2007年07月22日(日曜日)
1684.今度こそ今度・・2
予選と決勝の日、土曜日
予定通り朝6時に起きて窓の外を見たら雨が降っていた。
しっかり路面が濡れていて、一時的な雨ではない事を物語っている。
私は雨のサーキットを練習では以前走った事があるが、
雨の日のレースは経験が無い。
憂鬱である。
かなり憂鬱である。
話では、前を行く車が巻き上げる水しぶきで、
コースが全く見えなくなると聞いた。
考えただけでも恐ろしいことだ。
しかも、当日はフリー走行などなく、
いきなり予選なのだ。
一体どうなるやら。
この日のスケジュールは車検が午前9時50分のスタートで、
だからゆっくり来れば良かったのに、
私が焦っていたのだろう
ホテルを7時半に出て、サーキットに到着したのは8時20分くらい。
朝から時間を持て余してしまった。
それでも、時間は間違いなく過ぎて、
11時55分からの予選の時間は来てしまう。
やっぱり憂鬱である。
覚悟を決めてコースに出る。
予選は4本とも新品のタイヤであり、ブレーキパットまで新品だ。
最初の1周、2周は十分に慎重に、
だんだんペースを上げ、
一度二度限界を超えてコースから片側はみ出す程度のオーバーを経験し、
少し限界が分かって、徐々にスピードを上げていき、
2分43秒台。
ドライコンディションに比べて15秒落ち。
思ったよりブレーキは効く、80%くらいの感じか。
しかし、立ち上がりはアクセルを慎重に開かないと、
あっという間に後輪が外に振り出して、スピン状態になってしまう。
雨の日の問題はブレーキよりアクセルであった。
これなら、まだまだタイムを詰められると思ったが、
前の車につかえてペースが上がらない。
そこで一度ペースをガクンと落とし、
ゆっくりと一周回って、前の空間を空けて、もう一度タイムアタックする。
ペースをかなり上げて再アタックしたが、
しかしコース終盤に近いヘアピンで一台がスピンし
コースを塞いでいるのを見つけて急減速。
しかも悪いことに、あまり速い車ではないその車をパスする前に、
その車が自分の前にコースに復帰してしまった。
ペースを上げるためにはその車をどこかで抜かさなくてはならない。
抜くのにはタイムロスが出る。
ならばと、もう一度減速して前の空間を取ろうとしたりしてモタモタしていたら、
時間切れでチェッカーが振られてしまった。
そんなことで予選タイムは2分43秒台どまり。
エキスパートクラスの人たちは別格で35~37秒台で走っている。
しかしトップはクラブマンクラスの人で、本人もびっくりしていた。
雨の日はこれだから面白い。
それでも、私はクラブマンクラス10台中の5位である。
へなちょこの私にとっては上出来だ。
さて、決勝は午後2時55分。
コースインはその30分前だ。
昼近くから東京営業所の面々が応援に駆けつけてくれた。
鶴見部長、奥さんの由美ちゃん、佐藤君、
最後まで付き合ってくれた鈴置部長と山迫課長。
本人は自分のレースで目一杯なので、なんの気遣いも出来ず申し訳ない。
とりあえず、決勝である。
前から9番目、後には5台いる。
スタートはローリングスタートなので、ジグザグに2列縦隊。
私はアウト側である。
フォーメーションラップをペースカーに従って一周回り、
ストレートに戻ってきた所でトップの車に従って加速し、スタートする。
しかし、スタートラインを超えるまでは斜め前の車を抜いてはいけない。
初めて予選トップになったクラブマンクラスの?80がどんなスタートをするか。
意外と早く加速し始めた。
これは余裕をかましていると前戦のようにスタートに遅れてしまうと、
すぐにアクセルを全開にしたら、
スルスルっと斜め前の車?81に追いついてしまった。
前が詰まって?81が減速したのか、
このまま加速するとスタートライン前で追い越してしまう。
これをやるとペナルティがかかって、その時点でレースからは脱落だ。
スタートラインまでにはもう20mもない。
あわててアクセルをゆるめ、チョンとブレーキをあててスピートを調整した。
何とかギリギリで?81は私より前にスタートラインを越したが、危ないところであった。
みんながフル加速中に、チョンとスピード調整をやってしまったので、当然遅れる。
前の車と10mは離れてしまった。
おまけに斜め後にいた車にまで抜かれてしまう。
またスタート失敗である。
しかし、フライイングをしなかっただけでもラッキーだ。
そのあとすぐの1コーナーでは、
グリップを失った車がアウトに飛び出してくるのを恐れ、みんなインにつけて、
ひしめき合っているのでスピードが落ちて、
がら空きになったアウトから、抜かれた1台を抜き返す事が出来た。
結局、予選の順位どおりのポジションでスタートしたことになる。
さぁ、前を行く?81を追撃しなければならない。
ジリジリと間を詰めていくが、
後ろからライトを遠目に点けてぎらつかせながらしきりに迫ってくる車がいた。
この車は前々戦の岡山で私と接触した車だ。
コーナーで強引にハナを突っ込んできて、
こちらがインを閉めても決して引こうとしないし、内側に除けようともしない、
ハナを突っ込んだら、こちらが譲って抜かせるか、ぶつかるかどちらか。
これは災難と思って、
インを開け、すんなりと抜かせる事にした。
私を抜いたら、今度はすぐに?81を威嚇している。
しかし、雨の日のレース、
最初からムキにならなくても、誰かがコースアウトして落ちてくるに違いない。
そう思って、そのデッドヒートには巻き込まれずに見物する事にした。
なのに、その様子に見とれていたら、
3周目、うっかり1コーナーの出口でグリップを失って
完全にコースから外れてしまい、後ろから追っていた?55と?10に抜かれた。
あちゃ~、なんだかんだしている間に、いつの間にか、
10台中の5位から8位まで落ちてしまったのだ。
ドベ3だ! これじゃ最悪の前戦と同じ。
これはイカン。
真剣になって何台かを抜かなくては。
前に行った?10と?55を真剣に追う。
まず?55、スピードはこちらの方が出ている。
何箇所かのコーナーで追突しそうになるまで追い詰め、
インからハナを突っ込もうとするが、
当然ながらインを開けようとはしない。
追い始めてから2周目か3周目、ヘアピン入り口でいよいよ追突寸前になったので、
自分の車をインにねじ込んでいった。
それでも当たり前だがインを閉めてくるので、
内側の縁石をまたぎ、内側のダートに完全に落して、
強引に抜いた。
コーナー出口で縁石に乗って、滑っていっぺんにコースに戻った時には
ぶつかるか?と思ったが、引いてくれたのか幸いにも無事だった。
「ちょっと強引過ぎだったかな。」と思いながらも、
バックミラーを見ると「絶対に抜き返す!」と、?55が車全体で言っている。
これはレースなのだ。
気を取り直して、全力で走ることにする。
ヘアピンの次に一番長いストレートのバックストレートがあって、
しかも後半が下り坂になっている。
エンドには95゜くらいの鋭角コーナーが待っていて、
ここはかなり怖い。
注意していかなくてはならない。
そう思ったとたんに出口でまたグリップが失って、コースアウト。
あっという間に?55は前に行った。
私は全く安定感が無い。
再びドベ3になってから、意気消沈して一周、
またバックストレート後のあのコーナーに来た。
何でこんな所で焦ってアクセルを慌てて踏むんだろうか、
と、自分に言い聞かせながらコーナーに入ったら、
また、あっという間にスピンだ。一体どうなっているのだろうか。
今度は、コーナー内側に入り、
前輪が激しく空転してダートに埋まりそうだ。
ギヤを2段くらいいっぺんに上げてトルクを殺してゆっくり出る。
その間に最後尾の2台にも抜かれてしまった。
やっとダートから出た時には、最後尾の2台にも300mぐらい差をつけられた。
独走のドベである。
すでに7周目に入り、あと3周だけである。
なす術は無い。
ヘルメットの中で出るのはため息ばかり、
前を行く2台にはかなり差が詰まったが、抜くにはあと2周はいる。
下を向いてのゴールであった。
仕事を無理して手伝ってくれたみんなに会わせる顔が無い。
ゴール後、車両保管の場所に行く時に順位を表示するタワーを見たら、
私はドベ2になっていた。
どうも、スタート時にギリギリで加速を調整した時に、
斜め後にいた車が私をスタートライン手前で追い越してしまったらしい。
それでドライブスルーのペナルティをもらったのだが、
表示に気が着かずペナルティを無視した形になって、失格になったということだ。
それで私がドベ2になったらしい。
結果的に悪いことをしてしまったが、
ローリングスタートは、前方だけ出なく、
抜いてはいけない斜め前の車と自分の位置関係にも、
神経を注いでいなければならない。
それで、加速が鈍った?81を私は追い抜かずに済んだ。
ローリングスタートの難しい所だ。
結果的にドベ2。
実質的には完全にドベ1。
完敗である。
三戦連続惨敗。
しかし、今回は練習と予選のタイムにほんの少しだけ光明が見えた。
レースになって競り合いになると、
焦って安定感がなくなってしまうのが私の欠点だ。
後の車が完全に速い車でなければ、
アウトインアウトのレコードラインを走るべきであり、
焦って、無理をするから、メロメロになってしまう。
まだまだぜんぜんダメである。
今度こそ、今度のレースこそ、
レース中でも、自分のドライビングをできるようにならなくてはならない。
そうすれば、何とか目標の真ん中より前に行くことも出来るはずだ。
今度こそ。
決勝、いよいよコースインをする時、緊張の時間。
勝って来るぞと勇ましく。
ずらっとライバル達と並んでコースインを待つ。
チームパートナーの?77浜崎大選手は、今回もトップで優勝である。
今度こそ。今度こそ。