出張も今日で三日目。(今はもう日付が変わったので実際は”昨日”)
二日目に松戸店で打ち合わせをした時に、ジャンパーを置き忘れてきてしまった。
そのまま今日、福岡へ飛んで、久留米に行って、また福岡に帰り、
そのまま福山に行き、快洗隊新涯店に行った。
今はその帰り、福山からの新幹線の中。
寒波が全国を覆っている今日は、何処へ行っても寒かった。
非常に寒かった。
ジャンパーを忘れてきたので、ずっと背広の上着だけだったからだ。
特に寒かったのは、福山の駅。
福山駅はけっこう新しいのだが改札を通ってからの待合室がないのだ。
暖房の入っていない構内には、ただベンチがあるだけ。
唯一のラーメン屋さんも午後8時現在で店がもう閉まっている。
ただただ寒いのを我慢して、ベンチに座ること20分。
売店で温かい紅茶を買って飲んだが、そんなものでは全く体は暖かくならない。

私は、出張した時、一つ自分で決めていることがある。
「暑いと思ったら、いっさい我慢せずにさっさと背広を脱ぐし腕もまくる。
逆に寒かったら、いっさい寒さを我慢せずにさっさとジャンパーを着る。」
そこが何処であっても暑けりゃ脱ぐ、寒けりゃ着る。
出張中は、いっさい暑さ寒さを我慢しないことにしているのだ。

出張中の大敵は風邪を引くことなので、
風邪を引かないために
暑さ寒さを我慢しないことに決めたのはもう10年以上前のことだ。
冬の旭川に行った時、外はマイナス20゜Cの極寒であったが
防寒の下着をしっかり着込んでいた私は割りと平気で、
鼻毛が凍るのを楽しむ余裕さえあったのだった。
しかし、そのあとバスに乗ったら、車内はプラス28゜Cもあって、
それで私はいっぺん汗ダクダクになったのだが、下着を脱ぐわけにはいかないので、
ただ、ジーッと我慢するしかなかった。
その間30分、下着がぐっしょりと汗で濡れた上でバスから降り、
バスターミナルからホテルまで
初めての旭川の街を楽しみながらのんびり歩いていたら、
マイナス20゜Cの冷気が下着まで忍び寄り、急に体の芯を突き刺すような寒さを感じた。
この時、生まれて初めてダイヤモンドダストを見た。
その晩、ホテルのベッドに入ってからガタガタ震えるぐらい体中に寒気を感じた。
風邪を引いたのであろう。

次の日は旭川で講習の仕事があって、
風邪を引きましたので講習は中止ですとは言えず、
熱で頭がボーっとしたまま、仕事を一通り終えたが、
この時のツラサは忘れられないものであった。
出張先での風邪は、肉体的にツライだけでなく、
精神的にもかなりダメージが来る本当にツライものなのだ。

そのツラサが体に染み付いて、
私は今でも、いくら寒くても下着で十分な防寒はしないことにしている。
(パッチはどこに行っても冬の必需品であるが)
寒さに応じて、普通の背広の上から着るジャンパーの厚さの種類を変えるのだ。
コートはかさばる割には大した防寒にならないので、私はもっぱらジャンパー。

そのジャンパーを、寒ければすぐに着るし、暑いと思ったらとっとと脱ぐ、
もっと暑いと思えば背広も脱ぐし、腕だってまくる。
よほどの硬い場所でなければ、遠慮なしにひんぱんに脱いだり着たりをするのだ。
絶対に汗はかかない。
絶対に体を冷やさない。
それだけを守っていれば出張中の風邪は引かないで済む。
私の出張の智恵である。

だからなのか、旭川でのつらい風邪のあと、
10年以上私は風邪を引いたことがない。
たまにタバコの吸いすぎで喉が痛くなって、風邪を引くかもしれないと騒ぐが、
タバコをしばらく控えているとすぐに直ってしまう。
(先日の禁煙宣言は賞味期間14時間でした。はずかしい。)

それが、出張二日目の松戸店にジャンパーを忘れてきて、
暖房の入っている待合室が全くない福山駅で、電車が来るまでの20分をどう過ごすのか。
とにかく、寒い!
福山の駅は寒い!
結局、改札をもう一度出て、外の喫茶店に入るしかなかった。
体がぞくぞくする。

・・・・・・

この日最終の新幹線に乗って2時間19分後、名古屋に着いた。
風邪引いたか?
大丈夫なようだ。あー良かった。