谷 好通コラム

2007年10月16日(火曜日)

1752.ESとCSの関係

ES・Employee Satisfaction 従業員満足
CS・Customer Satisfaction 顧客満足
この両者は、いずれかが欠けても片方だけでは成り立たないとされている。

 

まず、従業員満足とは何であるかを考えてみたい。
従業員が望むのは、仕事が気楽で、時間が短く、休みが多くて、給料が高いことか。
それは無理だ。
たとえば、その人の能力が非常に高くて異常に効率が高ければ
そういうこともあり得るかもしれないが、
そこまで能力の高い人ならばもっと働いて、より高い所得を得ようとするだろう。
逆に、楽をしようとする人に能力が高い人はいない。
知識であれ、技術であれ、能力を構成する要因を得るのは、決して楽ではない。
楽をしたい人は自分の能力を高める努力などしない。
能力も要らず、仕事が楽で、労働時間が短く、休暇も多くて、給料が高い。
そんなことはあり得ないのだ。
たとえあるとしても、それは犯罪的な仕事であろう。
だから、存在しうる従業員満足とは、
「能力も要らず、仕事が楽で、労働時間が短く、休暇も多くて、給料が高い。」ではない。

 

働く目的とは、人それぞれであろうが、
生活が安定することであり、その生活が豊かでありたいと思うのは共通であろう。
そのためには給料が必要であるし、それも出来るだけ高い給料がいい。

 

では、給料とはどうやって決まるのか。
給料、つまり報酬とは、会社に与えた利益に応じて得られるもの。
つまり会社に利益が発生しなければ従業員の報酬も発生しない。
経営者の報酬でもまったく同じことだ。
当然のことだ。
会社に利益が出るから、報酬が出せるわけであって、
会社に利益も出ないのに報酬だけを発生させれば、
会社は赤字ですぐにでも倒産する。
倒産すれば報酬は出なくなるのだから、
利益も出ないのに報酬だけが出続けることはあり得ないのだ。

 

そして会社が得る利益とは、
社会に対して、具体的にはお客様に対して与えたお客様の満足に応じて得られるもの。

 

もっと詳しく考えると、
☆商品・サービスの適正な価格とは、
お客様がその商品・サービスによって得られる満足に比して同じか小さいもの。
[価格≦顧客満足] これは商売の鉄則だ。
それを買って自分が得るものに比して価格が高すぎれば誰も買わないだろうし、
逆に、自分が得るものに比して価格が同じレベルか安ければ買う。

 

☆どれだけの数が売れるか
[必要性・欲求度]
それが、お客様にとって”必要”なものであるか、”欲しい”ものであれば、たくさん売れる。
多くのお客様にとって必要でもなく、欲しいものでもなければ、少ししか売れない。

 

☆売り上げとは
売り上げ=価格・単価×数量
つまり、
売り上げ=[価格≦顧客満足]×[必要性・欲求度]

 

☆会社の粗利益(売上総利益)とは、
粗利益=売り上げ-原料費・原価
つまり
粗利益=[価格≦顧客満足]×[必要性・欲求度]-[原料費・原価]
原料費・原価は、安いほど粗利益は増える。
しかし、原料・原価は品質に大きく影響し、ここを無理に下げると品質が下がり、
顧客満足を損ねることになるので、一概に安いほど良いとは言えない。

 

☆会社の利益(経常利益)とは、
利益=粗利益-一般管理費(人件費+設備費+水道光熱費+宣伝広告費+・・・・・)
会社の利益とは、
より大きな粗利益を、より少ない一般管理費で生み出すこと。
一般管理費の中で多くの場合最も大きな要素である人件費以外の設備費などは、
土地の賃借料であり、施設・設備器機の償却・リース料など一定であることが多いし、
宣伝広告などは予算化できるので、
たとえば一定の金額(定額経費)であると仮定すると、
利益=粗利益-[人件費]-[定額経費]
となり、
人件費は、(給料レベル×人数)となるので、
利益=粗利益-(給料レベル×人数)-[定額経費]

 

すべての要素を組み入れると、
会社の利益とは、
[価格≦顧客満足]×[必要性・欲求度]-[原料費・原価]- (給料レベル×人数)-[定額経費]
となる。

 

この場合、原料費・原価は、出来るだけ下げる努力は絶対に必要だが、
ある程度のレベルは必要なので、ここでは一定のものとする。
経費も、水道光熱費や消耗費など出来るだけ低くする必要性は大きいが、
ある程度限界はあるのでここでは一定額とすると、
[原料費・原価][定額経費]は、会社の利益をダイナミックに左右する要素ではなくなる。
とすると、数式から省いてもいいことになって、
[会社の利益]= [価格≦顧客満足]×[必要性・欲求度]-(給料レベル×人数)
という極端な数式で表されることになる。

 

その上で一つ一つの要素と、その関連を考えると
[必要性・欲求度]とは、
と心の中にあることである。
必要性は、お客様の生活の中にあり、
その生活が豊かであればあるほど必要なものが多くなる。
その豊かさとは、顧客の満足そのものである。
欲求度とは、そのものスバリ顧客が自分の満足を得たい欲求である。
[必要性・欲求度]とは、顧客満足そのものである。
とすると、
[会社の利益]= [価格≦顧客満足]×[顧客満足]-(給料レベル×人数)となる。

 

となると、顧客満足がどれぐらい大きいかで、
会社の利益は大きく影響され、ほぼ決まることになってくる。

 

では顧客満足とは、
商品の企画であり、その品質であり、店舗の質である。

 

☆企画とは、顧客の望むものが何であるのか何を欲しているのかを
察知しそれを実現することである。
また、それを提供する店舗の企画であり設備である。
それを作り出すのは会社であり、
その会社を構成する役員と従業員の能力である。

 

☆品質とは、それを作る従業員の能力であり、品質を維持する従業員の意欲である。
また、それを支える会社の姿勢であり、それは会社の役員と従業員の能力でもある。

 

☆店舗の質とは、会社の企画力であり、また、顧客に対する接客の能力でもある。
これも会社の役員と従業員の能力であるとも言える。

 

つまり[顧客満足]=[役員・従業員の能力]とも言えることになって
数式は、
[会社の利益]= [価格≦役員・従業員の能力]×[役員・従業員の能力]-(給料レベル×人数)となってしまう。

 

そして[役員・従業員の能力]は、給与・報酬のレベルに比例し、
給与・報酬のレベルが、従業員満足につながるとすれば、
[役員・従業員の能力]=[給与・報酬レベル]=[従業員満足]となり、
[顧客満足]=[役員・従業員の能力]と合わせると、
[顧客満足]=[従業員満足]ともなる。

 

全部を整理すれば、
[会社の利益]= [価格≦役員・従業員の能力]×[役員・従業員の能力]-(給料レベル×人数)は、
[会社の利益]= A([価格≦従業員満足]×[従業員満足])-B(従業員満足×人数)
とも言える。

 

会社の利益がプラスでなければ、何も存在しなくなるのだから、
会社の利益はプラスでなければならない。
ならば、
収入であるAは、従業員満足は大きければ大きいほどプラスの要因となるが、
支出であるBにおいては、その要素である従業員満足は大きいほどマイナスの要因となる。
しかし、支出Bは(従業員満足・給与×人数)なので、
人数が少なければ、その少ない人数の給与レベルを上げても大きくマイナス要素になることは無い。

 

そろそろ結論にたどり着きたい。(日付が変わってしまった)
少ない人数の非常に能力の高い役員・従業員によって、
顧客満足を実現する商品を、高い品質で創り出し、
顧客満足を維持するだけの店舗と接客を実現し、
それを少ない人数の能力の高い役員と従業員が高い品質で提供し続ける。
つまり、
絶対的な少数精鋭であり、
その精鋭が高い能力に比した高い給与レベルを得て従業員満足を実現しつつ、
高い能力で顧客満足を提供し続けること。
それによって会社の利益が高いレベルで確保されることになり、
その利益の余力で業務を拡大して、より高い能力の従業員と共に繁栄して行く。

 

CS 顧客満足は、すなわちES従業員満足であり、
ES従業員満足は、すなわちCS 顧客満足でもある。
高い能力が顧客満足を実現する条件であるからだ。

 

しかし、そのためには少数精鋭でなければならない。
そうでなければ会社は成り立たない。
少数であるから、
楽をして、短い時間で、たくさんの休みがあって、というのは無理である。
必要であるべき労働時間があり、休みもより多くは取れないし、仕事は決して楽ではない。
しかし、高い給与レベルは確保できるであろうし、
充実した仕事によって得られる顧客満足は、その仕事に大きなやりがいを生む。
実は、本当のES従業員満足とはそこにあるのだ。
そんな会社こそが繁栄しているのであり、
逆に、無駄に人数の多い会社では、そのすべてが成り立たず、
繁栄の道はありえない。

 

高い能力の人で構成された少数精鋭。
これが高いレベルでES従業員満足とCS 顧客満足が実現できる条件なのではないだろうか。

 

 

・・・・・
ああ、くたびれた。もう寝よう。

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    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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