谷 好通コラム

2007年05月22日(火曜日)

1638.私の元気の素2話

午後1時20分にコースイン。
スタートは、10分後の1時30分である。

 

コースインして一周回りグリットに着く。
グリット位置は総勢15台中の9位。
クラブマンクラス13台中の7位である。
前に6台、後に5台、
中ほどより少し後のポジションは、表彰台からははるかに遠い。
落ち込みそうになるところを、みんながグリットに集まって励ましてくれるのが、
うれしかった。

 

やがてみんながグリット上から去って、
スタート3分前。
1分前でエンジンスタート。
と言ってもノーマルマフラーに近いので全く静かだ。

 

やがて、グリーンフラッグが振られてフォーメーションラップが始まる。
セーフティカーに先導されてグリット順に並んでコースを1周する。
ハンドルを左右に切り、他の車より大きく車を振って、
タイヤを暖める。
スタートダッシュに賭けるのだ。

 

13番ポストに「G」のボードが出て、
グリット順にきれいに整列するように指示が出ている。
ゆっくりと2列の隊列を組んでストレートに出て行く。
スタートライン上のランプがグリーンに変わったら、いよいよスタートである。
この一瞬が一番緊張する時間だ。

 

スタート!
先頭の車がダッシュを始め、みんなが一斉に加速する。
しかし、スタートラインを超すまでは前の順位の車を抜いてはいけない。
私は内側の位置、
アクセルをべったりと踏み切った。
本当は斜め前横を追い越さないように注意しなければならないのだが、
今回はもう見ない事にした。
変なフェイントでもかけられたら、ついアクセルを緩める事になる。
フライングならフライングでもいい。
とにかく、スタートダッシュで何台かは抜かないと表彰台など全く見えない。
アクセル全開で1コーナーになだれ込む、コーナーのインをキープ。

 

1台だけ抜けた。
かろうじて、やっと1台だけ抜いた。

 

抜かれた?00(ゼロゼロ)は、
次の高速の第2コーナーでインを取って抜き返そうと仕掛けてくるが、
私も2コーナーはどうしてもインが欲しい。
無理やりインに入って、ドリフトしながらアウトに膨らみ結構きわどい。
この高速コーナーは大好きだ。

 

?00も離れず後ろに食いついている。
それでも、1周目はかろうじて1台のポジションアップで切り抜けた。
「よっしゃー、まず1台。」なんて怒鳴りながら、
?00はエキスパートクラスなので、自分の順位は変わっていない事に気が着く。

 

その?00が執拗に私にアタックしてくるのがバックミラーに写る。
大好きな高速コーナー1コーナー、2コーナーと無事に切り抜け、
奥のヘアピン・3コーナーにかかる。
私の車はこのコーナーの立ち上がりで、ほんの少し失速する。
その間隙をぬって、?00が私を抜いていった。
しかし、立ち上がり切ったら加速は互角で、4コーナーの小さなヘアピンでは、
インを突いて、逆に?00を抜き返した。
その前の車も、そのまた前の車もすぐ目の前にいる。
いやいやこれは、なかなかのデッドヒートである。

 

しかし、コース終盤のダブルヘアピンの2つ目の立ち上がりで、
また、?00に抜き返されてしまった。
ここでも、私はほんの少しであるが失速気味になってしまうのだ。
予選の時では、4周目に回転が3000回転まで落ちてしまった場所である。

 

私はこの2箇所を、私のコース取りが悪くて失速すると思っていたが、
どうもヘンだ。

 

スタート時の元のポジションに戻ってレースが進む。
前の車と、その差が徐々に開き始めた。
それどころか、後にいた?  が、徐々に近づいてきた。

 

?00とデットヒートをしていた頃は、
少しずつではあるが、後にいる車を引き離していたのだが、
3周目を走る頃から逆に後から迫ってきて、
その姿がバックミラーの中で大きくなっていた。
例の3コーナーのヘアピンと、ダブルヘアピンの2つ目の立ち上がりで、
明らかに車がモタモタっとして、その度に?23が、グッと近づく。
4周目か、5周目、
また3コーナーで失速する私の車のすぐ後に迫り、
バックストレートでは、しきりにインに車を振り次の4コーナーで抜くぞと態度で示す。
私は抜かれたくない。
次の4コーナーでは失速することはなかったので、
インを空けて譲る事はしなかった。
しかし、?23は、3コーナーでの失速ぶりを見ているので、
当然抜かせるだろうと思ったのか、インに鼻先を入れてきたようだ。
私の右後のフェンダーに、?23が軽くぶつかった音がした。
「ガッガッガッ」

 

ぶつかった事にショックを受けたのか、?23はしばらくの間アタックしてこなかった。
それでも、一周回った3コーナー立ち上がりで、
私が失速する横を、軽々抜いていった。

 

一体どうなっているんだろう。私は。

 

次に私に襲い掛かってきたのは、かなり後に引き離したはずの?55
タレントの可愛い竹本圭さんが乗る車だ。
ありゃ、今度はあの人に抜かれるのか?
2箇所のコーナーの立ち上がりで失速する現象がひどくなってきて、
引き離したはずの?55が、見る見る迫ってくる。
追いつかれるのはあっという間だった。

 

それから、?55は、私の後で悪戦苦闘。
2箇所では明らかに失速するのに、他の所では普通に走っている。
8周目も、9周目、?55は、私を抜けなかった。

 

しかし、ラストの10周目、
3コーナーの立ち上がりで
私の車は、今度は大きく失速した。
タコメーターを見ると、わずか3,000回転しか上がっていない。
一つか二つ上のギヤに入ってしまっている証拠だ。
あわてて、シフトチェンジをマニュアルにしてギヤをセカンドまで落す操作をするが、
反応がない。
切ってあるはずの「ESP(横滑り防止装置)」が勝手に効いてしまっているのだ。
モタモタと3コーナーを登って行き、
それでも?55にはコースを譲らなかった。

 

しかし、ラストコーナー手前のダブルヘアピン2つ目の立ち上がりで、
同じように勝手にシフトが上がって、
エンジン回転が勝手に落ちてしまい失速。
最後の最後に、
もうなす術もなく竹本選手に勢いよく抜かれた。

 

13台中7位でスタート。
13台中9位でゴール。
これが、今回のレースの結果のすべてである。

 

そういえば、昨年の最終戦「筑波サーキット」でも、
最後の何周かで、特定のヘアピンで失速するようになって、
ジリジリと順位を下げた事がある。

 

 

今回も、途中から特定のコーナーの立ち上がりで失速するようになって、
ついには、ギヤが勝手に上がって回転が極端に落ちるという現象が出た。

 

私は今まで、
レース後半になるとタイヤが減って、
アンダーステアが出やすくなり、私はその処理が下手なので、
立ち上がりで失速して、後半のスピードがガタガタになると思っていた。
だから、
後半アンダーステアが出るようになったら、
コーナー手前のブレーキングが終わる直前に、
ハンドルをチョンと大きく切って、あえてオーバーステアを作り、
ケツを滑らして車の方向を無理やりに変えてしまう手段をとってみた。
しかし、この方法がうまく行く時もあれば、やはり、失速してしまう事もあった。
色々やってみたけれど、結局解決しなかったのだ。

 

しかし、このレースのゴール前で、
ギヤが勝手に上がってエンジン回転が落ちるという現象が初めて出て、
これは、運転の方法だけも問題ではない事に気がついた。

 

車のESP(車の横滑り防止装置)のスイッチは切ってあるのだが、
車が異常な動きをした時、
コンピューターの深い所でESPが最終的に効くように出来ているのだそうだ。

 

それがレースの最中に出てしまい、
特にタイヤが減ってきて、
アンダーステアという前タイヤの横滑り、
オーバーステアという後タイヤの横滑りが、大きくなってきた時、
ESPが効いて、アクセルの開度を調整して、失速してしまったり、
ひどい時には、上のギヤに強制的に上げ、
トルクがかからないようにしているのだろう。

 

人の話によると、
このような症状が出ているのは、
このゴルフカップに出ている人たちの車にも何台かあるのだそうだ。

 

色々な手段を講じてもどうしても直らず、
車を2007年モデルに買い換えたら、突然、素晴らしい成績を収めた人とか、
どうしても症状が直らず、レースに出ることをやめようかと考えている人とか、
私も、知らないうちにその仲間に入ってしまったようだ。
それも、ギヤまで勝手に上がってしまう重症は初めて聞いたと言っていた。
「谷さんの3コーナーの手前の失速は、ありゃひどいですね。」

 

これからどうしようか、考え込んでしまった今回のレースでした。
グリッド上で私を励ましてくれた大崎君の息子「たっ君」

 

 

走り始めてから3周目くらい。私は55番の前の前にいる。

 

 

?23に追い詰められつつあるキーパーゴルフ。この簡単に抜かれた。

 

 

最後の周回、今度は?55に抜かれている。なす術もない。

 

 

パートナーの浜崎さんは当然のようにぶっちぎりのトップであった

 

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    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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