谷 好通コラム

2007年11月22日(木曜日)

1781.誰かが「今日は休んどきな」と

今日は、本当は仙台に行く予定であった。

 

朝8時発の飛行機に乗るつもりで、
朝7時ごろ中部空港への高速道路に出たのだが、
走行中、突然、警告音と共に
「ケイコク!タイヤノクウキアツゲンショウ、テンケンシテクダサイ。」と、
とディスプレーに赤字で警告文が出た。
しかし、高速を走っている時に全文カタカナで警告をされたって、
とてもすっと読めるものではない。
「なんのこっちゃ?」と思っているうちに、
東浦インターを過ぎて、
そのうちに車体の動きが妙に落ち着かなくなって、
「あ~、パンクだ。」と思ったが、
次のサービスエリアまでは数キロある。
時速を60kmぐらいまで落としてソロソロと走っていったが、
とうとう阿久比SAまであと1kmという所で、
後ろから「ブューッブューッ」と
ホィールがタイヤを噛んでいる特有の音が出始めた。
タイヤから空気が完全に抜けた証拠である。

 

飛行機のチェックインの時間まであと35分しかない。

 

急げばなんとかなるかもしれないと思って、
サービスエリアの駐車場に入ってすぐにスペアタイヤに交換の作業を始めた。
右後ろのタイヤがぺちゃんこになっていてサイドがホィールに踏まれて削れている。
このタイヤはもうだめだ。
まずジャッキをかけて、車体を上げる。
少し上げたところで、ホィールボルト(ナットではない)を少し緩める。
さらにジャッキを上げる。
しかし、ジャッキのハンドルを回す途中で、ジャッキが倒れてしまった。
このジャッキは変な形で初めて見たタイプ、支点が一つしかないのだ。
この時点で、緊張の糸が切れた。
前日の夜が遅く、
かなりの睡眠不足になっていたことも手伝って
ここで気力が尽きた。

 

まずタバコを一服つけて落ち着く。
今からジャッキアップをやり直しても、絶対に8時の飛行機には間に合わない。
畠中君に電話をかけて、
8時の飛行機をキャンセルし、
代わりに9時55分の飛行機を予約するように頼んだ。
約2時間の時間を稼いだわけだ。

 

しかし雨が降っている。

 

自分でスペアタイヤぐらい換えられないのは情けない限りだが、
電話でJAFのロードサービスを頼むことにした。
感じのいい女性が電話に出て、
ものすごく丁寧に私の要請を受けてくれる。
状況を詳しく聞かれた後、
「お急ぎのところ誠に申し訳ないのですが、50分お待ちください。出来るだけ急がせますので。」
そう丁寧にお願いされ、素直に承知した。
素晴らしい応対である。

 

昔はJAFの独占であったロードサービスも今は競争相手がいっぱいいて、
昔のようなお役人的な応対では、とてもその存在が持たなくなったのであろう。
競争原理はこんな所にも生きているのかと妙に感心した。

 

JAFのロードサービスを待つ間、
仙台に電話をして、遅れることを告げた。

 

しかし、仙台の言うことには。
「仙台は今日、雪がすごくて、SSさんはタイヤの交換でごった返しています。」
ならば、ただでさえ少なかった出席者予定者は
とても来れないだろう。
「じゃあ、今日の発表会は中止しましょう。やっても誰も来れないでしょ。」

 

なんだバカバカしい、無理して仙台まで行っても空振りだったのだ。
もう一度畠中君に電話をして、
帰りの飛行機も含めてすべてをキャンセルをしてもらった。
(私は「身障者割引」でチケットを買っているのでキャンセルはペナルティー無し)

 

車のタイヤがパンクした時は、
「よりにもよって、こんな時にパンクをするなんてツイテない。」と嘆いたが、
パンクしたおかげで、
空振りの仙台行きをせずに済んだ。

 

きっと、神様か仏様が、
「ちょっとお前はくたびれてるから、今日は休んどけ。」と、
天から言ってくれたのだろう。
そう思うことにして、昼から休暇にしてしまった。
休暇のお出かけまでして、東海店と岡崎店を見に行けたのは余禄である。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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