(これは、ロス時間、5日の早朝に書いたものです。)

とうとう徹夜をしてしまった。
私の今回の時差は深刻なようで、ロスに来てから三日目だというのに、
日本時間が体からまだ抜けないでいる。
この調子でいくと、
今度は日本に帰ってから逆の時差に苦しめられるかもしれない。
年にしたがって適応力が低くなっているのだろうか。

注意力の散漫も深刻である。
ロスに到着する飛行機の中に海外用の携帯電話を忘れてきてしまった。
だから、ロスにいる昨日までどこにも電話が出来ず、
いらいらすることになった。
ロスで合流した森君と佐貫君が気を効かして航空会社に連絡を取ってくれて、
忘れ物として保管してあることが確認できた。
今日、出かける前に航空会社のカウンターで戻ってくることになっている。
自分一人では何も出来ない自身につくづく情けなく思う。

昨日の夜、ホテルにチェックインする時にフロントカウンターに出したパスポートを
返してもらってないことに、今、気が着いた。
海外旅行にパスポートは命の次に大切なもので、
それを忘れてきたのは、すでにボケが始まったのかと言われても、同意するしかない。
かといって、今からそれをフロントに言いに行く気力がない。
あと30分もすればとニーがホテルに迎えに来てくれるので、一緒に行って貰う。
なんとも情けないことだ。
もう100回以上も海外に来ているのに、全く英語がしゃべれないのは、
実は私の依存心が高い証拠であろう。
これまた情けない話である。

今年は特に「ああ～情けない。」と思うことが多い。
先月、富士スピードウェーでのゴルフGTIカップ富士戦で、
エアコンのスイッチを切り忘れて、
挙句の果てに一緒に参戦している車にぶつけてしまったことを、
いつも取り上げていただいている雑誌に書かれてしまった。
事実なのだから仕方ないが、なんともはや情けない。

お正月の“おみくじ”が悪かったのは、これのことか。
今年いっぱい、「あ～情けない。」とため息をつきながら生きていくのだろうか。
考えただけで気が重くなる。

体力が落ちたと思うことしきりな今日この頃であるが、
時差に対する適合力、温度の変化に対する適応力がめっきり落ちたことも感じる。
これで記憶力が落ちてきて、判断力まで落ちてきたら、
オッサンから、いよいよ爺さんである。

こうなったら、早いとこ引退でもするかと考える。
引退して時間がたっぷり余ったら、
しばらくサーキットの近くに泊まりこんで、いやというほどレースの練習をしたいとか、
軽飛行機の操縦をしてみたいとか、
チョモランマの麓に行ってみたいとか、
頼さんが絶賛していた黄山の麓に行ってみたいとか、
モンゴルのまばたかない点のような星を見てみたいとか、
なんといってもオーロラは絶対に見たいとか、
アンコールワット、マチュピチュ、
ポタラ宮殿、モンゴルの草原、
ああ、あちらにもこちらにも行きたいと思う自分の馬鹿さ加減に、
また「あ～情けない。」と思う。

ああ、携帯電話がないので、誰とも話せない。

ああ、水を買ってくるのを忘れたので、とうとうロスの生水を飲んでしまった。

ああ、知らぬとはいえ、全室禁煙のホテルに泊まってしまった。

ああーー、情けない。

午前6時、まだ夜が明けぬベランダに出て、タバコをショボショボ吸う。
目の前は、でっかい駐車場の巨大な壁。