2007年07月18日(水曜日)
1681.ご来店数の方程式
今日は、久しぶりに真面目な仕事の話を一つ。
ここで語っていく洗車のお客様とは
「ある程度、時間や金額がかかってもキチンと車をきれいにしていたい。」
そう思っているお客様で、
キレイ好きな日本人には比較的多いお客様の層を指す。
全体の30~40%くらいか。
この人たちは、燃料の給油のついでにドライブスルー洗車機でざっと泥を落して、
それで良しとするお客様とはちょっと違う客層で、
多くの場合、今までは自分で洗車をしており、
SSが手洗い洗車を始めてから、SSでも洗車をやってもらい始めている客層である。
これらのお客様は「キチンときれいになる」ことを一番に重視しているため、
手で車を洗ってはいるが“安かろう悪かろう”の質の低い手洗い洗車には
価値を見出さないし、繰り返し買うことも無い。
品質の高い手洗い洗車を維持しているSSに集まり、コーティングなどもよく注文している。
この層のお客様が、
洗車という車を“洗うキレイさ”だけでなく、
キーパーコーティングとかの車をキチンと“磨いたキレイさ”や、
室内、ホィールなどをキチンと“掃除するキレイさ”まで欲求し、
それらを高品質に実現してくれる店舗を探している。
このようなお客様を特にターゲットとして作られたのが「快洗隊」であり、
一人一人のお客様の満足の大きさによって高単価を実現し、
満足の継続と、リピートの積み上げによって高収益を実現している。
これまでに何度と無く、高品質が洗車・コーティングの提供が
顧客満足を生み、高単価を生み出すとして高品質洗車の重要性を書いてきた。
しかし今回は、
洗車収益の金額を作る二つの要素=[単価]*[客数]の、
もう一方の要素[客数]について考えたい。
この快洗隊には客数について一つの方程式がある。
新規の来店客数+(新規の来店客数*再来店率*1/来店頻度*(営業月数-1))
-(新規の来店客数*再来店率*1/来店頻度*(営業月数-1)*離店率)=来店客数
A=新規の来店客数 B=再来店率 C=来店頻度 D=離店率 E=営業月数
とすると、
A+(A*B*1/C*(E-1))-(A*B*1/C*(E-1)*D)=来店数となる。
このままでは方程式がややこしいので、C=来店頻度を1ヶ月と仮定しよう。
とすると、Cは事実上消えることになって、
A+(A*B*(E-1))-(A*B*(E-1)*D)=来店客数となる。
もっと簡略化するために、
営業月数の最初の月を、準備と練習と店舗点検の意味の月として
実績の勘定から抜いてしまうと、
A+(A*B*E)-(A*B*E*D)=来店客数となる。
言葉に直すと、
新規客数+(新規客数*再来店率*営業月数)-(新規客数*再来店率*営業月数*離店率)=来店客数
A=新規来店客数
新規の来店客数は季節によって変動はあるが、
立地条件と店舗の視認性とアピール度によって決まる。
しかし、この数字は店舗と地域によってあまり大きくは変わらない。(表1参照)
また、チラシの新聞折込などの販売促進も、
単月においては効果があるが持続的なものではない。
むしろポスティングなど継続的な販促活動のほうが、その店の地力に結びつく。
B=再来店率
一度、新規で来店いただいたお客様に、
店舗と、スタッフの接客と、商品の品揃えと、商品の品質にある程度の満足を得て、
またこの店舗に来て、商品(洗車など)を買おうと思って、
再来店していただく確率であり、
(新規客数*再来店率*営業月数)とは、リピート客の積み上げに他ならない。
D=離店率
たとえば、
せっかくリピート客として定着していただいたお客様でも、
店舗、特にゲストルームのクリンリネスなどの怠慢で待ち時間の環境が劣化し、
お客様に不快感を与えた。
ちょっとした接客の不手際とか失礼で「もうこの店には来ない。」と思わせた。
洗車、コーティングの作業工程が乱暴であったり、仕上がりが悪く、
不満な商品を提供したりすると、
やっぱり「もうこの店には来ない。」と思わせる。
離店率とは、リピート客に「もうこの店には来ない。」と思わせる確率を言っている。
だから、
(新規客数*再来店率*営業月数*離店率)とは、
(新規客数*再来店率*営業月数)=積み上げたリピート客を編入すると、
積み上げたリピート客*離店率となり、
せっかく積み上げてきたリピートのお客様がいなくなっていく数字を表す。
これを言葉に直すと、
[新規のお客様]+[リピート客の積上げ]-[いなくなった客数]=[来店客数]となる。
もう一度、方程式に直すと、
A+(A*B*E)-(A*B*E*D)=来店客数となる。
とすると、
来店客数を増やそうと考えるならば、
A=プラスの要素である新規来店客数を出来るだけ大きな数字にする。
B=プラスの要素を大きくする再来店率を極力100%に近い大きな確率にする。
D=マイナスの要素を大きくする離店率を極力0%に近い小さな確率にする。
この三点に集約される事になる。
A.新規来店台数を増やすには。
店舗が目立つ場所にあり、目立つ建物であればよりいいが、
ここではすでに店舗が存在している場合を考えるので、
ここではハードの優劣は考えない。
[看板]
1.通行車両・通行人の目に留まり、興味をそそり来店したくなるような看板をつける。
2.来店されたお客様に目に留まり、洗車をしたくなるような看板をつける。
※看板にはあまり文字を多くしない。
[作業を見せる]
3.外から目立つ場所に手洗い洗車場・仕上げ場を持って行き、作業を見せる。
4.店内に入るお客様によく見える場所に洗車場・仕上げ場を設置し作業を見せる。
5.給油中のお客様によく見える場所に洗車場・仕上げ場を設置し作業を見せる。
※作業を見せと、お客様が注文しやすくなって効果が大きい。
[パンフレット、チラシの配布]
6.洗車メニューとか、興味をそそるようなパンフレットを給油中のお客様に配る。
7.何か特典でもつけて近隣の地域にポスティングをする。
(継続的な効果がある)
8.既存のお客様のリストを使ってあいさつ文とパンフレットをDMで送る。
(スタート時に非常に効果的)
9.チラシを新聞折込で近隣に大量に投下する。(効率は悪いがある程度の効果)
B.再来店率を上げる
[新規来店時に歓迎の接客をする。]
11.常連さんを大切にするあまり、新規のお客様をおざなりにする事がある。
・新規来店時はお客様にも緊張があり、この時の歓迎の接客は再来店の大きな動機。
・常連客との差別はもっとも嫌われる。
(店長が挨拶をし、名刺を渡す)
12.新規のお客様には、洗車メニューを丁寧に説明する。お客様のご要望を聞く。
(メニューと店内受注はいまや常識)
[品質の高い洗車・コーティング]
13.いつものように、かつ、きっちりとご注文の仕事を仕上げる。
(その店の技術と品質の高さをしっかりと知ってもらう。)
14.作業後、仕上がり確認を行い。不満を持って帰らせない。
15.次の来店を誘うように、適切なアドバイスを行ないたい。
[プロの信頼を]
16.高い品質の作業は、よく整備された環境から感じるもの。
・洗車場、作業場、仕上げ場な適切な場所を特定し、明確にする。そして整理整頓。
17.質の高い技術を。
・質の高い仕事は確かな技術より生まれる。プロとして技術を全員が身につける。
(KeePre施工技術研修・認定制度をぜひ活用していただきたい。)
18.プロを感じさせる服装。
・洗車・コーティングの作業に適した服装であり、かつ清潔な服装を心がける。
・指輪、腕時計、ピアス、金属類を身につけない。
19.プロの道具
・タオルからポリッシャーまですぐに作業が出来るように普段からよく整備をしておく。
[待合室の環境]
20.最低1時間は、不快感なく過ごせるような環境を作る。
・痛い(イス)、うるさい、寒い、暑い、クサイ、めざわり、危ない、煙い、などの不快要素を追放。
・インターネット、本などを整備しつまらなさを解消する。
・車をきれいにしに来た人をとって、汚い待合室はそれだけで失格。
[クリンリネス]
21.入り口、ドライブウェー、通路、トイレ、すべてにおいて汚い店舗は、車をきれいにするビジネスを行なう資格はすでに無いと言っていい。
[明確で解りやすい会計]
22.すべてがクリアできても、会計が不明朗ならばすべてが無意味になってしまう。
D.離店率を下げること
[初心忘れるべからず]
23.再来店率の高い店舗は離店率も低い傾向がある。離店率を下げるには再来店率を上げる要素と大半が重複するものだ。
24.タメ口をきかない。融通を利かさない。
・お客様が定着し何度も来店されると、つい馴れ馴れしくなってしまい、お客様への言葉遣いを忘れてしまいがちだ。決して馴れ馴れしくタメグチをきかないこと。
・反対にお客様が慣れて来て、ルールに反したことを頼んでくるようにもなる。出来ることは出来る。出来ないことは出来ない。きちんとケジメをつけること。
[新鮮さを作り出す。]
25.季節・時節に合った新しいメニューを提供する事。
何年も同じ料理を食べていたら、それがどんなに美味しいものでも飽きてしまう。
特に必要であろう商品をメニューの前面に出し、一言アドバイスとする。
・梅雨のシーズンにはウィンドケアが必要であろう。
・夏のシーズンにはウィンドフィルムもいいだろうし、虫取りも必要となってくる。
・冬のシーズンには雪対策が必要だろう。車の裏の錆止め加工は旬である。
・春は新車と車検のシーズン。高性能コーティングのシーズンとも言える。
・また、食中毒のシーズンなどには、除菌抗菌・消臭つきの室内清掃が好評だ。
26.看板類の交換
・古い看板をいつまでも出しておかず、出来れば季節に合った看板に取り替える。
[順番を間違えない。時間を守る。お知らせする。マナーを守る]
27.常連となっているお客様が不意に来なくなってしまう理由に、
「順番を間違えられて、気分が悪かった。」
「最初に言われた時間から大幅に遅れたのに何も言ってこなかった。」など、
ちょっとした不快感がきっかけとなって、離店される事が目立つ。
せっかく店舗を気に入ってもらい、商品を気に入ってもらって
固定したリピート客になっていただいたのに、
つまらない事、サービス業として基本的な部分が欠けていたために
大切なお客様を失ってしまう場合が多い。
[たった一回でも“うまくない”と、それでおしまい。]
28.“うまい”事で評判のラーメン屋さん、リピート客も非常に多いが、
一度、何かの間違いで“まずい”ラーメンを出してしまった。
そうしたら、その日に来てくれたお客様全部を失ってしまった。
「あそこのラーメンはもうだめだ、味が落ちてしまった。」と。
たまたま、まずいラーメンを食べて失望した人がみんなに喋って、
切れてしまったリピート客は数え切れないほどに。
こんな恐ろしい事が洗車にも言える。
何十回もリピートしている常連客が、一回のひどい拭き残しや磨き残しの仕上げで、
ぷっつりと来なくなってしまう場合がある。
品質を維持する事は、大変ではあるが、もっとも大切なことでもある。
[新車を買った時が縁の切れ目にも]
29.恐ろしい事に、新車販売時のディーラーコーティングの施工率は50%を越す。
・それまでKeePreコーティングを繰り返し施工してくれていたお客様が、
ディーラーで新車を買ってから、5年保証なるコーティングをしてしまったばかりに、
ひたすら水洗いだけのお客様に変貌してしまうことが頻発している。
・こんな事を防ぐためにも、常日頃から車検ステッカーに注意し、
お客様が新車に換える時には、ぜひプロの高性能コーティングをと提案しておく。
洗車ビジネスを成功させて、
洗車収益を上げるためには、
A=プラスの要素である新規来店客数を出来るだけ大きな数字にする。
B=プラスの要素を大きくする再来店率を100%に近い大きな確率にする。
D=マイナスの要素を大きくする離店率を0%に近い小さな確率にする。
この三点に集約される事になる。
言い換えると、
A=たくさんの新しいお客様に来てもらい、
B=店と商品を気に入ってもらってリピートしてくれる人が増え、それが積み上げ、
D=つまらないミスをせずに高品質を維持して、たくさんの人に来店し続けていただく。
Aは、看板を上げたり、チラシ・パンフレットを配布したりで比較的簡単だ。
Bは、店の環境、接客の質が問われ、いよいよ技術が活かされる時でもある。
Dは、瞬発力だけでは無理だ。長い持続力と継続力が問われる。
これはどんな商売でも同じことなのかもしれない。