の先生に預けられている。
毎朝、病院に連れて行ってもらって夕方迎えに来てもらうのが日課だ。
「託児所」へ通っているようなものだ。
ミーちゃんの場合はもう年寄りなので「託老所」通いなのかもしれない。

 

その動物病院、つまり「託老所」で友達が出来たらしい。
名前は「タマちゃん」。
やはり下半身が付随になった白黒の猫だ。
ミーちゃんはおとなしいので、いつもケージには入らず、
涼しい先生の足元に寝かされているのだが、
そこにミーちゃんの体にすり寄せるようにタマちゃんが、いつもいるのだそうだ。
ミーちゃんは、タマちゃんが体を寄せてくると、
気持ち良さそうな表情をするらしい。
老人ホームにいるご老人が、気に入った同士で結婚しちゃうような感じか。
誠にほほえましい。

 

種を超えて体が不自由になった者同士、
体を寄せ合いじっと暮らす様子は、
生き物は地球のレベルで見れば、みな兄弟であることを思わせてくれる。
彼らを見ていると、
人間同士、戦うこと、憎みあうこと、
傷付けあうことがバカバカしくなってくる。

 

 

タマちゃんは自分の体を噛む癖があるので、
口が自分の体に届かなくするカバー通称「エリザベスカラー」をつけている。
ピンクが良く似合うタマちゃんと、
穏やかに眠る幸せそうなミ―ちゃん。

 

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    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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