2007年08月18日(土曜日)
1711.プレミアム洗車・案
約10年前に快洗隊・刈谷店がオープンして、
「極上手洗い洗車」と銘打った高品質の手洗い洗車の提供が始まった。
その時に作られた手洗い洗車のマニュアルは、多少の改善はされたが、
基本的な工程は継承されて、
現在でも快洗隊のメイン商品として提供されている。
のみならず、このマニュアルは十年間の数々の研修を通じて三万人以上の人に伝達され、
数多くのSSの中に生かされている。
台数を追う一般の手洗い洗車に対して、
私たちの手洗い洗車はあくまでも品質を求め、
洗車からコーティングなど高付加価値商品へのエスカレーションを誘導するものとして、
広くSSの中に一つのスタンダードとして定着し、なお広がりつつある。
しかし、10年の年月が流れるうちに、
ユーザーの嗜好と車のアフターマーケットを取り巻く情勢が変わってきていることも事実だ。
消費の伸び悩みで車齢が伸び、
新車・中古車の国内販売台数が長期に低迷する中で、
カーディーラーは低下した利益を補填すべく、
オイル交換、車検整備などを新車販売時にセットで販売するなど囲い込みに入り、
また、長期保証のコーティングを新車販売に加えるなど、
アフターマーケット確保の戦略を繰り広げた。
その結果、現在では新車販売数の50%に長期保証コーティングが施工されるまでになり、
ある石油販売会社のアンケートでは街を走っている車の27%がすでに施工済みであるという。
こんな車が、洗車機洗車を嫌って手洗い洗車を多く求めるようになっているのも、
実感とするところである。
数年前、快洗隊における手洗い洗車は、
洗車全体の撥水手洗いが80%で、水手洗いは20%に過ぎなかったのだが、
今では、撥水手洗い40%、水手洗い60%にまで変化してきている。
新車での長期コーティングの施工が「水洗いでの手洗い」を指定していることが
影響していることは間違いない。
しかし、ディーラーによるコーティングのお勧めが、
“車に何らかのコーティングをすること”を、一般の人に常識化してくれたことも事実で、
その証拠に、手軽にかけられるキーパーコーティングの台数は今まだ上昇傾向にあるし、
快洗隊の中でもまだ増え続けている。
加えて、もっと高額な長期効果保証の、
たとえば「ダイヤモンドキーパー」とか
「アクアキーパー」の施工台数が著しく増えてきている。
今後の洗車収益の向上の戦略を立てるとき、
このような高額であり高性能なコーティングの施工は、
ますます重要な要素になってくるだろう。
一方、快洗隊においてもっともベーシックな商品である「手洗い洗車」についてはどうだろう。
台数を追うだけの低付加価値手洗い洗車は、
スタッフの疲労を呼ぶだけで顧客満足とは無縁の商品であり長続きしないことは、
現実の問題として、そのように立証されてきた。
私たちが提唱してきた手洗い洗車は、
あくまでも品質を求め、お客様の満足を得て、より高額なコーティングなどの商品を誘引し、
人時生産性を採算点以上に上げた。
今月の快洗隊の実績を見ても、
3,500円から4,500円/人・時の生産性をどの店でも確保できている。
これはこれで、洗車に対する方向性は間違っていないだろう。
では、お客様の嗜好の変化はどうだろう。
第一に車の塗装色が大きく変わった。
十数年前はホワイトが全体の50%を越す主流であったが、
今は「ブラック」が断然一番人気なのだそうだ。
リセール時の査定あるいはオークションでもブラック色車の人気が一番で、
シルバー、レッド車なども人気がある。一時のようなホワイト車一辺倒では完全にない。
カラー車、特にブラック車は汚れも目立つし、
ツヤとキズ(摩擦によるヘアーライン)もよく目立つ。
カラー車は泥ほこりを洗い落とすこともさることながら、より強いツヤを求め、
キズがつかないことを求める。
また、運転年齢にある人のほとんどが車を保有していて、
ある人達にとって車は宝物に他ならず、実に細かい所まできれいにしていたいと思っている。
連続洗車機による安価な洗車の需要も相変わらず根強いが、
反面、洗車に対してもっともっと高い品質を求める傾向が強くなってきていることも実感している。
洗車をどこまでやるか。
どの部分にまで、どの程度まで手を加えるか。
快洗隊を実践する中で、いつも抱えていた悩みである。
それはキーパーコーティングにおいても同じことが言えて、
どの部分まで、どこまでやるかはずっと抱えてきたテーマである。
アルミホィールの汚れなどは、汚れの目立つ程度と落ち方が車種によってかなり違う
特にドイツ車のパッドは軟らかく、すぐにホィールが真っ黒になってしまう。
どこまでキレイにするか。
どこまでが“洗車”の範疇であるか、
どこからが“ホィールクリーニング”の範疇なのか。
トランク、ボンネット、ハッチ、フューエルリッド、ドアの裏、ヒンジの部分、
運転席マット、助手席マット、ホィールハウスの中、・・・・
細かい所をやればやるほど、細かい汚れを気にする人たちには評価されるが、
どこまでやってもきりがなく、
それに比例して労力と作業時間が跳ね上がっていく。
ビジネスとして洗車をさせていただいている以上、
やはり、どこかで見切る必要があって、
たとえば、アルミホィールならば水スプレーで流し、泡をかけて、ラ・モップで軽くこする程度。
立体的なアルミホィールならば、表の面がキレイになるだけであって、
奥まできちんとキレイにしたければ、
「ホィールクリーニング」をということになる。
室内は基本的にメーター周りだけ、マットには手を出さない。
トランクやハッチはユーザーのプライバシーの問題もあって開けないと決めていたし、
ドアのステップなどもタオルで拭く程度に抑えている。
快洗隊の手洗い洗車はそれでも、
きっちり20分作業にかかって、2,000円が価格帯であり、
決して採算的に優れた作業ではないし、
お客様にとっても、もっともっと細かくきちんとキレイにして欲しい人からは、
中途半端な洗車であったに違いない。
特に高価な外車に乗っているユーザーからは不満の声も少なからず届いていた。
高度にキレイにしていたい人にとっては
やる方、やってもらう方、双方にとって中途半端な内容になっていた。
そこで考えたのが、
手洗い洗車を
「レギュラー手洗い洗車」と「プレミアム手洗い洗車」に分けることだ。
レギュラー洗車は基本的に今までと同じ工程で、同じ価格帯。
プレミアム洗車は、考えられ得る細かい部分にまで作業を加えて完璧なきれいさを作る。
そしてそれなりの価格帯を設定する。
こうしようと考えたのは、
現在開発中で、来月には量産に入る「純水機・快洗RO」の完成が一つのきっかけになった。
「純水」は、水道の中に含まれているミネラル分(Cl,Mg,など)を
最新の技術で99%取り除いたもので、
ボディー塗装の上で乾いてしまっても全くシミにならないし、
タオルで拭き上げたのと同じような仕上がりになる。
洗車の最後の工程で純水をかけてやると、
拭き上げずとも、放って置いて乾燥させても全くかまわない。
純水・プレミアム手洗い洗車は、
そんな“純水”を、作業工程の中で利用することによって、
作業時間を大幅に減らすと同時に、
私たちが持っている各種のクリーナーをフル活用して、
考えられる極限までのきれいさを作り出す洗車だ。
価格は3,500円の価格帯を設定し、
作業時間は今現在の時間プラス5分に抑えることを目指す。
つまり
早急に快洗隊直営店全店に純水機・快洗ROを導入し、
現状 2,000円/20分の極上手洗い洗車を、
純水・レギュラー手洗い洗車 2,000円/15分
純水・プレミアム手洗い洗車 3,500円/25分とする。
加えて、手洗い省力化の快洗Wingを使用した場合には、
純水・レギュラー手洗い洗車 2,000円/“12分”
純水・プレミアム手洗い洗車 3,500円/“20分”とする。
これによって、
一番ベーシックなメニュー、
極上手洗い洗車のレバレート6,000円/人時から、
純水・レギュラー手洗い洗車 8,000円/人時(快洗Wing使用時 10,000円/人時)
純水・プレミアム手洗い洗車 8,500円/人時(快洗Wing使用時 10,500円/人時)
と、ここまで引き上げたい。
従来の極上手洗い洗車も、決して低すぎるレバレートではなかったが、
手洗い洗車の商品単体ではそれほどのビジネス性が高いわけではなく、
品質の高い手洗い洗車を提供することで、
コーティングなど高いレバレートの商品を誘引して、
採算性の確保を狙ったものだ。
しかし、一番売れるベーシックな商品の部分できちんと採算が取れるビジネスにしていかないと、
今の厳しい経営環境の中で高いビジネス性を確保することは出来ないと判断した。
そして、何よりもユーザーの皆さんに、
特に、より細かいキレイさと、高い美的感性を持ったユーザーの皆さんに
高い次元での満足を得ていただき、
喜んでいただけるようにしたい。
お客様の満足と、喜びが、
洗車というビジネスに、
スタッフ全員がプライドを加えうるように進化させる唯一の方法と信じる。
プレミアム手洗い洗車の工程、プロトタイプその1
(試行段階の仮マニュアル)
※作業工程では、作業効率と作業時間の短縮、よりキレイにするために、
道具と、特にケミカルをフル活用している。
1.まず、4本のホィールに「アイアンイーター(ライトも可)をかけて行く。
これは本来的にチオグリコール酸アンモニウム塩なので作業中は臭いが、我慢する。
2.“同時に”タイヤハウス内にコールドクリーナーをかけて行く。
“同時に行うことがミソ”で、ホィールの汚れに油汚れが混じっている場合は、
ホィールにもついでにコールドクリーナーをかけて行く。
3.ピッチが着いている場合は、この段階でピッチクリーナーをかけて行き、漬け置きをしておく。
4.高圧スプレーで、ホィールとタイヤハウス内を洗う。
これでかなりの汚れが取れてしまう。
アイアンイーターは、ブレーキパットカスに混じっているローターの鉄粉を溶かすので、
よごれ全体が崩れるのが、スプレーでほとんどきれいになってしまう理由。
5.ドアミラー、前面ウィンドウ、バンパー、フロントグリルなど虫が着きやすい面に
インセクトリムーバーをまんべんなくかける。
もちろん、虫が付着しないシーズンには不要な工程である。
6.ボディ全体を水スプレー。
特にインセクトをかけたところはきちんと水スプレーする。
(サイドバイザーの中は中圧で)
インセクトが若干の泡を出すので、ちょっとした見た目の効果でもある。
ピッチクリーナーを漬け置した部分にも、十分に水スプレーする。大体これで落ちてしまうケースが多い。
7.ボンネット、トランク(ハッチ)、フューエルリッドを開け、
隙間を柄付きスポンジと洗剤(適切なものを選定中)で洗っていく。
スポンジの形、柄の長さはいろいろな種類のものを試している。
また、洗剤は細かいところに残った時にさびを呼ぶ可能性があるので、
残らないもの、あるいは残っても悪影響のないものを選定している。
8.ドアのヒンジ、ステップをスポンジと洗剤で洗っていく。
この部分についても、最も効率的で適切な道具と洗剤を選定中である。
9.ムースを車全体にかける。
これは、今使われている通常のパワームースである。
ショー効果も狙って少し多めにかけたい。
10.下回りを先に、車全体をタッチアップしていく。
この時に、特にホィールについては古くなったラ・モップで丁寧に指を入れて洗うようにする。
11.車全体の泡を、上部から下部にかけて水スプレーですすぎ落とす。
12.同時の作業として、
ドアの隙間、トランク・ハッチの隙間、ボンネットの隙間、フューエルリッドの隙間に、
水平に水を打ち込み、隙間の中をすすぐ。
これ以降、
このコラムを作っているCGIの掲載能力の設定の都合で写真を載せられない。
と同時に、工程のすべてをこのコラムで紹介するものではないと思うので省略する。
また、施工店用に作られるマニュアルは一つ一つの工程について、
もっともっと多くの写真と言葉によって表現されることになる。
文字で書くと大変面倒な作業であるように思えるが、
同時に行う作業がいくつかあり、
また、ケミカルをフル活用しているので、文章から感じるよりも楽な作業である。
この作業をトレセンで快洗隊スタッフが実践してみて、正味20分で出来た。
しかし、これは、まだ試行段階であって、
もっと改良する点が多々あることも間違いない。
そして、本格的に直営快洗隊店舗で展開するのは10月になる予定だ。
快洗隊での実践を通して、より実戦的なマニュアルを練り上げ、
最も効率的で、最も品質の高いプレミアム洗車を皆さんに発表できるのは、
11月になると思う。
実践としての研修、訓練がトレセンで出来るのも11月以降。
しかし、今現在、快洗隊流の手洗い洗車を実践している人たちにとっては、
マニュアルと道具とケミカルがあれば、誰でもすぐに出来る内容としたい。
純水を使用しなくても、プラス5~8分あれば出来るだろう。
しかし、「塗装面を極力こすらない。」という純水のコンセプトは、
間違いなく、これからの時代にマッチしたヒット商品になると予感している。
何とか、年末の大洗車商戦に間に合わせたいと、ただいま奮闘中である。
もっと繊細な記事は、キーパータイムス9月15日方に載せます。
そちらをご覧ください。
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