2008年07月05日(土曜日)
1961.昔に帰りたいと思う時
昨日、四国でキーパープロショップのメンバーの方が、
研修会が終わったあと、椅子に座ってタバコを吸っている私のそばに来られて、
「いつも谷さんのブログ読んでいます。」とおっしゃる。
こんな時私は「あぁそうですか、それはどうもありがとうございます。」としか言えない。
何を言ったらいいのか、どう答えていいのか分からないのだ。
心からありがたいと思うし嬉しいのに、
どんな言葉を出していいのか分からない。
何か照れてしまうし、どう言えばいいのか本当の分からず困ってしまうことが多い。
なんて言えばいいのだろうか。
どちらにしても照れくさい。
せっかく声をかけていただいたのに、申し訳ない。
一昨日、
このブログのコメントに驚くような便りが届いた。
5年も前に書いた「625話 54年目の閉店」
「当たり屋」さんという小さな料理屋さんの話に対するコメントだ。
この店は女将と貞子さんという女手二人で
54年間も、とても美味しい料理でお客を楽しませ続けた素晴らしい店だ。
その貞子さんの息子さんがコメントを書いてくれた。
5年経った今でも、お二人共とてもお元気の様子で、
「悠々自適」の四文字がとても嬉しかった。
そして5年前に書いた自分の文章を読み返しているうちに、
「もう一度、昔に戻って“当り屋”に行きたい。」
「もう一度、あの煮魚を食べたい。ポテトサラダを食べたい。」
「もう一度女将に会いたい。貞子さんに会いたい。」
「女将の『水商売は、・・・』の話を聞きたい。」
そう心の中にこみ上げてきた。
もう、1960もの話を書いてしまったが、
その中には数え切れないほどの人達が登場して、
私の書いた好き勝手な文章に、
面白がってくれた人もいれば、
喜こんだり、怒った人もいたかもしれない。
数え切れない人。
その一つ一つの話に出てきた人たちに
「あ~会いたいな」と心が叫ぶ。
昔の話を懐かしむような歳にはなっていないはずだが、
その誰とも、心の底から会いたいと思う。
1900の話を通り過ぎたころから、少し怖くなってきている。
特に理由はないが、2000まで書いたら、
何かが終わってしまうような気がするのだ。
とすると、もう1960を越したので、あと残り一ヶ月ということになって
何かとても恐ろしい気さえする。
何が終わるのだろうか。
あるいはただ通り過ぎるだけなのだろうか。
時間が逆に進めば、
またみんなに、またあの場所で会えるのに、
逆に進むどころか、止まることなく進んでいき、
決して止めようのないことが、ものすごく不思議に感じる。
いつも前ばかり見ていると、
過ぎた日のことを思い出すのを忘れていたことに気が着く。