谷 好通コラム

2007年06月17日(日曜日)

1656.がっくり速度違反

予選と決勝の土曜日は朝が早かった。

 

それは真っ青。
雲一つない大晴天で、富士山もくっきり。
こんなに素晴らしい富士山を見ながらの出発は感動である。

 

 

サーキットに到着しても、くっきりの富士山。
今日のレースは一日中富士山の姿を楽しみながらになりそうだ。

 

 

準備は昨日終わっているので、簡単だ。

 

 

午前8時には車検(レースの車検)。
車検はメカの小林君達に任せて、私は同時刻にメディカルチェック。
握力と血圧のチェックだ。
とりあえず無事にすぐ通過して、
10時に予選のためのブリーフィングまでやることはない。

 

今回のサポートスタッフ。
みんなに「太ったね。」と言われるポッチャリのH.オサム。

 

 

不思議な縁で、時折手伝ってもらうクールな大石さん。
実はすごいプロフェッショナルなのだ。

 

 

山口からやってきてくれた小林君。5年位前からずっと面倒を見てくれている。

 

 

予選は11時からだ。
ワンメイクレースでは、スタート時の順位で大勢が決まる。
車種が違えば、ストレートとか、高速コーナーとか、ヘアピンとか、
それぞれ得意な場所が違って、速度差があるポイントで抜く事が出来るが、
同じ車種が集まってのワンメイクレースではすべてが同じで、抜く事は大変難しい。

 

去年の最終戦「つくば戦」では、
ブッチギリのタイムを出していた予選トップの車が、スタート直後の競り合いで
コースアウトをしてしまい最後尾に下がった。
彼の最後尾からの追い上げは激しく、たちまち数台を抜いたが、
中盤で走っている車を抜くのにはものすごく手間を取ってしまい、
結局トップと数十秒の差、中位でのゴールであった。
彼の車と中盤の車との予選タイムの差は3~4秒もあったのに、
なかなか抜けなかったのだ。

 

それだけ、このレースでは予選が重要であると言える。

 

それが分かっていながら、私は予選が下手だ。
今回も失敗をしてしまった。

 

予選のコースに出て、
2周目で、2分13秒台を出していたので、
少しは安心をしたのが間違いであった。
そのあと、自分と同等であると思っている車を見つけ、
わざと7~80mくらい離れ、
その車を追いかけて差を詰めていく状況を想定してタイムを出そうと思ったら、
かえって、だんだん差を開かれていって、すっかりペースを崩してしまった。
同じ位のスピードだと思ったその人は、
何かをつかんだのか、私よりかなり速くなってしまっていたのだ。
離されていくシチュエーションで、私はかえってタイムは落としてしまった。
情けない。

 

 

力んで走ってもタイムは出ず、
こんな時、あせってはイカン、ちょっと一呼吸と思ってピットに入った。
しかし、予選の残り時間をよく見ると、あと1周分ほどの時間しかないことに気が付き、
そのまま予選を終了しようかと思ったが、
ピットに入っていたので、
外のパドックに帰らなくてはならない私達は、
いずれにしてもコースを一周せねば戻れない。
どうせ走るのなら、何とかチェッカーを受ける前に1周を走りきれば、
タイムを計測できる。
そう思って“急いで”、ビットロードを抜けてコースに出て行った。

 

かなり必死に走ったが、
ストレートに戻ってきた時にはチェッカーが振られていて、計測はなしである。
結局、私は2周目に出した2分13秒67が予選タイムとなって、
クラブマンクラス12台中の9位のタイムであった。
前回の岡山戦よりも悪い結果だ。

 

何で私は予選でのペースがつかめないのだろうか。
がっくりする。

 

と、その時、場内アナウンサーが
「GTIクラスの25番のドライバーの方、
コントロールタワーまで来て下さい。繰り返します。・・・・の25番の・・・・・」

 

「25番? ギェッ俺じゃん。俺、何かやったのかい?」

 

コントロールタワーに呼び出されて誉められるなんてことは絶対にない。
あそこでは、何か自分がやったことでお叱りを受けて、ペナルティをいただくに決まっているのだ。

 

すごすごとコントロールタワーに行くと、
案の定「ピットロードの速度違反です。60kmの所を73kmで走りました。
それで、予選順位を4位降格のペナルティで決定です。」

 

速度違反、です。
私は35年間も完全に無事故で、信号無視も、一旦停止違反も、駐車違反も、
まったく一回もありません。ゼロです。
ただ、ただ、ただ、ひたすらスピード違反だけでした。
それも何年かに一回のペースで、免停になることもありませんでしたが、
今度は、レースでスピード違反だそうです。
まったく自分がイヤになります。

 

四位降格と言っても、私の後ろには3人しかいませんので、
つまり、最後尾スタートということです。
つまり、ドベです。
ここまでの屈辱はさすがに初めてです。

 

先程まで、予選に失敗してがっくりしていたのに、
これ以上がっくりしようがないので、タバコをブカブカと吸って、
自分のバカさ加減に笑ってしまうしかなかったのです。

 

 

目の前には、パドック越しに富士山が見える。
最後尾スタートなんて、ちっちゃい事と笑っているように富士山がそびえている。

 

昼からの決勝をどうしようか・・・・

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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