2008年03月19日(水曜日)
1869.トヨタNAVI戦略にはまる
カーNAVIが装着されていない車は<
もうほとんどなくなったのではないか。
そう思えるほどカーNAVI(ナビゲーションシステム)は普及した。
レンタカーを借りても、何年か前まではNAVIは別料金になっていたが、
今では標準装備が当たり前になっている。
私が思うに、
NAVIがここまで普及しているのは日本だけなのではないだろうか。
アメリカには何度も行ったが、少なくともトニーの車にはNAVIは着いていなかったし、
訪問先で何台かの車に乗せてもらったし、レンタカーも何台かに乗ったが、
1台もNAVIは装着されていなかった。
70回も訪問した中国でもNAVIは見たことがない。
香港に行った時に乗ったキーパープロショップの蔡さんのベンツSクラスに
一見NAVIのように見えたのはオーディオのディスプレイであった。
オランダで借りたボルボには、
外国で見た唯一のNAVIが着いていたが、
なんと地図画像がなく、
ピンポンという音と共に
3×10cmぐらいのモノクロの液晶ディスプレイに矢印だけ!が出る何とも頼りないNAVIで、
運転していた吉村さんも「これじゃ、まったく分からないですよね。」と、ぼやいていた。
ヨーロッパには三年以上行っていないので、
今はどうなっているのか分からないが
少なくとも私の経験においては、
NAVIが普通の車生活の中にここまで定着しているのは、日本だけである。
日本国民の多くは、もう、NAVIがないとどこも走れない。
そんなNAVIを戦略として一番うまく活用しているのがトヨタ自動車ではないだろうか。
日本で一番普及しているのは「トヨタ純正NAVI」だろう。
トヨタ純正NAVIは、
その操作方法が小型車であろうと高級車であろうとほぼ同じで、
車を乗り換えてもNAVIに関してほとんど違和感を覚えさせない所にすごさがある。
NAVIの取り扱い説明書をいちいちきちんと読む人は少ない。
新しく車を選ぶ時、
今乗っている車の使い慣れたNAVIと違和感なく使えるNAVIが着いていれば、
それは、新しい車を決める大きな要素になる。
これは想像以上に大きな要素になっているのでないだろうか。
もっとすごいと思うのは、
レンタカーまでがその戦略に一環になっているところだ。
今、トヨタレンタカー・リースの車には100%、トヨタ純正NAVIが標準装着されている。
旅行や出張に行った時、団体旅行でもない限りレンタカーを借りる場合が多いが、
普段乗っている車とは違う車に乗るわけだから、当然、車に慣れていない。
そんな時、使い勝手の違うNAVIが着いていると余計に困って、イライラすることがある。
だから、
普段トヨタ車に乗っている人が、
トヨタレンタカーを借りると、
いつもの使い勝手に近いトヨタ純正NAVIが着いていてホッとするのだ。
逆に、
普段違うメーカーの車に乗っている人でも、
仕事でトヨタ車をレンタルしたりすると、その操作性のいいNAVIが気に入って、
次に自分の新車を選ぶ時に、
使い慣れているNAVIの着いているトヨタ車を選ぶ確率が増えることになる。
ふと思うと、
トヨタレンタカーの競合である日本レンタカーとか、ジャパンレンには
トヨタ車がないのではないか。
普段トヨタ車に乗っていてトヨタ純正NAVIを使っている人が、
たまたま他のレンタカーでトヨタ車以外の車を借りて、
いつもの操作とはまったく違うNAVIを使った時、
イライラするに決まっている。(私もそうだった)
NAVIにイライラするだけでなく、
乗っているその車に対してまでイライラすることは想像に足りる。
トヨタ車以外の車に乗って、NAVIにイライラさせれば、
トヨタ車以外のその車に対してもイライラするのは、思う壺である。
操作の面倒なNAVIは、
使い慣れているかどうかがポイントで、
使い慣れさせてしまえば、もうこっちのもの。
その他のメーカーの車を嫌いにまでさせ得るのだ。
ユーザーが車種を選ぶ要因に「NAVIに慣れているから」は想像以上に大きい。
誰かに聞いたが、
トヨタのNAVIメーカーに対する要求は尋常ではないくらい厳しいと言う。
それは、トヨタの深いところまで読んだ壮大な戦略の一環だからなのだろう。
トヨタはだてに世界一になったわけではない。
そんな隅々にまで張り巡らされた戦略が、トヨタを世界一に押し上げたのだろう。
そう考えても、つくづくトヨタはすごいと思わされる。
それに比べて、私は、
朝早く新幹線に乗ったので、朝食は列車内でサンドイッチと缶コーヒー。
昼食は、予定の時間が迫ってしまったので車の中でサンドイッチとジャムサンドとお茶。
壮大な戦略を張り巡らせるためには、ちょっと寂しい私の標準的な食事である。