谷 好通コラム

2008年07月21日(月曜日)

1974.人生はギャンブルか?

香港でのセレモニーが終わった後、
フェリーに乗ってマカオに行った。
マカオは15年前に旅行で行ったことがある。
あの時のマカオは、特に観光があるわけではなくカジノがあっただけで貧相であった。

 

そのマカオが、アメリカのラスベガスを、
ギャンブルの売り上げか何かで抜いたと何かのニュースで聞いた。
バブルの中国のにわか金持ちが、一番手頃にギャンブルが出来るマカオに押し寄せ、
金をばら撒いていくのだそうだ。
ある証券会社が、マカオに新しく出来るカジノの株を買わないかと
しきりに勧めに来たこともある。(もちろん断った)

 

そんなことで、
私が知っているマカオは国としては中国に吸収されだが、
中国全国から集まってくる金持ちから金を巻き上げている。
そんな今のマカオが何がどう変わったのか見てみたくて
マカオまで行ったのだ。
マカオは中国語で「澳門」と書く。意味深な文字である。

 

 

マカオに着いたのはもう夜になってから、ホテルに荷物を置いて、すぐに街に出てみる。
マカオのカジノ街は、その派手なネオンと奇抜な建物はまるでラスベガスそのものであった。むしろ一つ一つの建物の規模は大きい。
しかし、ラスベガスとまったく違う街でもあった。まず、あくまでもギャンブルの街であって、アトラクションがあるわけでもなく、子供が遊べるような街ではまったくない。
ラスベガスのように、世界一のレベルを持つショーがあちらこちらで催されている訳でもなく、ショーがあったとしてもストリップの類のものだけであった。
試しにひとつのカジノに入ってみたが、中国人などがギャンブルに興じている間を、明らかにそれと分かるいかがわしい女が足と胸をあらわにして闊歩している。
金、金、金、女、金、女、金、酒、金。女。
そんな世界である。

 

 

私たちは、ほうほうのていで逃げ出す。
とても私ごとき度胸も根性もない弱虫人間のいられる世界ではない。
カードの偶然と、
記憶力と確率のプロであるディーラーを相手に
何万円単位ものお金を賭けて、勝てる確率の低い勝負を挑む度胸は私にはまったくない。

 

また、それらしき女性のむっちり胸とスラッとした足を股のすぐ下まで出して迫られたら、
私はその色気を断ち切る根性も無ければ、
受け入れる術も無く、ただみっともなくニヤニヤするしかない。
とても、とても、私ごときが相手にしてもらえるような世界ではないのだ。

 

 

マカオのカジノはラスベガスに比べて、純粋に人間の欲望を直接的に発散する場所であった。中国のバブルが破裂したら真っ先に、ガランガランに暇になる所でもある。

 

悪夢のような夜のマカオでの晩御飯は「火鍋」であった。
私と酒部君が揃って一番好きな中国料理として推薦する「火鍋」。庶民的な料理で、大衆食堂のようなレストランが多い。せっかく久しぶりの休暇なのだからとも思ったが、やっぱり火鍋が一番食べたかった。

 

次の朝、ポンコツボンゴのタクシーに乗ってマカオ市内見物。
真っ先に行ったのが「マカオ博物館」
極端に狭いマカオでは見るところがごく少なく、まず博物館なのだ。
博物館内は残念ながらすべて撮影禁止。
しかし、その展示は力があって非常に良かった。

 

博物館の建物は昔の「大砲台」に建てられたもので、
マカオの昔ながらの街を一望できる場所でもあった。

 

 

向こうの方に大砲のレプリカが並べられている。
暑いので近くまで行かなかった。とりあえず日陰から見物。

 

 

博物館の下には「世界遺産」の教会の跡があった。
マカオの象徴でもある。

 

 

その教会跡から下を望むと、ブラスバンドが何組か演奏していた。

 

 

次に行ったのが古いお寺。
手前の古いキリタンポのような(あるいはチクワのような)ものは、
お線香である。
また天井からぶら下がっているものは、ものすごく長い、やっぱり線香である。
両方とも結構な値段であったが、太い線香、長い線香の方がご利益があるということであろうか。
「神頼み」も一種のギャンブルのようなものか。

 

 

これみんな線香である。
燃え尽きるのに24時間ぐらいかかるらしい。

 

 

ガジノ以外は、昔と変わらない景色であった。

 

 

きれいに色分けられた石畳の広場。
ここも世界遺産だそうだ。

 

 

マカオで一番高い所に大きな教会があった。
そこから見えるお金持ちの人たちの家。カジノのオーナーたちか?

 

 

下に降りれば、普通の町並み。

 

 

その中に突如現れる「カジノ」。
ここも夜になると誘蛾灯のように無数のLEDがきらめき、
ギャンブラーと夜の蝶を集めるのであろうか。

 

 

向こうの方に変な格好をした金色の巨大なビルが見える。
あれが、一番最初の写真のカジノである。
あの周辺には、ラスベガスで見たようなピカピカのゴテゴテのカジノが集まっている。

 

 

昼ごはんを食べた「ポルトガル料理のレストランの前から向かいの別のポルトガル料理の店。
ポルトガル料理は特別おいしかった。ほんとにおいしかった。
ここで一服してボーっとしていたら、ガジノの毒素が消えていくような気がした。
マカオで一番ホッとした場所。

 

 

ここから香港。
ジェットフェリーでマカオから1時間。香港島のフェリー乗り場に着く。
そこから地下鉄に乗って約1時間、香港島の端っこのホテルに着く。

 

 

ホテルからの一望。
最近建ったリゾートタイプのホテルらしいが、
設備は立派であったし、スタッフも親切であったが、
オペレーションはまだまだ、客商売は難しい。我が身を思う。

 

 

次の日の香港での半日の観光。
どこへ行くかいろいろ考えたが、結局やっぱり博物館に行く。
博物館は人が多くなく、ゆっくりと出来ていい。

 

 

香港の京劇の建物の模型。
オール竹造りである。
竹は軽くて丈夫なので、建物全体を軽く出来る。
簡単に大きな空間を作れるのが特徴だ。
まるで快洗隊のテントのようで、ちょっと惚れ惚れとしてしまった。

 

 

その一部が再現されていた。

 

 

そこからタクシーに乗って約30分。空港に向かう。
飛行機の時間までには3時間近く早かったが、
先発の酒部くんたちが空港の大混雑に巻き込まれて苦労した話を聞いて、
早く出かけたのだが、私たちの場合は空港はガラガラでちょっと拍子抜けであった。

 

 

空港の中で昼ごはんを食べる。
熊本ラーメンの「味千」。
中国のあちらこちらの街の一等地に店を出していて、
大成功しているチェーン店である。
一度中国で食べてみたかったのであるが、
味はよく判らなかった。はっきり言っておいしくとは思わなかった。
中国でのビジネスは立地が大変重要であるが、
いい立地を得るにはどうしても何らかのコネがいる。
しかし、中国の人の言う「私は政府の△□▼に強いコネがある。」ほど信用できないものはない。
思い切ったコネをどう作るのか、が勝負のようだ。
私はギャンブルの類が苦手なので、どうも勝負が出来そうにない。
人生はギャンブルなのであろうか?

 

 

もうすぐ飛行機が出発する時間。
ホッとする一瞬だ。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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